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16話

「今見てたが小僧の手首は生えて来てた、首の時はしっかりとは確認して無いが、多分生えたかくっ付いたんだろうな。つまりだ、お前は切られたぐらいでは死なない……いや、死ねないって事なんだろうなぁ……全くどんな記憶を代償に貰った能力(ギフト)なんだか……」

 冷静に判断するおっさんに何も言えずただただ頷く事しか出来なかった。


 フォルスは顔を真っ赤にしておっさんの肩を激しく揺さぶり

「マトロさんだからっていきなり斬りつけ無くても!!」

「何か問題あるか?一番簡単な確認方法だろうが。」

「クロさんは人間なんです!鬼族とは違うんですよ!!」

「あれを人間って言う括りの中に入れても良いのか?」

 凄く冷静なおっさんの言葉を聞いて思わず息を飲んでしまった。フォルスの複雑そうな顔とおっさんの顰めっ面が視界に入る。


 俺は意図的に二人から視線を逸らし

「まあ、人間だろうが無かろうが俺はディアナを追い掛ける……だから、行かせて貰うよ。」

 とにかく無性に追い掛けないと駄目な気がする俺は立ち上がり、出口に歩こうとしたがまたしてもおっさんに掴まれた。


「まて、行くのはいいがその髪色をどうにかしてからにしろ、その間にこの剣も研いでやるから落ち着け。その髪色だから色々ややこしい事になるんだろ?さっきの奴も黒髪を探しに来たとか言ってたしな。」

 おっさんは俺を引き留め様として何だかんだと言ってくる。

「そもそもどうやって追い掛ける気だ?さっきの奴は魔法で消えたんだぞ、取り敢えず落ち着け。」

 フォルスを見てみると大きく頷いている。


 ……魔法で消えたと聞き、少しばかり落ち着いて来た俺はおっさんから離れ、

「分かった落ち着いたよ、でどうしたらいい?魔法で消えたなら尚の事時間が無いよな?」

 髪に剣となるとどれ程の時間が掛かるのか……

「おっさんどれぐらい時間がかかる?」

 おっさんはフォルスに何か言うと俺の剣を手に取り少しだけ刃を確認すると

「はっ目ぇ拭いて鼻かんでる間に終わるから待ってな。」

 そう言うと奥の部屋に入って行き、その代わりとでも言う様にフォルスが見知らぬ婆さんを連れて戻って来た。


 婆さんは俺を見て持ってきた壺をかき混ぜながら

「やれやれこんな綺麗な黒い髪の色を抜いてしまうなんて勿体無いねぇ、少し滲みるから我慢するんだよ。はい座って座って。」

 そういいながら壺の中身をベタベタと勝手に俺の髪の毛に塗り始める。


 びっくりした俺が離れ様とすると、フォルスがニッコリと微笑み

「大丈夫だからちょっとだけ我慢してくださいね。」


 と、言ってくれるが今はそれどころでは無いのだが……ふと気付くと座っているオレから目の前のフォルスを見上げる格好になっているのだが、これが凄い。

 後ろでは婆さんがフガフガと謎の液体を俺の頭に塗りたくり気持ち悪いし、頭皮がヒリヒリと熱を帯びているが、そんなことよりも何よりも……


「胸がでか過ぎて顔が見えん!!っぶっっ」

 どうやら口から出てしまったらしく叩かれてしまったが、俺の視線が離れない。


「あの……見ないで下さい……ディアナさんに言いますからね。」

 顔を赤くしたフォルスに後ろを向かれてしまった……


「男の欲望は隠しておきなさい。はい、終わったから奥の部屋で頭洗っておいで」

 年の功なのか軽く婆さんに諭されてしまった俺は、フォルスに小さくゴメンと伝えてベタベタの頭で奥に行くと、剣を研ぎ終えたのかおっさんが手を洗ってたので、横に並んで水瓶の水を汲み頭を洗った。

「小僧よ、勇気は認めるが口には出さん方が良いと思うぞ。」

 おっさんは背中を叩くと先程より親しみ易い笑みを浮かべ歩いて行った。



「さて、おっさんも婆さんもありがとう。コウイチって奴、王都に居るみたいな話だったからとにかく向ってみるよ。色々ありがとう。ところでフォルスはどこ行ったのか知らない?まだ怒ってるのかなぁ……」

 俺は灰色に染まった少しパサつく頭を掻きながら聞いてみたのだが、二人共笑うばかりで意味が分からない。

「まぁいいか……フォルスにもありがとうって伝えておいて。じゃあまた」

 王都に本当に居るのかは分からないがとにかく、おっさんから貰った地図を確認し村を出た。






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