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45話

 長い杖を持ち煌びやかなマントを身につけた男がディアナの前で何やら演説を始めた様だ。


「これより魔女裁判を始める。静粛に!本年に入り今日まで九人の魔女を裁いて来た。今年は魔女の多い年だが安心して欲しい。我が教団は皆の安心の為これからも魔女探しを続けて行こう。さて今回もいつもと同じくこの破魔の斧で魔女を試す事になる。信者の皆は知っていると思うが、この斧は人間は切れず魔女のみを切る斧だ、この者が人間ならば歩いてこの祭壇を降りる事が出来るが、この者が魔女であるなら首が落ちよう。それでは始めようか。」


 マントの男が後ろに下がり斧を持ったマスクの男がディアナの前に出て来た所で、信者達が歓声を上げる。


 窓から飛び出した俺はこの茶番の一部始終を聞きながら、斧を持ったマスクの男の上に颯爽と降り立った。

 幸運な事に俺の衝撃を吸収してくれたのか、膝から下が少々崩れた位で痛みは有るが動けないと言う事は無さそうだ。


 突如の出来事にディアナは目を見開き固まっているし、見ている人々も一様に動けない様子で、今この瞬間この隙を使わない手は無いとばかりに未だ呆けるディアナを立たせ担ぐと、肉片と血が飛び散るこの祭壇から飛び降りた。

 すぐにでも全力で走りたいが足の傷が治る気配が無く、どうにもうまく走れない……


 祭壇を降りた俺達に、意識が戻って来た人々はざわめきがすぐに怒声に変わり、武器を持つ男達を前へと押し出した。

 押し出されて来た武器を持つ男達の中の一人、一際目立つ金色に輝く鎧を身に纏い、斧と槍が合体した様な武器ハルバードを持つ金髪の男が難しい顔をして、俺とディアナを見比べ良く通る声で聞いてくる。


「少年よ、その者は魔女の疑いがあり今から裁判をしなくてはいけない。我々に渡して貰おうか。」


 疑いがあり、裁判?何を馬鹿な事を……


「悪いがディアナを渡す訳にはいかない、ここは通して貰うっ!」


 俺の言葉を聞いた男達は瞬時に戦闘態勢に入り各々の武器を構え俺達に向けてきた。

 がしかし、まだ裁判もしておらず攻撃をしてもいいのか判断に困っているらしく戸惑いが見て取れる。

 ハルバードの男が祭壇の上のマントの男に視線をやると


「っ魔女には眷族がいる。そうだっ!眷族だ!その男は魔女の眷族に違いない、二人共処刑せよ!」


 唾を撒き散らし叫び散らすマントの男の指示のおかげか、ハルバードの男は戦意の篭った目を向けて来た。


「少年よ、そう言う事だ覚悟せよ。」

「やれやれ裁判すらしてくれないのかよ……」


 ハルバードの男に嫌味ったらしく返事を返し、担いでいたディアナを下ろすと、取り敢えず見回してみる。

 ハルバードの男を筆頭に、俺達を囲む様に剣や槍を持った鎧の男達が睨んでくる。

 チラリと俺が飛び降りた窓も見てみたがカールさんの姿は見えない。流石に逃げたかな?


 この状況をどうした物かと考えていると、遂に痺れを切らしたか正面に立つ男が俺の胸を目掛け槍を突き付けて来た。

 咄嗟にディアナを抱え地面を蹴り横っ飛びした方向からは横薙ぎの剣が飛んで来る。

 ディアナの頭を抑え屈んだ俺の頭の上を剣が通過すると、今度は違う剣が上から降って来た。

 色の無い世界に加速し頭上から降りて来る剣を靴のスパイクで真上に蹴り上げ、真正面にいた男の頭上に踵を落とし、さらに腹を蹴り後ろに飛び退いた。


 真正面の男はチカラ無く崩れ落ち、そこ光景を見た男達が色めき立つ

 男達が口々に罵声を吐きながら攻撃して来るのを加速しながら躱しつつせめてディアナだけでも逃がせる道は無いかと探していると、突然俺の右腕が吹き飛んだ。


「少年よ、早いだけでは我ら聖堂騎士団からは逃げれんぞ」


 ハルバードの男が言うが早いか、返す槍で俺の太腿を突き刺し動きを止められる。

 最初の飛び降りの怪我が未だ完治もせず動きの悪い所にこれではほぼ動けない……


「ディアナ、傷の治りが悪い……」

「首輪で魔力を封じられてるの……ごめん」


 ちっ、そう言う事か……


「少年よ、魔女をこちらに寄越せば命迄は取らない、大人しく渡すんだ」


 ハルバードの男はそう呟くが聞ける筈なんか無い。

 聖堂騎士団の男達は勝ちを確信してか、ディアナを庇う様に片膝を付き前に立つ俺をニヤニヤと見下してくる。

 とにかく、せめてディアナだけでも逃がさない事には動き様も無いこの詰んだ状態に歯噛みしていると、最近聞き慣れた声が聞こえて来た。


「クロっ!投げろ!」


 男達の後ろから聞こえて来た声に目を向けると、聖堂騎士団を飛び越える様に跳躍をしてくるカールさんが見える。

 その瞬間にディアナの腰に手を回すと、一度大きく振り回しそのまま真上に放り投げた。小さな悲鳴が聞こえた気がする。


「亜人だ!亜人の仲間がいたぞ!殺せ!!」


 聖堂騎士団はカールさんに気付き怒声をあげるが、構う事は無い。俺を飛び越える様に飛んでいるカールさんに向けディアナを投げた俺は、ハルバードが刺さったまま動いたので千切れた足を気にする事無くそのまま向かって来る槍を掴み引き抜き抜くと、反対側の男にそのまま突き刺した。


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