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50話

「なぁ、今回の件の主犯は誰なんだ? 」

「ふむ…… まぁ傭兵とセントさん達が妥当だと思いますが」

「ひょっとして、今迄も森人達が拐われていたのでしょうか? 」

「手口からして多分初犯じゃないわね」

「で、どうすんだい? 」


 公園を出た後、宿に戻るのも流石に無用心と街を出た俺達だが……

 何故、誰もカールさんの事を聞かない? 聞いてこない?


「セントと傭兵達は捕まえるんだよな? それと、カールさんの事なんだけど……」


 俺が聞くと皆が一瞬呆けた顔をし、くすりと笑うと


「あーさっき聞いたわよ。本人からね、獣人らしいわね」


 成る程、俺が戦ってる時に呑気に自己紹介をしていた訳だ……

 まあいいさ。それよりもこれからどうするかだ。


「そう言う事か。で、あいつら捕まえるんだよな? 」


 フォルスとハヤトは顔を見合わせると、少し考えて


「それなんですけど、あたし達が街に帰って来た時にはあの人達の馬車はいなかったんですよ」

「だから、見つけ次第捕まえるけど、先ずはトキヨミ様優先でいいと僕は思いますよ」


 もう逃げたのか? 関係有るか無いかはとりあえずそれまでお預けだな。


「ディアナ、どうする? 」

「何がよ……まぁとりあえず街道沿いに行くしか無いんじゃないの? 」


 街からどれくらい歩いただろうか、進むべき道を見ても山しか見えないんだが……

 このまま歩いて行ってたらどれ程の時間が掛かるんだ……

 道程を考えて、思わず小さなため息を吐いてしまった俺を一瞥したカールさんが


「ちっ! 仕方ねえなぁ。ここらならドワーフの坑道があるだろが? あの道通れば最短距離で着くだろ。大体あたい達にはフォルスちゃんが居るだろうが! 」


 カールさんはそう言うが、何だドワーフの坑道って?

 どうやらフォルスとカールさん以外知らない様で、俺達が顔を見合せていると


「確かに近くにはありますけど……まぁ大昔の坑道なんで誰も居ないですけど……とりあえず食料ぐらいは調達しておかないと大変ですよ」

「よし、なら話が早い。それならあそこのカーリーホーンを狩っとこう」


 フォルスの出した食料問題を、男らしくカールさんがあっさり解決してしまった。のだが


「で、どこにカーリーホーンがいるのかしら? 変な白い山しか見えないけど……」

「だよな? あんな羊みたいなの見当たらないけどなぁ? 」


 俺とディアナがそう呟きフォルスとハヤトが頷いているのだが、呆れた顔をしたカールさんは大きくため息を吐く


「あんたらは何を見てるんだ? あそこにでっかい毛玉があるだろ、背中だから角は見えないけどあれだよ!あれ! 」


 カールさんが指差す先は変な白い山しか……動いたよな……


「動きましたよ! 動きました!! 」


 フォルスが変なテンションで叫んでいるが、よく考えて欲しい。

 カールさんが獣化してたのをカーリーホーンだとフォルスに教わったのだが、まずそこの山の様な奴は黒くないし角だって巻いてるけど、巻き角と言うか真っ直ぐの角が捻れてて……カールしてないよな……そして何より


「でかすぎるわ!! 」

「うるさい馬鹿っ!! 」

「ふむ、カーリーホーンと言うかスクリューホーンですね。」


 ディアナに怒られるし、ハヤトは変に観察してるし……何だこの化物。どうやって狩るんだよ……

 チラリと腕組みしているディアナを見て、やれやれと駆け出してはみたが本当にデカイ、カールさんがデカイとは言ってたがここまでとは思わなかった。

 距離感が何だかおかしくなってくる。

 俺の後ろを必死に走るハヤトが息を切らせながら


「ぜぇ……ぜぇ……あれですね……ふぅ……三階建て位はありますね。ふぅ」


 普段からテカテカしてる顔が更に汗で輝いている。

 ハヤト……無理に走らなくてもいいぞ……


 さてと、狩るにしても、こんなに大量の肉がいるのかカールさんよ。

 見ていても仕方がないので、至近距離まで近付き足元を斬ろうと剣を横に薙いだのだが、大量の巻き毛が舞うだけで足に一向に当たらない。

 草刈り機の様に毛を撒き散らし続けていると、気が付けばそのまま反対側に抜けてしまった。

 意味の分からない状況に俺が固まっていると、カールさんの大きな声が聞こえて来た。


「そんな所には何もねぇよ! 常識だろ! 胴体狙え、胴体っ! 」


 常識なのか? 皆を見てみるも一様に首を傾げている。

 良かった、常識では無いらしい。

 まぁ、足の部分が毛だけだと分かれば胴体を狙うのは当たり前として、どう攻撃すれば届くのか……

 腹の毛先ぐらいなら届かなくも無いが。などと考えているとハヤトから声が掛かる


「クロさんそこにいると危ないですよっ! 」


 慌ててハヤトを見てみれば矢をつがえて狙っている。

 急いでディアナ達の元に走ると、呑気に女三人? 二人と一匹? が観戦していた。


「あの、ディアナさん? 呑気に見ててもいいのかい?」

「お疲れ様。カールさんが言うにはハヤトだけで大丈夫らしいからあんたも待ってたらいいわ」


 心配になって聞いた俺に呑気な事を言うディアナ……

 フォルスを見てもカールさんを見てものんびりと観戦している。

 どうしたもんかとカーリーホーンの方に目をやると、顔の辺りが矢で針の山になっているし、さらにバシバシと外す事なく刺さり続けている。


「なぁ、ハヤトってあんなに弓使うの上手かったか? 」

「あークロさんは知らなかったですね。ハヤトさんの弓は百発百中ですよ。凄いんですよ! 」


 あまりの精度に呆れつつ驚いていると、何故か誇らしげにフォルスが胸を張る。

 いつの間にそんなに仲良くなったんだか……

 フォルスの横ではディアナとカールさんがやたらとニヤニヤとしながらフォルスを見ている。



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