1166:二人の絆
バトルまで行くかと思いましたがダメでした。
「放せ! あのガキぶっ殺す!」
「負けを認めたのにやり合うならばワシも参戦するぞ? 宵闇のワシにそなたの闇魔法は通じんが?」
「くっ……わかりましたぁ。勝ちを拾えたので良しとしましょぅ」
噴き出していた闇の魔力が治まった。ロニさんが手を離すとモーガンは起き上がってハルに言った。
「百年も生きてない小娘だけどぉ、このままやれば二百年後くらいには私に追いつくかもねぇ。まあ今の私に、だけどねぇ」
「ちくしょう……」
「随分とウチの弟子を褒めるでは無いか、女帝」
「勝負が終わったらノーサイドだっけぇ? そういうのあるじゃなぁい。女王以外は仲良くして欲しいわぁ」
「頼まれてもあんたと仲良くしないわよ!」
何故かいつの間にかモーガンさんとニアの口喧嘩が始まった。私はハルのところに近寄ろうとした。そっちはロニさんとハルが話している。
「ごめん、ロニ、負けちゃったー」
「こんな時くらい師匠と呼ばんか。まあ相手が女帝ならよく持った方じゃろ。ワシら以外にあやつの相手出来る者は居らんよ。あ、ひとみは除いての」
「ひとみんなら勝ててたのー?」
「相性の問題じゃよ。強さどうこうじゃのうてな」
「え? どういう事?」
たまらず二人の会話に割り込んだ。私ならあの凄まじいモーガンさんに勝てるって?
「お主は幻術も効かんし、闇の魔力も通じん。ユグドラシルの浄化能力で全部吸収するからの。となると純粋なる打撃勝負というところじゃが……まあブチギレる前にイフリート辺りに焼かれて終わるじゃろ」
あー、うん。そう言われてると負ける要素無さそう。だけどハルが凄い悔しそうにしてる。
「私がっ、私がひとみんを守るって言ったのにー!」
「ハル……」
「ごめんね、ひとみん、守れてなくてごめんね。弱くてごめんねー」
「いや、別にハルに強さとか求めてないけど?」
「へ?」
なんかキョトンとしてる。え? こっちがキョトンとしたい気分だよ。
「あと、あれば嬉しいけどお金もそんなに求めてないよ。普通に暮らしていけるだけあれば十分。最近はその普通の範囲が曖昧になってるけどね」
「でもー」
「ハルは私のそばにいてくれればいいんだって。だってずっとそばにいる友だちでしょ」
昔からハルは私のそばに居ることが当たり前なのだ。強いからとかお金持ちだからとかそういうメリットを求めてやってるわけじゃない。……まあ世話が焼けるからとかひとりじゃ生活がままならなそうだからってのはあるかもだけど。
「ひとみーん!」
感極まったのか涙を流しながらハルは抱き着いた。うんうん、まあ、今は好きなだけ泣くと良いよ。……おい、ちょっとどこに手を入れてる? おしりをまさぐるな! あと、おっぱいは成長途上だから今は乏しいだけだ。そのうち私も葵さんクラスとはいかないかもだけど、ハルくらいにはなってやる!
「ひとみんはそのままでいーんだよー」
と、頭をすりすりしてきた。まあいいか。あれ? 皆さんお揃いでどうしました?
「ハルさんだけズルい! 私もひとみさんに抱き着きます!」
「お姉様、お嬢様、お嬢様!」
「私の抱き着く場所無いよね? 背中で我慢するかあ」
四人に埋もれて苦しい感じに。おい、お前ら、まだ勝負終わってねえんだぞ。
「そろそろ終わらせようかしら。最後はこのレミーが相手になるわ」
「ふっふーん。そう言うと思ったわ。私が相手よ。覚悟しなさい!」
レミーとニアの魔法使い同士の戦いが幕を開けようとしていた。




