507:試練、ひめごと、天照。
宇迦之御魂神は本来狐の姿と言う訳ではありませんが分かりやすく。
えーと、さっきから見られてると思うんだけど私何かしたかな?
「いえ、ハイエルフは久しぶりでしたので。でも相対した中では一番まともそうですね」
「昔のハイエルフってまともじゃなかったんですか?」
「欲望に忠実な奴らが敵に回りましたからね。味方に付いた方はまともな方ばかりでしたけど」
つまりは私は合格って事かな?
「そう思って下さって構いませんよ。次にギリシャ神界のあなた」
「は、はい!」
「災難でしたね。父親がああだと苦労しますね。ヘラちゃんとはお友達ですから困った事があったらいつでも来てくださいね」
ヘラ「ちゃん」なんだ。
「えーと、ゼウス様をご存知で?」
「もちろんです。主神同士というのもありますが、出会う度に口説かれてましたからね」
「姉上、ちょっと用事を思い出しました」
「建速は大人しくしてなさい」
いそいそとどこか(恐らくゼウスの所)へ行こうとした素戔嗚尊様はそのまま押しとどまった。天照大御神様すごい。
「さて、最後に鬼の娘」
「はーい」
「四天王になったと聞きましたが」
「はい。多聞天を拝命しました」
「そうですか。では一つお願いが」
天照大御神様からのお願い?
「なんですか? 私に出来る事でしょうか?」
「ある意味そうですね」
「誰か殴ります?」
「それは建速が居ますからねえ」
素戔嗚尊様は言われなくても殴る人だもんなあ。
「実は大江山の鬼と話し合いをしたいので連れて来て欲しいのです」
「大江山の鬼?」
大江山の鬼と言えば悪名高き酒呑童子だ。だけど退治されたよね?
「大江山に最近鬼が住み着いて「酒呑童子の再来」なんて宣ってるそうなんですよ」
「じゃあそれをぶっ潰して来たら良いんですか?」
「ところが大江山に陣取って何か被害があるかと言うと殆ど無くて、逆にその辺の妖が逃げたという話が」
まあ勢力圏被ってたらぶつかるか逃げ出すかのどっちかですよね。いや、話し合いもあるか。
「それなら放っておけばいいんじゃないんですか?」
「酒呑童子を名乗っている以上はそういう訳にも。将来的な不安は取り除かなければなりません。建速を遣わす訳にもいかなくて」
「話し合いなら誰でもいいのでは?」
「それなりな実力がないと交渉では舐められますから」
つまり、四天王の肩書きと腕っぷしが必要になる、と。あれ? でも.......
「それって楓ちゃんインドなのに日本の神様の手伝いしていいんです?」
「日本とインドはしょっちゅう行き来してますから仲がいいですよ。半分くらい同盟組んでるようなものです」
つまり交渉に出て来ても不自然では無い、と。それなら後は楓ちゃん次第かなあ。
「あのー」
「なんですか?」
「バイト代でますか?」
「そうですね、私は世俗的な話は苦手なので.......ウカちゃん?」
呼ばれて顔を出したのは一匹の白い狐。あれだ、湯田の駅前に置いてあるやつ。サイズは違うけどデザインはあんな感じ。
「天照様、お呼びですか?」
「ウカちゃん、実は例の件でバイト代が欲しいって言うんだけど、どうかな? 八百万くらい?」
「え? 何それ。ギャグですか? 八百万と「やおよろず」掛けました?」
「いや、大事な交渉だからそれぐらいかと」
「天照様みたいな使い方してたらいくらあっても足りませんよ。あ、そこの方々、私が宇迦之御魂神ですよ。ウカちゃんって呼んでもいいですよ」




