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22話

「ディアナ無事かっ!!」

 扉から駆け込んだ俺の言葉にディアナは顰め面で

「あんたよりはマシだわ!また血だらけじゃない!!」

 そうとだけ言うと、痩せぎすな男を睨み直す。


「ほう、自我のある眷族とは随分優秀ですね。しかし、感心しませんねぇハヤトさん。」

 男は続いて入って来たフォルスやカール君には目もくれず、ハヤトだけを不自然に大きな目で見ている。


「目の賢者殿が僕に話し掛けるとは珍しい、だけど僕が何をしようが貴方には関係の無い事ですよ。」

「ふふふ、そうですね。しかし、魔女と眷族、それに幸運の女神に愛された男ですか困りましたねぇ。」

 痩せぎすな男は、全く困った表情も浮かべずそんな事を言う。

「さてと、魔女のお嬢さんどうしますか?、今の貴女では話にもならない、此方としては貴女に世界を見て真実を知った上で力を付けもう一度此処に来て頂きたい。如何でしょうか?」

 目を見開き口元に笑みを浮かべながら目の賢者とやらはディアナに聞いている。


 俺としては今の満身創痍な体の事を考えると、是非とも逃げ出したい。だいたい左腕の賢者が訳が分からない位強い事を考えると、きっとこの目の賢者とやらも強いに違いない。

 そもそもの話、何故敵対しているのかは分からないが、戦う必要が無いなら逃げさせて貰うべきでは無いだろうか。


 俺が一人で葛藤していると

「魔女のお嬢さん、今の貴女では無理ですよ、それに貴女の不死者を止めるのは面倒です。もうすぐ此処にコウイチが来ますから早く行って頂けますか。」

「あんた、どうゆうつもりなの?大体、不死者って誰よ」

 ディアナが目の賢者に問い掛けているのを聞きながら、俺とフォルスは顔を見合わせる……こら、指を指さない!


「そのうち分かりますよ」

 目の賢者が色々含んだいやらしい笑みを浮かべているのを横目に、ディアナに近付きハヤトに目配せをしたその時

「おいおい、何だこの状況?賢者何してる、ってかオレの女だぞどうする気だ」

 飛び込んで来たコウイチは、今一状況を理解出来ていないらしくこの状況に声を張り上げる。


 ディアナはお前の女では無い!!

 ハヤトの手の中から青い光が溢れ、俺達は慣れない目眩に襲われた。

「待てっ、ゆるさねぇぞ、豚メガネぇぇぇ!!」

 最後に聞こえて来たのはコウイチの叫ぶ声だった。




 木の板が軋む音が聞こえて、俺は目を開けた。

 目の前には顰め面のディアナが居て、その後ろにフォルスとカール君、ハヤトは何故だかニヤニヤとしている。

「ちょっとハヤトには色々聞きたい事が有るけど……ディアナおかえり。」

「ただいま……なの?所で何?その髪の色……似合わない。それに何で怪我が治ってないのよ、いったい何があったの?下僕の契約が「ぬぉぉおおお!!下僕ですと!!フォルスたん僕を下僕にっぶふぉ」

 ディアナが暴走しだしたハヤトを殴って沈めてくれた。


 眉間に皺を作りながらフォルスを見たディアナはハヤトを指差し

「ねぇ、あれ何なの?」

「変な人ですけど助けてくれた変な人ですよ。」

「いやいや、ちゃんと説明しようよ。話せば長くなるんだけど、ディアナが攫われた後、左腕の賢者に襲われてその時助けてくれたんだ。まぁ変な人だね。」

「ふぅん、変な人ね。」


 ムクリと起き上がったハヤトはズレた眼鏡を直し服を払うと

「初めましてディアナさん、僕は王都では強運の勇者と呼ばれている転移者のハヤトで、フォルスたんラブですね。」

「そう、取り敢えず助かったわ。ありがとう、で、ハヤトさん?ここは何処なの?」

 ハヤトの自己紹介を軽く流しディアナは話を進めるらしい。


「此処ですか?此処は森人の村にある僕の秘密基地ですね、なのでコウイチも来る事の出来ない場所ですよ。取り敢えず先ずはお茶でもしませんか?」


 そう言いハヤトが太く短い指を鳴らすと、部屋の扉が開き金色に輝く髪の幼い少女が入って来た。

 白と黒の何だか動きにくそうなヒラヒラとした服を着た少女は恭しく頭を下げるとハヤトを睨み

「お客様いらっしゃいませ。わたしはハヤト様付きのメイドでナダと言います。直ぐにお茶の用意をさせて頂きますのでごゆるりとお待ち下さいませ。」

 再び恭しく頭を下げハヤトを睨み静かに出で行く。


「まあそんな訳で皆んな座ってくれて良いですよ。あっフォルスたんは僕の横へ是非!」

「なぁハヤト、さっきのナダちゃんだっけ?物凄く睨んでたぞ、何かあるのか?」

 少し心配になり聞いてみたのだが、

「あーナダは目が悪いですからなぁ、気になるなら注意しますが?」

「いやいや大丈夫ですから皆さん座りませ「フォルスたんは何て優しい!」

 注意されては可哀想だと思ったのだろう、フォルスが話し出すとハヤトが被せていく……


 駄目だ、話が進まない……俺とディアナは顔を見合わし大人しく座る事にした。





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