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76話

 どういう事なのか分からないがレシさんに胸を槍で刺されてしまったが、取り敢えず後ろのディアナまで行かないように俺は槍の柄を掴み抑え込む。


「レシさん達魔人が、俺達を敵と認識してるって事でいいのかな? 」

「そう言うこったな。悪いね、新しい上司が君達を殺したいらしいんだ」


 上司ねぇ……

 何だか腑に落ちないが、敵対してディアナに害する以上戦わなくてはな……


「ディアナ、他の皆は?」


 取り敢えず槍を抜くため後ろに下がりながら姿の見えない皆の状況を聞いてはみたが、首を横に振るだけで分からないみたいだな、なら取り敢えず現状をどうにかするかと、ディアナを抱きかかえ色の無い世界に飛び込みレシさんから離れた場所にディアナを下ろす


「カールさんの妹らしいから殺しちゃ不味いよな……」


 離れた位置の俺の呟きは聞こえなかったようで、何やら詠唱を始めたレシさんを目掛け色の無い世界から加速した俺はその速度のまま、反応の出来ていないレシさんの角を掴み紫色に変色して煙を上げている地面に叩きつける。


「ガハッ!! 」


 折れた巻き角もそのままに、目の焦点が定りきらない額に拳を撃ち込み撃沈させる。

 流石は魔人なのか硬い皮膚に俺の拳が砕けた様だが、気にしても仕方がないと意識の無くなったレシさんを横目に俺は自分の体を確認する、砕けた拳が治り肌が腐りは治りと繰り返しているようだ。


「よしっ! ディアナ行こうか」

「あんたのその動き反則よね……」


 倒れているレシさんを見ながら呆れた風にそんな事を言うディアナだが、俺から言わせれば何を今更って話なんだが……


「なぁディアナ、レシさんの言う上司ってさぁ……」

「コウイチよね? 」

「だよな……アイツ何をしたいんだろうな?」


 レシさんが気を失ったからなのかは分からないが、さっきまで見えなかった皆が周りで暴れているのが確認出来る。


「フォルスにハヤトにカールさんにリオスにシズネさんか、皆無事そうだな……? ん? ん? 」

「クロどうしたの? 」

「っ! なんでシズネさんが居るんだよぉぉっ!! 」


 空気を読まない俺の叫びに、敵味方関係無く皆の視線が集まる。

 気まずさを感じ、目を逸らす俺の耳に聞き覚えのある声が聞こえて来た。


「なんでお前が居るんだよ……どんなチート野郎だ。忌々しいっ」


 声の方に慌てて振り返ると、黒くヒビ割れた肌のコウイチが魔界の門に腰掛けていて、魔人達が慌てて片膝を付く。


「あぁいいよ、頭を上げて」


 そう言い片手を上げたコウイチは静かに立ち上がると、大袈裟に手を広げ


「ようこそ魔界へ。オレが新しく魔王になったコウイチだ。チート野郎はオレが殺す、そしてこの国はオレが貰うからまぁ大人しく殺られてくれ」


 そう言い切ると自身の殺気を解放する。


 ザワザワとしていた空気が途端に静まり返る、まるで体の重さが何十倍にでもなったような空気の重さに近くにいた魔人が息を忘れたかのように倒れ込む。

 俺の後ろのディアナは青い顔をして膝を震わせ、離れた場所のフォルスやハヤトまで今にも膝をつきそうな勢いで体を震わせている。

 倒れているレシさんを一瞥もせず静かに歩いて来たカールさんは青ざめた顔で俺の横まで来ると


「クロ、あれは敵う相手じゃねぇ、アイツ魔王を喰ってるぞ……」


 そう言いコウイチを指差したのだが、その瞬間カールさんの人差し指が変な方向に曲がる、小さく呻くカールさんを見る事もせずに


「雑魚魔人がオレを指差すなんておかしいと思わないかい? 」


 その言葉が耳に届いたその時、カールさんの膝が崩れ地面にひれ伏した……カールさん自身は起き上がろうとしているが、まるで巨人の手で押さえ付けられているかのように地面に倒れている。


「いいかい、オレはそこのチートを殺したいだけだ、邪魔をするな」


 静かにそう言い魔界の門から歩いて来るコウイチから離すようにディアナを後ろに押しやり、剣を構え直した俺はコウイチに駆け出した。


「お前は早くて見えないから重りを付けてやるよ」


 静かな調子でコウイチが言うと、表現の一つではなく実際に俺の手足が途端に重くなり、否応なしに俺の速度を落とされてしまう。


 コウイチの指が俺の上着を掴むその時、シズネさんの放った『剣山』がコウイチの足元に星の数程の刀を生やすが、まるでその事を分かっていたかのように、コウイチは背中に黒い皮膜のある翼を生やし上空に飛び上がってしまう。


「シズネ、邪魔をするな」


 コウイチが静かな怒声と共に放った黒い光の帯を、後ろに下がりながら辛うじて切り裂いたシズネさんは鋭い眼光のままコウイチを見続けている。


「なぁコウイチ、そこまでして一体何をしたいんだ? 」

「オレが主人公なんだよ。この世界にお前は必要無いんだ、だからいい加減消えろ」


 俺の質問に苛ついたのか少しばかり眉間に皺を浮かべ言い切ったコウイチは、自身の足元にいつの間にか展開した魔方陣に右肩まで差し込み何か質量の有るものを引き抜き始める。


「お前がどんなに頑張っても勝てない剣の達人に会わせてやるよ」


 そう言うとコウイチは魔方陣から一人の男を引き抜いた。





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