１２０４：想いの続き
澪ちゃんが何を言いたかったかはご想像にお任せします(笑)
「私は楓ちゃんが大好きです。楓ちゃんには甘やかしたい」
「私は甘やかされる方なんですね。私もひとみさんみたいなお姉さんが居たらなあと思ってました。乙女義姉さんは別の意味で良いお姉ちゃんですけど」
どっちかと言うと先輩はお姉さんと言うより「豊さんの伴侶」だからなあ。それなりに面倒見が良いところはあるんだけど。
「そんな訳で、ひとみさんは澪と同じくらいに大好きですから澪共々よろしくお願いします」
にっこりと微笑む楓ちゃん。さて、それなりにノーマル組の二人は終わった。いや、葵ちゃんや楓ちゃんもアブノーマルなところはあるけど表面上はまともなんだよ？
「さて、澪ちゃん」
「お姉様、愛してますわ！」
「早い早い。ちょっと聞いてくれる？」
「お姉様の為なら銀河の果てまで！」
意味わからんわ！ ステイ！
「澪ちゃん」
「もがーもがー」
とりあえず喋り終わったら猿轡外してあげるからちょっと待ってて。
「最初に澪ちゃんと会った時、美少女だなって思ったよ。それから先はストーカーだったけど」
「もがーもがー」
「やめろって言ったのに何回言ってもやめなかったよね？ 本当に警察に行こうかと思った事もありました」
「もがーもがー」
「ただ、澪ちゃんはどことなく放っておけなくて、保護者というか飼い主というかそんな気分にさせられて来るようになりました」
「もがっもがっ」
「で、見てるうちにこの子は一生懸命なんだなと思ったんだよ。ずっと一人でいて縋るのが私しか居なかったんじゃないかって」
「もがっ！？」
だから楓ちゃんとくっついた時には私の事は忘れるだろうと思ってたんだ。でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ。澪ちゃんは楓ちゃんを巻き込んで私にグイグイ迫って来た。怖くなるくらいにね。
「最終的にはまあ澪ちゃんならいいかとストーキング黙認してたしね」
「もがっ！」
「澪ちゃん、私は澪ちゃんが大好きです。躊躇なく私にグイグイくる澪ちゃんのパワーは素敵だと思います。絆されました。なんというか妹みたいな感覚ですね」
そう言って猿轡を外す。澪ちゃんはボロボロと涙を流した。
「お姉様……あの日、生きるのを諦めかけた私にお姉様は生きる希望をくださいました。これからもお姉様と一緒に歩いていきたいです」
いつもの澪ちゃんらしくない……だからこそ素の澪ちゃんらしい言葉だった。優しく抱き締めてあげると澪ちゃんの息が荒くなった。嗅ぐな嗅ぐな。
くっついて来ようとする澪ちゃんを楓ちゃんに引き離して貰って最後の一人に向き合う。
「ハル」
「ひとみん、愛してるー！ ちゅー！」
「ぷはっ！？ いきなり唇奪ってくんな！」
「えー、いーじゃーん。私とー、ひとみんの間なんだからー」
不意打ち的にキスされた事はそこまで嫌じゃない。むしろほかの人たちが見ててキスをせがまれるんだろうなっていうのが問題で。うん、キス自体は嫌じゃないんだよ。
「えーと、ハルは多分来てくれるだろうなって思ってました」
「前科があるからねー」
「前科というか前例というか……いやまあだからハルは来るんだろうなって確信めいたものしかなかったよ」
「ずっと傍に居るって約束したもんねー」
「そうだったね。約束してたよね」
過去に私は逃げ出したことがあった。その時に来てくれたのがハルだったんだ。だから今回も場所に関わらずハルならって思ってはいたんだよ。
