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20話

 逃げようかと意見した俺を見たフォルスは

「今の状態のクロさんにまた同じ速度で走れますか?あたしは荷物みたいに運ばれるのは出来るだけやめて欲しいです、それよりもあたし達の無罪を証明しましょう。」

 と、暗に逃亡を拒否されてしまった。


「そうは言っても、どうすれば証明出来る?あいつは完全に俺達を馬車の奴の仲間だと思ってるみたいだし……」

 フォルスの言いたい事も分かるが証明出来る要素が思い付かない、しかし証明出来ない場合戦う事になるだろうが勝てる見込みは全く見当たらないし、とても逃げ切れるとも思えない。

「完全に詰んだ……」

 俺の呟きを聞きフォルスは顔を青くする。


「クロさん……まだ……」

 青ざめながらもフォルスは食い下がってくるが

「っ……じゃあ……じゃあどうすればいいってんだっ!!」

「だけどっ!……」


 八つ当たり気味にフォルスに当たる俺を見ると、それが余程楽しいのか笑いながらあの男が戻って来た。

 手には細長い布に巻かれた何かを持ち、ローブを着た見知らぬ小太りの男を連れ近付いて来る。

「やれやれ、仲間割れか?」

 金髪の男が剣を抜き詰め寄って来るが、先程から俺達をやたらと見ていた小太りの男が被っていたフードを下ろし金髪の男を制止した。


 フードを下ろした男は黒い髪をしており、脂ぎった顔に小さな眼鏡を掛けている。

 絶体絶命の状況で呆然と見る事しか出来ない俺達を指差すと

「賢者殿は戻って報告をした方が良い。皆、心配しているから、それにこの二人は僕が対処しておくよ。」

 黒髪の男はそう言いながら青く光る宝石の様な物を金髪の男に手渡しニコリと微笑んだ。

「そうか、ハヤト済まない。それでは後は頼んだよ。」

 そう言うと宝石が一際輝き男はまるで煙の様に消えていく。


 残ったハヤトと呼ばれた黒髪の男は、フォルスをやたらとチラチラと見ながら俺に話し掛けて来た。

「ちょっちょっと君、赤い髪の天使様が降臨なさってる、マジ天使、ちょっマジでどんだけ天使、ヤバい天使……」

 こめかみが痛くなるのを感じながら俺とフォルスは顔を見合せた。


 ハヤトは俺達が飽きてダラダラしだすほど一人で悶絶した後、急に髪型を整え眼鏡を直すと

「いやいや申し訳ない。さて灰色の君、そこに御座す赤いポニーテールの天使様の御芳名を教えては頂けないだろうか。」

 フォルスはこめかみを抑え下を向いてしまっているし、聞かれたのは多分俺なんだろうな……。

「っと、俺はク「いやいや先ず天使様の御芳名を!!」

 凄い勢いで被せて来たハヤトは全く俺を見ていない、どうやら俺はお呼びでないらしい……肘で軽くフォルスを突き自分から言い出すのを促してみる。


「ハヤトさん初めましてフォルスです。この「ふぉぉぉぉぉぉ!!天使様、いやフォルスたんが僕の名前をぉぉ!!」

 せっかくフォルスが覚悟を決めて挨拶したのに……ハヤトは伸び上がって何だか痙攣してるし、それを見てフォルスは青い顔をしてるし……カール君に至っては飽きたのか寝てるしで……


「なぁフォルスこの人会話にならないし、いい加減急ぎたいし無視して行こうか。」

 面倒臭くなった俺は立ち上がり、カール君を引っ張りながらフォルスに声を掛けた。

 何度も大きく頷いたフォルスが急いで立ち上がり服に付いた草を払っていると、正気に返ったのか真面目な顔をしたハヤトが俺に話し掛けて来た。

「ふむ、何処かに向かう急ぎの用でもあるのかい?」

「あぁ、仲間が攫われて王都に助けに向かっているんだ、だからあまり話してる時間は無いんだ。」

 会話は終わりとばかりに行こうとした俺達だが止められてしまった……

「仲間とはフォルスたんにとっても大事な仲間ですかな?」

 いい加減鬱陶しくなった俺が声を上げようかと思ったのだがフォルスに先を越されてしまった。


「当たり前です!いい加減邪魔しないで下さい!!ディアナを早く助けないといけないんです!!」

 肩を震わせ言い切ったフォルスを見て少しだけ考えた様子のハヤトは短く、

「王都の何処ですか?」

 と、呑気に聞いて来た。


 俺達の我慢もいい加減限界で、ハヤトを睨み付けた俺は

「王都の何処かは分からないが、コウイチとか言う奴を探すんだよ!!」

「コウイチですか、ふむいいでしょう」

 ハヤトは腰の鞄から青い宝石を出すとパチンと指を鳴らした。


 ……目の前の景色が揺れた……


 軽い目眩に襲われ目を開けると石の壁に囲まれたごちゃごちゃと荷物の積まれた部屋に俺達は立っていた。


「えっクロさんここは?」

 隣に居るフォルスがカール君の手綱を固く握り締め聞いて来たのだが、俺にも分かる訳も無くハヤトを見た。

「フォルスたんの為にコウイチが居る王城に来ました。コウイチが連れて来たのなら王都の何処かにいる筈です。フォルスたんの為に頑張りました。」



 何だか恩着せがましいが、ここが本当にコウイチの居る所なら助かる。

 躊躇いながらもありがとうと伝えた俺達は、木製の重厚な扉を開け赤い絨毯の敷かれた廊下に出る。何故だかハヤトがフォルスのポニーテールを見ながら付いて来ているが。




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