7
狼との戦いから1週間経ち、森の中は殆ど散策できた。あれからも幾度も襲われたが、【溶解液】の敵では無かった。顔にかければ勝てるから、苦戦もなし。ステータスもまあまあ上がった。しかし、ステータスの上がりが少しおかしかった。
《名前:ネモ
性別:男
年齢:0 (16)
レベル:5
種族:スライム
筋力:75
物理耐久力:75
体力:75
敏捷力:75
魔力:75
魔力耐久力:75
スキル
【捕食 溶解液 分裂 再生 擬態 飽食 隠密 諜報 隠蔽 索敵 観察 算術 気配遮断 気配察知 絶対記憶 言語理解
(体術 短剣術 暗器術 銃術 繰糸術 暗殺術 爆薬調合 爆弾解除 罠設置 罠解除 毒物調合 薬調合 変装 変声)】
擬態
【ラーウスルプス シルワバード マヌスモンキー アングルラビット 草 土 水】
加護
【知識神・スキエンティアの加護 悪神・アンリマユ(▪️▪️▪️▪️▪️)の加護】》
って感じ。
知識の神様の言うとうりなら、今のステータスはオール50のはずなんだけど、何故か25多い。これは良くわかんない。まあ高くて損することはないと思うしいいけどね。
それと、ついに【擬態】を手に入れた。これは分裂体が頑張ってくれて、練習から4日目に手に入れた。お陰で今まで捕食してきたものに擬態出来るようになったので、【転身】にまで早く育て上げたい。
しかもこの【擬態】、無機物にまでなれるようで、暇潰しに食ってた草や土、水にもなれるっぽい。水はともかく、草や土は隠れるのに重宝した。なんてったて草そのものになる訳だから、気づかれることもない。これで隠れて、獲物が来たら、後ろから奇襲できる。【溶解液】で溶かすも良し、全身に覆い被さって【捕食】するも良し、他のものに【擬態】して襲いかかるも良しと、まあまあバリエーションがある。
中でも狼“ラーウスルプス”は強かった。【擬似雷化】ってスキルで、紫電を纏うやつかと思ってたけど、【雷化】ってスキルの劣化版で、自身に雷を纏わせて、敏捷力5倍にするっていうスキルだった。結構凄いなーと思って使って見たかったけど、【転身】を覚えるまでスキルは使えないのが残念。まぁ爪や牙もあるし、今出来る擬態の中では最強だろう。
あとは鷲みたいな鳥に、手が以上に長い猿、額から1本の美しい角が生えてる兎。これ以外は地球と殆ど同じような形の動物がいた。
それと【飽食】ってやつ。これは食べたものをストックしておくスキル、だと思う。それ以外にもなにかあるのかもしれないが、今のとここれしか使ってないので、わからん。
この1週間でスキル検証もやったけど、良くわかんないってのがわかった。考えてみれば当たり前なんだが、向こうの世界基準で物事を考えてる訳で、向こうにないものを向こうの知識で理解するのは難しいことだ。それに、殆どが相性悪くて使えなくて、説明を読むぐらいしか出来なかった。だから、なにかこの世界の事を良く知っている存在、または本とかを読みたいのだよ。
ラノベだったらなんかAIみたいなのが教えてくれるって展開なんだが、俺には無いのかね?
『要請を受諾。これより、“叡智の星”とのリンクを開始......完了。擬似意識作成......成功。“地球”の知識と“クシンティアンディ”の知識の統合......失敗、誤差を確認。修正......完了。応答機能追加......完了。
初めてまして、マスター。私は“知識神の欠片”です。よろしくお願いします』
............お、おう。そうか......。
なんか来た。ってかこんなのあんなら最初っから欲しかった。
『私という存在は、オリジナルの加護があれば誰でも認識する事が出来ます。しかしこの世界の生命体が加護を持つことは珍しく、持ったとしても私を求めなければ、応えませんので』
ふーん、でも俺、お前のこと知らなかったよ?求めてはいたけど。
『マスターの「俺には無いのかね」の要請に応答しました。......迷惑でしたか?』
なぜだか残念そうな雰囲気で聞いてくる。
いや、迷惑な訳あるか。助かったよ。お陰でこの世界のこと色々知れそうだ。
『......そうですか。それではマスター、改めて、私は“知識神の欠片”です。欠片とでもお呼びください』
欠片ってのは呼びにくいな......なんか他にいい呼び方無いか?なんだったら俺が名前やるけど......?
『お心遣いありがとうございます、マスター。しかし、名付けは今は止めておいた方がよろしいかと』
うん?なんでだ?名前付けるだけだろ?
『“名付け”は不安定な存在を確固たるモノにする、という事で、名を付けられると、その存在霊基が上がります。ただし、なんの代償もなく霊基が上がるわけではなく、名付けた者の魔力や、霊基を譲渡することによって上げることになります。今のマスターでは、私に“名付け”をすると、もしかしたら霊基がすべて譲渡されてしまうかも知れませんので、“名付け”をして下さるのなら、もっと魔力か霊基を上げてからにして下さい』
へー、結構面倒なんだな、名前1つ付けるのにも。
『そうですね。ヒトはあまり気にせずに名付けるため、霊基や魔力を譲渡していますが、母体ならば出産による疲れ、それ以外ならば緊張の緩みなど、名付けによる魔力低下や欠乏を誤認しているためあまり知られていません。ですので、この事を知っているのは“名付け”をした事がある魔物や、上位種などが主です』
ムズい。取り敢えず、今名付けんのは危険って事だな?
『はい。ですのでもし“名付け”をする時は慎重にお願いします』
はいよー。でもこれじゃ不便だな。仮の名前なら大丈夫か?
『そうですね、それならば大丈夫かと』
ん。ならなんか考えるか。......何がいいかなー。んー............人工知能みたいなもんだから、AI......アイだな。よし、これからアイって呼ぶから、そん時はよろしくな。
『畏まりました、マスター』
うん、これでこの話はいいとして、こっからどうすっか。森はもう見飽きたし、移動かなー。行くとしたら、山か、川に沿って登るか下るか、それとも草原を行くか。人が居そうなとこに行きたい。もしかしたら人を喰えるかもしれないからな。そしたら【擬態】でヒトになれるし。
うーん、どっちにすっかなー。
『マスター、恐れながら、もし強くなりたければ山へ、人型になるのを急ぐなら、川を下ることを推奨します』
悩んでいると、早速アイから進言が。
どういうことだ?
『はい。山には中位ですが竜種がおりますので、それを捕食すれば更に強くなるかと。他にもC〜A‐の魔物がおりますので、擬態のレパートリーも増えるかと。マスターが【転身】を手に入れた時、今までに捕食して来た魔物のスキルなどが人型でも使えるようになる可能性がありますので、ここで戦力増強を図るのも手かと思います』
フーム、なるほど......一理あるな。でも俺弱いぞ?勝てんのか?
『それについては、私がサポート致しますので、危険性は低いと思いますが......何事も予想外の事は起こり得ますので。マスターの意志に従います』
そうだな......今は分裂体に【転身】をゲット出来るように頑張ってもらってるし、人型は後回しでいいかな。うん、山に行くぞ。案内頼む。
『イエス、マイマスター』
そこからは大変だった。山に辿り着くまでに3日もかかった。見た感じ近そうだったけど、山がデカすぎて感覚が狂ったみたい。狼モードでも遠かったよ......。
この【擬態】、ステータスとかも変わんないけどどうして狼モードの方が速いのか疑問だったけど、スライムじゃ幾ら敏捷が高くても、それを使う脚が無かったから遅かったっぽい。
お陰で狼モードならスライム状態に比べてすっごく速く動けるようになったから、移動とかが楽になった。これはラッキーだね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、着いたはいいけど早速感知に反応があった。これは......?
『これはサルトゥスベアですね。だいたいB+と言った所でしょうか。速さではラーウスルプスよりも遅いですが、その剛腕による薙ぎ払いは脅威ですね』
マジカヨ。なあアイ、B+ってどんぐらい強いんだ?
『そうですね......マスターの世界でいえば、Bが訓練された兵士5〜6人で班を作って完全装備で討伐可能と言った所ですから、B+なら一個分隊の完全装備で討伐出来ると思われます』
......やばくね?一個分隊って10人くらいだろ?それでやっと倒せるって......B+強すぎね?どうすっか?一撃離脱かな?
『まずは相手の動きを見ましょう。今のままでもある程度の軌道予測はできますが、マスターの【感知】と【観察】で完全に近い軌道予測が可能となりますが?』
へー、ってかアイ、お前って知識神の欠片なんだろ?なんで軌道予測とかできんだ?
『私は今“叡智の星”に繋がっています。“叡智の星”はありとあらゆる記録がありますので、今まで記録された戦闘から、サルトゥスベアとの戦闘記録を閲覧し、ある程度の記録が予測可能となっています。個体差の差異を無くすためにある程度の動きを見れば、どう動くのかは筋肉や魔力の動き、果ては生体電気の流れ方で計算できますので』
な、なるほど?取り敢えず、少し見ればなんとかなるって理解でいいか?
『そうですね、相手の癖を見極めるのですが、その理解で大丈夫です』
おっけ。観察すんなら狼んなって逃げながらって感じだな。
アイと作戦を立てていると、向こうもこっちに気づいたみたいだ。まあ堂々と近づいてんだから気づくか。
さて、やるか。
狼モードになって、相手の出方を伺う。サルトゥスベアはいきなりスライムが狼になったのに驚いたのか、動きを止めてこちらを注意深く見ている。
互いに睨み合っている状態だが、動いて貰わないとどうしようもないので、動かざるを得ない状況を作るためにこちらから先制を仕掛ける。
真っ直ぐ走っていき、正面まで行くと、クマがその剛腕を振るった。カウンター狙いかな?まあ当たらんけど。視界にいくつかの線が現れ、その内の1つが赤く光る。多分これが軌道予測線だろう。一応全部の線に当たらないように、擬態を解いて、股下を潜りながら無防備な背中に向けて【溶解液】を掛ける。
グガアウ!?
ジュウッ!!っと肉の焼けるような音と、クマの悲鳴が聞こえる。そのまま狼モードになり、距離を取ってから様子を見る。クマは必死になって背中を地面に擦っているが、その背中はドロドロに溶けており、骨まで見えるほどだった。
うわー、エグゥ。
しばらく転げ回った後、唐突に動かなくなった。死んだか?
『......もう少し様子を見たかったのですが、あれはもう必要無さそうですね。しかし、どうしてここまでの威力が......?』
アイがなんか言ってるけど知らんよ。俺にとってはこれが普通だぞ?まあいいや、さっさと食うか。
もしゃもしゃと美味しく?いただいて、山に入っていく。
クマとの戦闘の後も、リフレボアとかいうイノシシ、カルグルディール?っていう、雄々しい角が2本生えてる鹿に全長5〜6mくらいあるストラスネークって蛇、アトラマウスっていう病気を運ぶネズミにカメレオンみたいに周囲に溶け込むように毛の色が変わるコンフランダムタイガーって虎、あとはフォースバードっていう群れが1個の生命みたいな鳥とコントラヴァーティオフォックスっていう狐か......。この狐は結構苦戦したな。幻惑に火と風、水って攻撃レパートリーが多かったし、それを組み合わせた技は凄かった。なんか雷とか氷とかあったし、精神攻撃?もあったってアイが言ってた。まあそういう精神攻撃系はアイが全部カットしてくれたから、俺には全く効かなかった。コイツは【転身】のスキルをゲット出来たら主力になりそうなヤツだな。早く【転身】覚えたい。ってか精神攻撃系全部カットしてくれるとか、便利だな、アイ。
『ありがとうございます、マスター。ですがあのコントラヴァーティオフォックス、まさか5尾にまで進化しているとは......凄まじいですね......。あと1つはなんの属性だったのでしょう?』
うん?どういうことだ?
『はい、コントラヴァーティオフォックスは狐型の魔物の中でも最上位の魔物で、尻尾の数だけ扱える属性があります。1尾なら1属性、2尾なら2属性......という感じです。最終的に9尾まで成長し、その個体は神獣レベルの強さになりますね。進化しても殆どが2尾、偶に3尾になったりします。人と同じで、扱える属性が多いというのは、種類の異なる属性の精霊に愛されているということです。ある属性の精霊が付いていると、他の属性の精霊は付いている精霊を嫌って付かないのですが、中には付いていても構わないと思う奇特な精霊や、嫌だけどそれでも付きたいと思えるほどの良好な魔力を持っているなど、例外はあります。ですので、9尾は千年に1度と言ってもいくら位に希少な個体ですね。まあ今回の5尾もなかなかですが......』
属性が多いほど精霊に愛されてるのか......ってか9尾ってことは9個の属性持ちってことか?7属性しか無いのに?
『そうですね、9つのうち、火・水・風・土・光・闇・虚の7つに、無属性と今はもう使い手がいない天体魔術ですね。無属性は......そうですね、魔術に属性を追加せずに発動するものですね。付与系がそうですね。身体強化や五感強化などの強化系や逆に相手に弱化を仕掛けるのが主なものです』
ふーん、なら天体魔術は?
『天体魔術は星の法則を操る魔術で、使い方では【魔法】に匹敵するほどになりますね』
なるほどな、重力とかそういうのか?
『そうですね、極めれば死者蘇生なども出来るようになりますね』
まじか!?そんなことが......魔法ってすげー。
『まあ使い手はいませんので、伝承でしか語られていませんが......』
そっかー、どうやったら天体魔術ってゲット出来るかなー。欲しい!
『難しいと思いますよ?天体魔術を持っていた個体達は、“星の試練”を乗り越えて、さらに星に認められた時に与えられますから。今では“星の試練”に挑むどころか、その試練がどこで受けかれるのかさえ知られていませんので、御伽話としか思われてませんよ』
そっか、アイは何処にあるか知ってる?
『はい、もちろん知っていますよ。ですが記録を見る限り、今のマスターには時期尚早かと。もっと力を付けてからの方がよろしいと思います。マスターが今望むならば、お教えしますが......』
んにゃ、いいよ。もし行けそうって思ったら教えてくれ。
『畏まりました。ではその時が来るまで、記録を見て対策を立てておきますね?』
んー、頼むわ。
そうだ、山に来てからステータス確認してなかったけど、今のステータスってどんな感じだ?
《名前:ネモ
性別:男
年齢:0 (16)
レベル:17
種族:スライム
筋力:479
物理耐久力:438
体力:389
敏捷力:528
魔力:743
魔力耐久力:644
スキル
【捕食 溶解液 分裂 擬態 再生 魔力変換 魔力放出 魔力纏体 嗅覚強化 俊敏強化 体力強化 大喰らい 毒液 火属性魔術 炎系統魔術 水属性魔術 氷系統魔術 風属性魔術 雷系統魔術 闇属性魔術 精神系統魔術 無属性魔術 隠密 諜報 隠蔽 索敵 観察 算術 気配遮断 気配察知 絶対記憶 言語理解
(体術 短剣術 暗器術 銃術 繰糸術 暗殺術 爆薬調合 爆弾解除 罠設置 罠解除 毒物調合 薬調合 変装 変声 擬似雷化 窮間飛翔 鷹の目 立体機動 剛腕 威圧 縛術 万病母体 万病耐性 万病治癒 自然迷彩 統率 高速飛翔 意思疎通 眷属作成 眷属支配 眷属同調)】
擬態
【ラーウスルプス シルワバード マヌスモンキー アングルラビット サルトゥスベア リフレボア カルグルディール ストラスネーク アトラマウス コンフランダムタイガー フォースバード コントラヴァーティオフォックス 草 土 水 鉄 魔鉄 鋼 魔鋼】
魔力変換
【体力・回復力・身体強化】
魔力放出
【火・炎・水・氷・風・雷・闇】
属性纏体
【火・炎・水・氷・風・雷・闇】
加護
【知識神・スキエンティアの加護 悪神・アンリマユ(▪️▪️▪️▪️▪️)の加護】》
...............?あるぇ?オカシクネ?パラメータ壊れた?今のレベルなら170ちょいだろ?なんでそれ以上あんだよ......魔力とか700オーバーって......カンストにすぐ届きそうだぞこれ。
『マスター、調べてみましたら、マスターが魔物を捕食する度にパラメータが上がっていました。多分、魔物の魔術回路と瘴石を取り込んでいるからかと』
どゆこと?
『まず前提として、ヒトは魔物を食べません。これは、魔物の身体が瘴気に侵されているからです。ヒトが魔物を食べると体内に瘴気が入り込み、細胞が破壊されて死に至ります。ですからヒトは魔物を食べませんが、マスターは魔物ですので、瘴気を取り込んでも問題はなく、魔術回路と瘴石を取り込むことによって、能力が上がっているようですね。
ただし、1度目は大きくパラメータが上がりますが、2度目からはあまり上がっていませんので、1度食べた魔物を多く食べるよりも、また新しい魔物を食べた方が上昇率はいいですね』
なるほど、たしかにこっちに来てから魔物しか食ってなかったし、初めて狼食った時もパラメータ上がってたから、アイが言うとうり魔物を食えば強くなんのか......。よっしゃ、バンバン食って強くなっかー!
でもここってまだ他の魔物いんのか?結構食い荒らしたけど......。
『それならば、そろそろ中位の竜種に会いに行きますか?』
中位の竜種ねぇ......どんぐらいの強さだ?
『そうですね......だいたいS-と言った所でしょうか?まあまあ強いですね』
......いやいや、S-ってなんだよ。強くね?
『そうですか?S-なら大体一個中隊......200人程度で討伐可能な感じですよ?』
一個中隊ってホントに200人いんのか知らんけどさ?それでも多いと思うのよ。それ位の戦力でやっと倒せる奴をさ、1人で戦えってちょいと無謀過ぎやしませんかね?アイさんや。
『そうですか?マスターならば大丈夫だと思いますが......マスターの溶解液ならば、中位の竜種の鱗ならば溶かせるかと。なぜここまで効果が強いのかはわかりませんが』
溶解液か......たしかに食らって生きてた奴いねーな......。行けるか?でも死にそうだしなー。取り敢えず竜んとこ行ってみて、どんなんか見てから決めよう。
『そうですね、それが良いかと。それに勝てそうになかったら竜種にバレないように向こうの山にいって、また魔物を食べていけば良いだけです』
うんうん、そーだよねー......ちょいまち、今なんて?向こうの山?まだ山あんの?
『?はい。ここは2つの山で出来ています。今いる山は“氷雷の山”と呼ばれています。氷雷とは、この山に住む竜種から付けられました』
つまりこの山の竜種は氷と雷の属性持ちってことか。厄介そうだな。
『はい。そして向こうの山は“闇天山”と呼ばれています』
あんてんざん......?わからん。
『闇属性の竜種が住み着いているので、この名前が付けられました。闇天竜が動くと空が黒い雲に包まれる、戦いが始まると終わるまで山全体が黒い球に包まれて中が見えない、というような話だそうです』
その闇天竜はランクは?
『こちらは上位の成竜なのでS+かSSクラスかと』
はっ!?SS!?どんだけクラスあんだよ......。
『説明してませんでしたか。クラスは下からF ・E・D・C・B・A・S・SS・L・Mとなっており、そこに+と-が付きます。例えばA+はAクラスの中でも限りなくS-に近い・S-は限りなくA+に近いという感じですね』
なあ、SSまでは分かるけど、LとMってなんだ?
『LはLegend・Mはmythologyという意味だそうですよ?これは初代冒険者ギルドのギルド長が決めたそうです。ちなみに初代ギルド長は異世界人だとかなんとか......』
伝説に神話、ねぇ......。しっかし、エム級冒険者やで!!ってカッコつかなくね?なんかダサい。
『そうですか?私はよく分かりませんが......ですがM級に到達したモノは、2人だけだそうですよ?今でも御伽話として語られているみたいですね』
ふーん、どんな奴だ?
『1人目は異世界人で、コウキ・オカダという人物ですね。彼はなんでもその時代に生まれた魔王と邪龍を滅ぼしたそうです。魔王はともかく、邪龍は古代の龍種、それも相当古い古龍種ですね。当時の勇者でも封印がやっとだったそうです。
2人目はこちらの住人で、マリア・メルリート、162代目の聖女ですね。彼女の治癒魔術は異常に効果があり、御伽話では死者さえ蘇らせた、といはれています。彼女の凄いところは、天体魔術ではなく、光属性魔術によって蘇生させた、と言われているところですね』
はぁ......古龍種とか162代目聖女とか、色々知らないの出てきたんだが......?