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5話 復讐と仲間


それからミレノアは度々俺の目の前にやってくるようになった。どうもここらへんにいるモンスターは魔力に吸い寄せられるらしく俺のパンチに反応して集まってくるみたいだ。


夏の虫が夜、電灯に集まってくるように新生モンスターたちの習性らしい。


ミレノアは俺に魔力が相当あることの証拠だと言っていたのだが、本当なのだろうか・・・


今日もそろそろミレノアが来る時間だなんて思っていたら、早速来た。緑のショートカットで動きやすい戦闘服を自分の植物魔法で作っているらしい。


よく見ると肌もほんのりと綺麗な緑色になっている。エメラルドグリーンの肌にその髪型はよく似合っていた。


服装の露出は激しいが、本人は気に入っているようだ。


「アレフのおじさん。今日もお願いね。あれやってくれたらまたお肉分けてあげるから」

「へいへい・・・」


俺はいつものように手に魔力を込め、それを天に掲げた。


すると、周りのモンスターたちは一目散に俺のところに集まってくる。


【植物魔法 茨の踊り子】


一網打尽だ。まるで人工ゴキブリホイホイ・・・。いやいや今から俺が食べるモンスターのことをゴキブリ呼ばわりしてはいけない。気持ちが悪くなるからな。


慣れた手付きでミレノアがモンスターたちをさばき始めた。


「はい、これ、おじさんのぶんね」

「おじさんじゃなくて、アレフな。名前があるんだ」

「おじさんはおじさんでしょう」


何故か急速にミレノアになめられ始めているが、一体なぜなんだろう。俺の威厳がないのか?年齢は絶対俺のほうが上なのに。


「おじさん、いつまでここにいるつもりなの?」

「いや、ずっと言ってるけど。あと5人なんとか連れてきてくれないか?ここの鉄柵はあと5人いないと開かないんだ」

「それ、人間じゃないとだめなんでしょう?私達人外がいくら集まっても意味ないよ」

「そんな事やってみないとわからないだろう」

「わからないことないよ。だってあんだけいっぱいのモンスターが鉄柵の前に集まっても開かないじゃない。っていうことはモンスターじゃ開かないんだよ。つまり、私でもだめってことよ」


アレフはミレノアからもらった肉を飲み込んだ。


「お前は・・・モンスターなんかじゃないだろう?」

「・・・それはあなたが純血の人間だから言えることよ。私達異人は純血の人間様のために生きていかなくちゃいけないんだから」

「そんなこと、あるわけないだろ」

「そんなことないよ。そう教えられてきたんだもん。疑問を持つ時間も余裕も、何もないままにね・・・」


今の世界では、どうやら純粋な人間とモンスターが入り混じった人間とで階級があるみたいだ。どうも、純血じゃない人間は【差別】を受けているようにアレフは思った。


「なぁ・・・ミレノア。頼むから友達でも親でもいいからさ。一回、連れてきてくれよ」

「ダメだって。普通だったら今だって労働こっそり抜け出して、狩猟行っているんだからバレたらまずいのに、その上家族とか友達とかまで巻き込めないよ」

「えっ?そうなの?今ってその、、、労働じゃないの?」

「今は、友達家族のためにモンスターから食料を調達してるだけ。私が一番強いからね。いざとなったら魔法も使えるし。それに政府が配給する魔団子だけじゃお腹が空いて餓死しちゃうよ」

「そうだったのか・・・じゃあ、例えば、あんな感じの騎士団長っぽい格好したやつに見つかったらものすごくやばいのか?」


アレフが指差した先には真っ白なマントを羽織った男が立っていた。


「そうねー。ものすごくやばいわねー。きっと私のこと警戒してつけてきたのねー。しかも、第六労働場を統括してる騎士団長の「デビルス」じゃん。ものすごくやばいわよねー」

「はははー、そっかそっかー」

「うふふーそうよ、そうよー」


あははははは、うふふふふふふ……


【操作魔法 獣の集い】


デビルスが魔法を唱えると一斉に周囲にいたモンスターがミレノアに襲いかかってきた


「ギャー!!!のんきに会話なんてしてる場合じゃないのよー!!!」


ミレノアは間一髪、モンスターたちの襲撃をかわしたが、後ろにいたアレフにモンスターたちは突進した。しかし、鉄柵がアレフを魔物から守った。


「おいおい、ミレノア。労働抜け出してどこに行ってるかと思ったら、こんなところで何してるんだ?許可を取らないと狩猟は禁止だって言ってるだろう?」

「・・・すいません」

「それになんだ?その後ろにいる小汚い人間は?」

「あっ・・・これは・・・その・・・」


デビルスがアレフに近づいてきた。


「お前・・・もしかしてアレフか?あのときのアレフなのか?」

「……デビルスか。随分と正装なこったなぁ。なんだその胸にキラリと光るバッチは?」


デビルスは丸くて大きな目をさらにギョロリと大きく見開いた。


「あはは!!!そうか!!ここはあのときの宝物庫か!!君はまだ生きていたんだね?驚いたよ!!」

「俺もまさかお前に会えるとは思っていなかったよ」


アレフの目は血走っていた。さっきまでミレノアと談笑していたときとは別人のようだった。


「僕たちはね。あのあと国王に功績を認められて、晴れて【騎士団長】になったんだ。それも全員ね。今はみんな各階層に配置されて最重要管轄者として人外たちをと取り仕切っているんだ。君は・・・ずっとこんなところで生活しているのかい」


デビルスはくすくす笑いながらアレフを見下げた。ボロボロの格好のアレフの姿。服の切れ端から、十年前の服装と全く変わっていないことをデビルスは察して笑ったのだ。


「そうかそうか。実に面白いけれど、今は君にかまっている暇はないんだ。僕も忙しいんでね。今は、一応純血の人間を匿っていたとされるミレノアを懲らしめないとね……残念だが、死罪だ」


デビルスはアレフに背を向け、ミレノアの方を向いた。


「だめじゃないか。ミレノア。純血の人間を見たらすぐ我々に報告しないと」

「すいません・・・」

「あぁ・・そうか。貴様ら人外はそんなことも理解できないのか。IQが著しく低いとも聞くしな。人外は。理性というものがないんだよ。すぐに魔力に飛びついてしまうし、人間を襲う」

「私達はそんなことはしません。確かに魔力は美味しいけど・・・人間を食べたりはしない!」

「はいはい・・・そうやって俺たち人間は騙されてきたんだよ」


デビルスは胸のポケットから何やらペンダントを取り出し、左手に握った。


「お前は異人の中でも特別だからな。なめてかからねぇぞ」


【操作魔法 獣まつり】


ガガガガガガという地響きが聞こえる。最初何の音わからなかったが、それがモンスターたちの足音であるということに気がついた。


「宝物庫で手に入れた魔武器のペンダント。これを握れば俺の魔力は10倍になる。これで最大操作魔法も使うことができる・・・」


ミレノアはあっという間に集まった多勢のモンスターたちに襲撃されている。しかし、反射神経と運動能力でなんとか躱す。


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― 新着の感想 ―
[一言] ざまぁの相手が向こうから来てくれた訳だし、このまま脱出してヒロインもゲットだ。
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