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82話

 俺とリオスがボソボソと会話を交わしている間に数えるのも億劫な程の魔方陣を展開し終えたコウイチは一度俺達から大きく距離を取ると、おもむろに両手を頭上に掲げ口角を上げる。


 何だ?と俺達が思う間もなく、それは上空の雲を突き破り赤熱したその身を捩りながら轟音をたて一発また一発と王都の地形を変える勢いで降ってくる。


「おい、魔力の展開が出来無いぞっ!とりあえず散れっ!」


 リオスの叫びに合わせ、俺達は固まっていては標的になると取り急ぎ四方に散らばった。

 魔力を練っていたリオスとフォルスは何故か魔力が練れない事に焦りを感じつつも、上空からの隕石を次々と躱していく。


 その攻撃は実に広範囲に及び、近くの教会跡や遠くは王城までも被害を食らっている。

 が、俺達は何故か全く被害を受けていない、凛と立つ突然現れた謎の木の下に集まった。


「なぁさっき俺が影から出て来た時に気付いたんだけど、こんな木あったか? 」


 俺の言葉に気まずそうに顔を逸らすハヤトやフォルス、シズネさんを横目にリオスがボソリと呟く。


「魔女の亡骸から突然に生えた木だ。とんでもない魔力を秘めているあたり只の木では無さそうだがな」

「え……? 」


 言われた俺には意味が分からず、静かになったこの空間に隕石の落ち続ける音だけが響く。

 コウイチは狂ったように隕石を落とし続け、目を逸らすハヤトに俯くフォルスとシズネさん……


 何となくディアナの木に触れ確認したいと思ったが、何だか『バカっ何やってんのよっ! 早くアイツを倒しなさいっ! 』って怒られた気がして慌ててコウイチに向き直す。


「全く……」


 小さな呟きが自然と出た俺は両頬を叩き気合いを入れると、コウイチ目掛け色の無い世界に飛び込んだ。


 魔方陣に囲まれたコウイチの首を横凪ぎで一閃したが、魔方陣に弾かれ返す剣でもう一閃。

 コウイチの喉仏の上を薄皮一枚斬り裂き、正面に現れた魔方陣からの熱を持つ一撃で吹き飛ばされる。


 脇腹を熱線のようなもので抉られたようで出血は少ないが、焼かれ鈍い痛みがある。


「どうやら、魔方陣にさえ邪魔されなければ攻撃は通るみたいだな……」


 俺の言葉が聞こえたのか、シズネさんが飛ぶ斬撃を放つ。

 飛ぶ斬撃は当たり前のように魔方陣により弾かれるが、その飛ぶ斬撃の影に潜り込んでいたリオスが焦りを見せるコウイチの前に飛び出し、影で出来ている様な真っ黒な槍で左肩を吹き飛ばした。


 一瞬、痛みに顔を顰めたコウイチのそのヒビ割れた黒い肌が、まるで蚯蚓の群れの様に蠢き吹き飛んだ左肩をすぐさま治していく。


 何か言おうとしたのか少しばかり口をモゴモゴと動かしたコウイチだったが、小さく首を振るとすぐさま真横の魔法陣を発動させる。

 一際輝いたその魔法陣が音も無く消えると、辺り一面が突然灯り一つ無い闇に包まれる。


 俺は皆と逸れないようにと、慌てて振り返ったのだが……誰も居ない……

 不安に駆られつつもコウイチの魔法だと、慌てない様に剣を腰だめに構え辺りを見渡す。


 視界の端に動く物を捉えた俺はやはり焦りを感じていたのか、大して確認もせず『剣山』を発動させた。


「きゃぁぁっ! 」

「えっ? 」


 聞き覚えのある悲鳴に慌てて駆け寄ると、そこには俺の発動した『剣山』により体を引き裂かれ無残な姿となったシズネさんの亡骸があった……




 ーーーーー


「ふむ、暗闇にしての分断とは趣味の悪い。フォルスたんを探さなくては」


 突然真っ暗闇となったこの空間で先ずフォルスたんを探そうと、自分の運を信じてひたすら歩いていると遥か前方に激しい炎が揺らめくのが見えてきました。


「フォォォォルスたぁぁぁん!! 」


 僕は大声でフォルスたんに呼び掛けながら全力で走って行くと、フォルスたんが炎を纏い俯き佇んでいました。

 何だか雰囲気が違うような気がしないでも無いですが、きっと暗闇で一人と言う状況に不安を感じているだけでしょう。


「フォルスたん大丈夫でしたか? 」


 僕の呼び掛けに気付いたフォルスたんがゆっくりと静かに顔を上げ、その美しくも可愛らしい顔をこちらに向けニッコリと微笑みを浮かべたまま身に纏う炎を大きくしていきます。


「ふぁ!? フォルスたんハヤトですよっ! あなたのハヤトですっ! 」


 僕の叫びも虚しく、フォルスたんの炎は空をも焦がす勢いでどんどん大きくなっていき、それに伴い僕の周りの温度もうなぎ上りに上昇していく。

 止まらない汗は出た瞬間に蒸発し、肌が焼け水分を持っていかれた唇はヒビ割れる。


 しかし、このまま温度が上がり続けるのは魔力を消費し過ぎて不味い事が起きると、意を決して僕はフォルスたんの懐に飛び込もうとしたその時、爆発的に炎が上がりぐらりと揺れたフォルスたんがゆっくりと倒れて行くのが陽炎の向こうに見えた僕は後先考えずに飛び込んだ。





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