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21話

 窓から出た私は、下の階にあるテラスに飛び降りさらに下に行けそうな場所を暫く探して見るが、このテラスより下は蟻一匹も入る隙間がない程綺麗に積まれた石の塔になっていてとても行けそうにない……

「仕方ないわね、中に入るしか道は無さそうね。」


 テラスから城内に入る為に重厚な扉を押すと実にスムーズに開き、出来た隙間から覗いてみる。

「おやおや、こんな所に魔女が居るとは珍しい。」

 いきなり声を掛けられ小さく肩を震わせながら扉から飛び退くと、大きく開いた扉から色白のやたらと目をギョロギョロとさせたガリガリに痩せた男が出て来た。


「全く、誰が連れて来たのでしょうか。……ほう、貴女はオリジナルでしょうか?それともコピーですか?」

 男は目を忙しなく動かし、私を見ながら聞いてくるのだが

「あんた、誰と勘違いしてるのかは知らないけど、私は魔女でもないしそもそもオリジナルって何よ!」

 男の嫌な視線に鳥肌が立つのを感じる。

「コウイチとか言う奴の所為で此処にいるの!通して!」

 何故かとやたら苛つくこの男の視線をこれ以上、感じたく無かった私は強引に話を切り上げ歩き出す。


「ほほう、自覚が無いと。まあいいでしょう、このまま行かせる訳にも行きませんし貴女の眷族がこの城に来た様ですし、それまで暫しの間相手して差し上げるとしましょう。」

 男の手が光り私の左肩を切り裂いた。




 ーーーーー


 赤い絨毯の敷かれた廊下に出た俺達一行だが、当たり前の様に行くべき場所が分からず、

「ハヤト、何処に行けば良いんだ?」

「ふむ、ではフォルスたん僕に着いて来て貰えますか。」

「いや、あの聞いてるのは俺で……」

「フォルスたん此方です。」


 こいつ凄いな、フォルスしか見えていない。

 と言うか最近の俺の扱いがとことん酷い気がするのだが……

 まぁフォルスが困った顔をしつつ着いて行ってるから、大人しく着いて行くしかないだろう。

「そう言えばフォルス、さっきの金髪のアイツ誰だったんだろうな?」

 大人しくハヤトに着いて行ってるフォルスに話し掛けて見ると、微笑んで返事してくれた。

 流石フォルス癒される。

「ですよね、左腕がどうとか変な人でしたね。」


「あぁフォルスたん、アイツは左腕の賢者ですよ。あんな変な奴の事よりも是非とも僕の事を……」

「左腕の賢者?」

 俺とフォルスの声が揃った

「む、左腕の賢者、元剣聖のニール君です。さあさあ僕の事をどしどし聞いて下さい。」

 フォルスと顔を見合せる、何やら凄く気になる単語がハヤトから飛び出して来た。

 こいつはこんな大事そうな事をペラペラと……ひょっとしたらフォルスに任せておけばコウイチの情報も貰えるのでは?と、フォルスの肩を軽く叩いて振り向かせ様としたのだが


「ハヤトさん!クロさんもカール君も大事な仲間です、あたしと同じ様に出来ないのでしたらもうあたしにも話し掛けないで下さい!!」

 赤い顔をしたフォルスがハヤトを睨み付ける。


 言われた瞬間、ハヤトは飛び跳ねると膝を付いて座り、流れる様な滑らかさでそのまま両手と頭を絨毯に擦り付けたい。

 どうしたらいいか分からないといった感じのフォルスを横目に、何故だか居た堪れなくなった俺が

「ハヤト、良いから頭を上げてくれないかな?」

「いやいや、クロさんはお優しい。よろしく御願い致します。」

 満面の笑みで立ち上がったハヤトは眼鏡を直し手を差し出して来た。


 フォルスと苦笑いをし、握手しようと手を出す俺の左肩が突然裂け血を吹いた。

 いきなりの事で目を見開く二人、大丈夫だ。と声を掛けようとすると今度は右の脇腹と右太ももが裂けた。


 フォルスがハヤトを睨み付け、ハヤトがフォルスに向かって大きく何度も首を横に振る。

 その間にも俺の体に次々と裂傷が増えていく、痛みはあまり無いが血が無くなって行くのを感じながら、おかしな事に気付く。


「フォルスにハヤト、大丈夫だ……だけど治らない……」

 意味の分からないハヤトは不思議そうな顔をしているが、理解出来るフォルスはもうパニック寸前だ。


 目眩がして来たが、とにかく少しでも早く合流し此処から逃げる為、俺は薄っすらとディアナの気配を感じる扉に駆け込んだ。



「ほう、意外と早く眷族が迎えに来ましたね。」

 聞こえて来た見知らぬ声の方を見ると満身創痍のディアナと色白の痩せぎすな男がいた。





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