33話
「あんたはねぇ、怪我をしすぎなのよ!!全く……で、今は何やらかしてたのかしら?魔力が凄い勢いで持って行かれてたんだけど?と言うか、一日でどれだけ筋肉付くのよ……肩がおかしい事になってるわよ。」
ディアナは怒ってるのか、心配してくれてるのかよく分からない変な顔をして睨み付けてくる。
「あぁ、ごめん。俺のことを友って呼んでくれるエント様、古木が剣をくれたから振ってたんだ。」
背負ってる剣を抜きディアナに見せてみると目を丸くして口を尖らす
「また、随分大きい立派な剣ね。剣を振るだけで怪我をするって意味は全く分からないけど……この意匠って魔女がらみなの?この剣?」
やはりディアナもこの二匹の蛇が気になるみたいで、やたらと近付いて来てまじまじと見ている。
「魔女が絡んでるかは分からないけど。古木が言うにはさ昔、亜人と人間の戦争があったらしくてその時の剣聖に打ち込まれた剣らしい。何でも雷の魔法と一緒に叩き込まれ幹の大半が燃えたって……実際燃えて折れた跡が今でもあるしね。」
ディアナはまじまじと剣を見た後、俺を見ると微妙な顔をして
「ふぅん。何だか凄い話しだけど縁起の悪そうな剣よね。……まぁいいわ、何時までも立ち話も何だし皆で話したいから中に入りましょ。」
言うだけ言うと踵を返し建物の中に消えて行った。
慌てて追い掛ける俺の目に、部屋に入って行くディアナが見える。
「何で俺の部屋なんだ?ディアナの部屋で良いだろ?」
部屋に入り椅子に座っているディアナに軽く文句を言うと、態とらしく溜息をつき赤い顔をして目を逸らすと
「あんた、女の子の部屋に入りたいなんて、サラッととんでもない事を言うのね……ここで良いでしょ。フォルスとハヤトを呼んで来てよ。」
……何だか気恥ずかしくなりいそいそと部屋を出て、扉の隙間から見てみると含み笑いをしているディアナと目が合った……
何だか負けた気がするが、とにかくフォルスとハヤトを探す為走り出す。
フォルスは森人達と何やら話をし、それをハヤトが物陰から眺めると言った具合で思いの外早く見つかり部屋に集まる事が出来た。
俺の部屋に皆が入り、座った所でディアナがゆっくりと話し出した。
「これからの事について聞いておきたいんだけど……私とクロは奪われた物を取り返す為、予定通り王都に向かうわ。だからフォルスとハヤトがどうするのか聞いておきたいの。多分だけど何らかしらの衝突はあるはずだし。」
おいおい、奪われた物に衝突って何だよ……行くのが決定なのは良いとしても何だか物騒な話だな……
俺の内心での驚きは誰に気付かれる事もなく話は続いていく。
「あたしは……ディアナさんやクロさんに付いて行きます。事情は分から無いけどここで知らんぷりは出来ませんし、何より友達ですから。それにあのコウイチって人、やっつけたいです。」
そう鼻息荒く言うフォルスを恍惚とした表情で見ていたハヤトは
「フォルスたんが行く所に僕が行かない訳が無いですよ。勿論、クロさんとの友情もありますし。」
何だか相変わらず変な奴だな……
とにかくこの四人で王都に行くので決定のようだ。
事の成り行きを腕組みして聞いていたディアナは少し頷くと
「それじゃあ、話を煮詰めましょう。」
そう言うと腕組みしたまま立ち上がり、俺を一瞥すると顎で立てと指示を出してきた。
うん、俺への扱いを改善して貰わねば……
渋々と立ち上がる俺を見て小さく頷き、ディアナは話し始めた。
「フォルス、ギフトを知らないって言ってたわよね?童話、魔女の拐い人は知ってるの?」
「ディアナさん勿論知ってますよ、小さかった時によく読んで貰いました。あの賢者の森が実在するとは思わなかったですけど。」
ほう、まるで今は小さく無いみたいな発言だな、チビッコめ。
一人にやけているとディアナとハヤトに睨まれてしまった……仕方ない真面目にしよう。
「ディアナいいかな。」
俺が聞くと不思議そうな顔をしたので、取り敢えず無視する事にする。
「この村にいるロマさんって言う森人に聞いたんだけど、ロマさんも魔女の拐い人らしくて気が付くと賢者の森に倒れていたらしい。ただ能力は貰って無いらしく、そもそも能力を貰うって話を聞いた事がないらしい……」
俺の発言に驚いた様子の皆だったが、特にフォルスが食い付いて来た。
「魔女は悪い事をして退治されて封印されたんですよ?復活する為に人を拐うって話なのに何で能力を貰う話になるんですか?」
うん。その話はロマさんも言ってたけど、違和感があるよなぁ……
ディアナから聞いた話と違うと言うか何だろう?
「俺とディアナがお世話になった鬼族のゴードンさんも、俺が倒れてたのが賢者の森だから魔女の拐い人だろうって、けどその時能力は何を貰った?って気にしてたんだよなぁ……まぁグイグイ聞いて来たのはディアナだったけど。だから、ギフトが有る話と無い話があるんだと思うんだ。」
それまで話を聞いていたディアナが腕組みのまま眉間に皺を寄せポツリと呟いた
「そもそも皆が言ってる賢者の森が私の知ってる魔女の拐い人の中には出て来ないのよ……」




