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回復魔法が発動し続けるせいで死ぬこともできないアレフは目の前にある雑草を激痛に耐えながら食べ、生きながらえるという生活を送り続けていた。


悲観的な考えに打ちのめされそうになった瞬間もあったが、ある一つの思いがアレフを生へと向かわせていた。


「・・・絶対に、絶対に復讐してやる・・・」


こんな目に合わせたピーナッツたちへの復讐心だけがアレフの心を突き動かしていた。


憎しみの感情はいつしか常時なものになり、アレフの心は常に憎しみに支配されるようになった。


足先から少しづつ感覚が戻ってきているのはわかるのだが、回復してもすぐに岩に潰されてしまう。


これの繰り返しで激しい痛みは止むことはなかったのだが、アレフはもう痛みをさほど感じていなかった。


岩を落とされ、ピーナッツ一味に裏切られて、早3ヶ月が経過していた。


痛みの感覚も常にあり続けるため、もはや特別なものではないと脳が思っているのかもしれない。


アレフはそう思ったが実際はそうではなかった。最上級の回復魔法が鎮静剤の役割を果たしているのであった。


【そして、更に1年が経過した】


アレフはもう痛みすら感じていなかった。もはや、ピーナッツたちと出会う前よりも体調は良いくらいだった。


ブチッ


「うん・・・なんか最近美味しく感じてきたな。この草も・・・」


アレフは草を口に運んだ。1年経過してもアレフは気がつくことはなかったが、この宝物庫に隠された真実の手がかりはこの草にあった。


そもそもなぜアレフは【ダダの草を食べ続けるだけで生きながられることができている】のだろうか?


その理由は【土に魔力がむちゃくちゃ込められていた】からである。


この宝物庫の最大の宝はなんと【土】なのである。


何十年もダンジョンクリア者が現れず、宝物庫にあった魔武器の魔力は長い年月をかけて土へと移動していったのだ。


結果、ピーナッツたちが喜んで持って帰った宝の数百倍の魔力がこの宝物庫の土に込められることになったのである。


その土から生えてくる草。もうおわかりだろうが、異常に魔力が練り込まれているのだ。アレフは無意識にその草を本能で食べ続けていた。


今アレフの魔力は以前と比べ物にならないほど増えているのであった。


「うまい・・・うまいぞ・・・俺、どうかしちゃったのかな?草がうまいなんて・・・」


魔力がたっぷり詰まった草はただの雑草ではない。Sランク級の素材なのだがそれに気づかずアレフは食べ続けていた。


むしゃむしゃむしゃむしゃと、アレフはただ雑草を食べ、ひたすらに生きた。


復讐のために。


【さらにさらに9年が経過】


アレフは十年間、魔力がたんまりと詰まった草を食べ続けた。結果、魔力値は∞といえるほど大きくなっていた。


岩下に潰された自分の体の感覚は完全に戻っていた。痛みはない。むしろむず痒いくらいだった。


「・・・なんとかなりそうかもしれないな」


アレフは思い切って踏ん張ってみた。両手を地面につけて地面を押した。


ズズズズズズ・・・・・


10年間もの間、アレフを苦しめ続けていた巨大な岩が動き出した。アレフは岩の隙間から体をよじらせ、なんとかでようとした。


「うぉぉぉぉぉ!!!!行けるぞ!!!これは」


一瞬のすきを突いてアレフは岩の隙間から這い出ようと地面を蹴った。しかし、何十年ぶりに動いたためうまく体が動かなかった。



「やべぇ」


アレフの上半身はなんとか岩の外にはいでたが下半身がまた岩の下に押しつぶされてしまった。しかし、下半身に痛みは感じなかった。それももうアレフにとっては普通のことであった。


「くっそぉ!!もうちょっとで出られたのによぉ!」


悔し紛れにアレフは岩を叩いた。


【ガン!!】


軽く叩いただけのつもりだった。


それなのに、アレフが叩いた箇所から岩に小さなヒビが入った。


そのヒビは次第に大きくなり岩の内部からパキパキとした音が聞こえてきた。


「何だ?これは?」


アレフはもう一度岩を叩いた。


するとポロポロと乾いた泥団子のように岩が粉々になって崩れていった。


大きな音と粉塵が宝物庫全体に舞った。


「ゴホッゴホッ!!」


アレフは土煙を手で払った。何が起きたのかわからなかった。


「この数年で岩が老朽化していたのかな・・・」


アレフは気が付かなかったが、実際のところはアレフのパンチが岩を砕いたのだった。


この十年間でアレフの魔力はとんでもないレベルにまであがってしまったため、ただのパンチでも岩を粉々に砕くレベルにまで発達していたのであった。


「やった・・・ついに・・・ついに・・・自由になったぞーーー!!!!」


アレフは大の字になって宝物庫に天井を見上げた。思い浮かぶのはピーナッツたちの顔だけだった。


「あいつら、いま頃何をしているんだろう?俺のことなんて忘れてのんきに暮らしているのだろうか」


アレフは10年ぶりに立ち上がり宝物庫を出ようとした。


しかし、そこであることに気がついた。


「あっ・・・ここ【6人いないと扉が開かない】んだった」


アレフは宝物庫出口にある鉄柵にを触った。


宝物庫全体は湿気があり、少し暑いくらいの気温なのに、その鉄柵は氷のように冷たかった。


「俺、どうやって出ればいいんだ?」

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