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 どうしますか......って、まあ生き返れるってのは違うかもしんないけど、もっかい生きれるなら生きたいよなぁ。


 うん、決めたっ!


「ああ、頼むよ。向こうの世界でも構わない」


「......わかりました。では向こうの世界に送ります。その為に、あなたの転生体を造りましょう」


 ん?転生体を造る?どういうことだ?


「このまま行くんじゃないのか?」


「勿論そのままの姿でもできますが、あなたには少しでも向こうで、こちらの世界の分も幸せになってもらいたいです。ですので、私に出来る最大限の贈り物を、と思いまして......。どうですか?その姿で行きますか?それとも新しい身体を造りますか?」


 そんなもん、答えは決まっている。


「造ってくれ」


「はい。わかりました」


 そう言って、神様は微笑んだ。今更だけど、この神様、凄く美人だな。今までは混乱してて気付かなかったけど、落ち着いてみるとよくわかる。思わずジッとみてしまっていた。


「あの、何でしょうか......?」


 神様が視線を彷徨わせて、ソワソワしながらそう聞いてきた。どうやら凝視し過ぎたらしい。


「ああ、済まない。つい......」


「ついってなんですか?私の顔になにか付いてます?はっ!?まさかこれまでずっと付いてた!?あんな事言いながら実は顔になにか付いてましたって、物凄く恥ずかしい!うぅ......どうしよう」


 どうやら勘違いさせてしまったらしい。しかし見蕩れていた、など言えるわけがない。ここは誤魔化そう。


「いや、別に何も付いてないから安心しろ。何なら鏡でも見てくるといい」


「うぅぅ、恥ずかしいよぉー。もうイヤ、帰りたい、今すぐ消えたい......。ブツブツ......」


 ダメだ。聞いてない。このまま放置も面白そうだが、それでは何時まで経っても話が進まなそうだ。


 さて、どうしようか......。


「なんか持ってないのか?ハンカチとか、ティッシュとか。それで顔拭えば良いだろ?」


「うう、いえ、もう大丈夫です。すみません、話が逸れましたね。えーっと、新しい転生体を造りましょう。先ずは性別ですね。どちらがいいですか?」


「んー、男でいいかな」


「はい、それでは次は種族を......」


「あー、ちょっと待って。それ俺の方で出来ない?」


「......出来ますが。そちらの方がいいですか?」


「ああ、そっちの方が色々遣りやすいだろ。頼む」


「......わかりました。どうぞ」


 神様が手を振ると、俺の目の前に半透明な板が現れた。そこには【名前・性別・年齢・種族・外見・ステータス・スキル・加護】が書いてある。


「決めること多いな。まあ新しい身体だしな。丹精込めて造りますか!」


 えーと、名前は...新しい身体だし、名前も変えるか。何にしよう......?......あっ!!何時もゲームで使ってる名前あんじゃん!あれにするかー。よしっと。


 次は性別。これは男一択っと。


 んで年齢は、んーどーすっかなー?若い方がいいかな?んーと16かな、適当に。


 種族の種類が、えーと【人族・獣人・魔人・精霊種・妖精種・悪魔種・天使・鬼種・巨人種・竜種・龍種・死霊種・獣・魔獣】っと......。色々あんなー。多すぎだろ、異世界の種族......。ってか龍種と竜種って何が違うんだ?あーあれか?竜が人型に翼と尻尾生えたようなやつで、龍は東洋の蛇みたいなやつだったっけ?精霊種ってのはなんなんだ?」


「精霊種とは、向こうの世界に居る7つの属性の、肉体を持たない精霊達が、神代(かみよ)の時代に神々と契約し、その報酬として、現世に於いて肉体を得ることを赦された者達の末裔です。火の精霊種のサラマンドラ・水の精霊種のウンディーナ・風の精霊種のシェルフィード・土の精霊種のドワーフ・光の精霊種のルキス・闇の精霊種のテネブラールム・虚の精霊種のカバス。この7つが精霊種です。それぞれの種族の頂点に精霊王が居り、それど同等の力を持つ各属性の神竜種・神龍種が居ます。向こうには魔王等も居ますし、多分魔王も各属性毎の力に特化しているでしょう。まああなたには関係ないとは思いますが、一応お知らせしておきました」


「つまり、世界には七つの属性があって、その天辺に各王と神竜・神龍、あと魔王がいるって感じ?」


「概ね、そのような感じです。それと、七属性には相剋関係が在ります。火は水に、水は土に、土は風に、風は火に弱くなります」


「ああ、それじゃあ光と闇は互いに相剋関係に在るって事か?虚は虚しかないみたいのもあるかな?」


「......そうです。よく分かりましたね......。この世界にはマナもオドも薄れて殆ど魔術は使えないはずですが......?まさかまだ魔術師が生き延びている......?いえ、もう中世にはほぼ死に絶えていたはず......。それに魔術が使われれば私達が気付かないはずがないし......?」


「あーっとな、魔術師が居るかどうかは知らないが、多分殆どの奴らはわかると思うぞ?」


「なっ、何故ですか!?それに殆どの人が知っている!?何故!?」


「いや......そんな驚くことか?」


「驚くことですよ!本来なら魔術は秘匿されるべきものです。神代の頃も、魔術を使う時は、使った相手を必ず殺す為に使われました。一度使った魔術はほとんどの場合解析され、対策がとられてしまいます。ですので、魔術師は自分の魔術を隠し、相手を確実に殺す為の切り札として様々な魔術をその身に修めました。その結果として、魔法の域にまで至ったものもいました。流石に【始まりの魔法】までは届きませんでしたが、それでも劣化版である【魔法】に到達出来たのは凄かったですね」


「【始まりの魔法】?それって【魔法】と何が違うんだ?」


「【始まりの魔法】はその名の通り、この星に生まれた初めての魔法です。本来、奇跡とよばれる【魔法】はオドとマナを多大に消費して、どうにか顕現させることが出来た、というもので、それも一人ではなく、何十、やもすれば何百という魔術師が、全魔力を以てやっと、というものです。しかし神代ではたった一人で魔法を使うことができた者達が現れました。その人物を【魔法使い】と呼びました。

 ですが【魔法使い】達でも辿り着けたのは【魔法】であって、【始まりの魔法】ではありませんでした」


「【魔法】についてはわかったけど、結局【始まりの魔法】って何なんだ?」


「【始まりの魔法】はひと言で言えば、【禱】です」


「【禱】?」


「はい。【禱】はそのままの意味で、ただ祈るのです。その時自分が望むことを、ただ祈る」


「それだけで魔法が起こるのか?ただ祈るだけで」


「【禱】はそれだけで世界の法則を覆すほどの力がありました。ただし、世界の法則を歪めるほどの祈りは、生半可な祈るでは為しえません。それこそ、唯それだけを願い続ける、純粋な気持ちでないと」


「へー、俺には無理そうだなー。純粋な気持ちとか無いし、そこまで叶えたい願いも無いし」


「......そうですね。ああ、それと虚について、少し補足します」


「ん?ああ、そういえばさっきまでその説明してたんだっけ。すっかり忘れてた」


「すみません......。私が動揺したばかりに。ですが何故相剋関係など理解していたのですか?」


「ああ、それは簡単だよ。今こっちの世界でそういう系の小説やら漫画やらが流行っててな、そこじゃ大抵があんな感じだったんだよ。んで、神様の話も似てたから、もしかしてって思って言ってみたんだ」


「なるほど......。しかし何故その様な話が......一体どこから......?」


「んー、それはほら、色んな神話とかに神様や魔術のことが記されてるじゃん?んで今はもう無いけど、昔は有ったって思うと人ってのはそれがどんなんだったか想像するんだよ。で、今はそれが小説や漫画になったって事だと思うぞ」


「なるほど。ヒトの想像は凄いのですね......」


「だなー。俺もそう思うよ。それで、虚についてなんだけど......?」


「はい、そうでした。えーと虚について、あなたの考えに補足で、虚は虚同士は相剋し、他の六属性に対しても、相剋関係にあります」


 ......えっ?それって......


「なあ、それってもしかして、虚は虚しか効かないってことか?」


 もしそうなら、虚は最強の精霊になる。


「いえ、正確には"虚しか効かない"ではなく"全ての属性が効きにくい"です」


 うへぇ、まじかよ......。


 ってことは、虚の使い手に遭ったら虚の使い手以外はやばいじゃん。どーすんだよ。


「もし虚の使い手に遭ったらどうすればいいんだ?」


「虚の使い手に遭うことは滅多にないと思いますが、その時は逃げるか、虚を上回る魔術で対抗する他ありません」


「ん?滅多に遭わないのか?なんで?」


「虚の使い手は今や殆ど居らず、生き残っている者も何処かに隠れていて、滅多に姿を現さないんですよ」


 なんでだ?虚が使えるなら、結構な強者として生きていけるだろうに......。


 ああ、そうか。


「過ぎた力の持ち主は決まって追いやられるな。それはどの世界でも同じってか?」


「はい......。虚の使い手じゃ今やその数を減らし、39人しか生き残りがいません。偶に人族や獣人・魔人などに虚属性を持って生まれてくる仔もいますが、殆どが生まれて直ぐに殺され、成長しても、何処かに追放されて野垂れ死んでいます。ですので、虚の使い手には遭わないと思います。あなたが遭いに行かない限りは......」


 なるほどなー


 なら遭うことは殆どないだろ。


「ふーん、ならそこまで気にする事はないかな」


 取り敢えず種族決めるかー


「魔物かー。どんなのがいんだ?」


 えーと、スライム・ゴブリン・コボルド......多すぎ......。まあここは最強と名高い竜か龍だな。吸血鬼とかもいいよなー。あとは......天使?ないな。天使って柄じゃ無いし。悪魔も......うーん、ビミョーかな?うん、やっぱ竜か龍だなー。ムムッ!!これだっ!!


 ーーポチ


「さて、どっちだ?」


 目を瞑って選んでみた。


 さあ、結果は如何に!?


「ーーは?」


 結果:スライム


 あれ?なんで?押し間違えたか?


 まあいいや。もっかいやろっと。


「変更は......っと......。あれ?出来ない。なんで?バグった?ラグった?」


「あぁそうです。言い忘れていましたが、一度決定すると変更出来ませんので気を付けて下さいね?」


 ーーえーー、うそーーん。


 え?マジで?


「なんで?なんでできない!?まじかよヤベーよ!え?これマジ?嘘だと言ってよマミー......」


「マ、マミー......?ええと、よくわかりませんが、変更は出来ません。すみません、リソース不足です」


「??リソース不足?どういうことだ?」


「あなたが向こうの世界に行くことは、他の神達も同意でした。ですが、そのままの姿で送るつもりでした。しかも、なんの加護も与えずに......」


「うーん?それはそうじゃないか?普通」


「いえ、向こうの世界はこちらの世界よりも過酷です。こちらの世界の生活に慣れているヒトが、向こうで生きていけるとは思えません。こちらにはない魔術も有りますし......。下手をすれば、向こうの世界に行って直ぐに死んでしまう、ということも有り得ます」


 まあ確かに、龍とか悪魔とか居る世界みたいだしな。このまま行けば普通は死ぬな、うん。普通なら......。


「ですがそれでは死んだあなたが報われない。せめてなにか加護を、とも言いましたが、却下されました」


「なんでだ?」


「前にも似たような事が有り、その時はちゃんと加護を与えて、送り出しました。しかし、その転生者は向こうの世界で、与えられた加護で様々な問題を起こし、最終的に同時期に呼ばれていた勇者によって討たれました。そこから、転生者に過度な力を与えてはならない決まりができ、今回はその為に加護を与えはしませんでした。ですがそれでは私は納得いきませんでしたのでこうして今、あなたに力を与えることにしたのです」


 へー。そんなことあったんだー。


「ですがそのために、すべてのリソースを私が負担しており、ギリギリ賄える、という感じなのです」


 なるほどなー。なら仕方ない、のかな?

 でもここでとやかく行ってもしょうがないし、諦めは肝心だよねー......。


「はぁ......しょうがないかなー」


「すみません......。ええと、な、なんの種族にしたのですか?」


「......スライム」


 なんだか情けなくなって、小さな声になってしまった。


 くそぅ......スライムって何が出来んだよォ......。


「え、ええと、スライム、ですか......。えとえと、あ、そうだ。スライムと云えば.....こんな話がありますよ?」


 ?なんだ?慰めは要らんぞ......。スライムに何が出来るってんだよ......。はは......さよなら俺の異世界転生......。少しの間だったが、いい夢見れたゼ......。


「き、気を落とすのはまだ早いですっ!古代にはある一匹のスライムが大陸の半分を飲み込んだという伝説があります!」


 お、おぉ?なんだそれ?大陸の半分を飲み込んだ?スライムが?


「ホントか?それ」


 おおっ!一筋の希望が......?


「はいっ!そのスライムは大罪スキルの【暴食】を持っていたので、目の前の全てを喰らい尽くして、その結果大陸半分が呑み込まれました。ですので、決してスライムは弱くないですっ!」


 おかえり!俺の異世界転生っ!!


 しかしそんな危険なスライムが居たのに、どうしてまだその世界は続いてるんだ

「なあ、そのスライムってそのあとどうなったんだ?」


「えっと......そのー......」


 なんだか歯切れが悪いなぁ......?なんかあるのか?


「......星の守り人によって討たれました」


 結局討たれんのか......。


 しかもまた新しい単語出てきたし......。


「......星の守り人ってなんだ?」


「星の守り人は、防衛装置の様なものです。星が滅亡すると認識する程の脅威が現れると、その星と契約した守り手が召喚され、脅威を排除する、っというように。歴史上で星の守り人が観測されたのは、四回。

一回目は、神代が終わった時、新たな時代を良しとせずに、破壊しようと企む悪魔や魔族が、世界中に軍を派遣した時。

 二回目は今言った、古代、【グラスライム】が出現した時。

 三回目は古代と他の世界がぶつかって、次元に孔が空き、他世界の住民と戦争が起こった時。

 四回目は古代と中世の移り変わりの時期にやってきた、神と天使達13体が星の支配者になろうと進行してきた時。

 この様に様々な事例があります」


 なんか、スゲーな、異世界......。


「しかしスライムでもそこまで出来んのか......。なら神様からのスキルも貰える俺の方が、もっと強くなれる......?星の守り人とかに目をつけられたら面倒だから、やるなら秘密裏に......スキルしだいでは......いけるか?」


 これからの人生......いやスライム生について、思いを馳せる。


「種族はスライムで頑張るか。次は外見......。スライムの外見ってなに......?色が変わるとか?」


「えっと......そうです!もしあなたが転身のスキルを得て、ヒトになった時の外見を造りましょう!」


「転身?人になれるのか!?」


 おお!?まさかの救済措置かっ!これでちゃんと新しい人生が歩める!?


 ググイッと神様に顔を近づける。


 すると頬を薄く赤らめる神様。


 なんだこの反応?照れてんのか?でも今まで誰かに好かれたことなんて無いからな......。実は『お前の汚ねー顔近づけんなや!!』的な怒りで頬染めてたら......。


 ーーブルブルッ!!


 おぉぅ、体が震える......。


 ぅぅぅぅ死にたい......。もう死んでる......。


 頭を抱えて悶えていると、神様から声が掛けられた。


「あ、あの、どうかしました?」


 何やら戸惑いの声。


 当たり前か。勢いよく顔を近づけたと思ったら、いきなり頭を抱えて呻き始めたのだ。誰だって引くだろ。俺は引く。絶対引く。


 いや、今は悶えてる場合じゃない!


「なんでも無い!それより転身について詳しくっ!」


「いや、でも、あの......」


「なんでもない!!」


「いえ、その......」


「な・ん・で・も・な・い!!」


「は、はい!!わかりましたっ!」


 勢いに任せて神様を押し切る。


「んんっ!【転身】は、身体を想像した姿に変えることができます。ですがこの想像がとても難しく、スキルは持っているが使えない、または使えるが部分的にしか使えない、というのが現状です」


「なんでだ?想像するだけだろ?」


「この【転身】は、確かに想像するだけですが、曖昧な思いでは直ぐに元に戻るか、最悪歪んだままで姿が固定されてしまうこともあります」


「じゃあ俺が手に入れても使えなくね?」


「いえ、これはスキル【捕食】や【擬態】を持っていれば簡単にできます。【捕食】で食べたものに【擬態】で成り代わる。そして【擬態】状態のままで【転身】を使い、今の姿を再現する。または【捕食】したものを【転身】の姿に選ぶなどできます。そしてスライムなら【捕食】は最初から持っていますし、【擬態】もレベルが上がれば直ぐに使えるようになります。レベル上昇だけでなく、自力で手に入れることもできますしね」


「おお、なら自力で手に入れんにはどうやればいいんだ?」


「これも想像ですね。自分の姿をまず見つめ、どんな形に変えるか、それを思いながら体を思った形に沿うように動かす。何度もやると、そのうちにスキルとして認識されるようになります。剣を振って【剣術】を会得するのと同じです。スライムなら全身流動体ですのでできますよ」


 ニッコリ笑顔でそう言われた。


「なるほど......。スキルを持ってなくても、スキルに沿うような行動をすれば、スキルとしていつかは認識されるのか......。なら向こうに行ったら直ぐに試してみるか。上手くいけばヒトとしていきてけるかも......」


「もし上手くいかなくても、レベルが上がれば【擬態】が修得できます。【捕食】で食べたものに成り代わることの出来るスキルですので、焦らずとも大丈夫ですよ」


 とまあ励ましてくれているが、それって人を喰えってことですよね?


 まあいいんだけどね?スライムだったら誰かに襲われるだろうから、そいつを喰ってやれば、取り敢えず人としての姿は得られるな。


「それと、【擬態】は捕食した魔物の姿になるだけです。スライム時でのスキルや、他から奪ったスキルを使うことはできません。っと言ってもスキルや記憶などは得ることが出来ます。相性が良ければ別ですが、使いたいのならば【転身】が必要ですので注意してください」


 なるほど......。記憶やスキルがゲット出来んのか......。便利だな......。


「んじゃそろそろ外見造りに励みますかなー」


 さて、どんな外見にするか......。やっぱ白髪に赤眼は外せないよねっ!!顔の作りはーー


「なあ、中性的な顔ってできるか?」


「中性的な顔ですか......?はい、できます

よ。少し待ってください」


 そう言って神様は、半透明な板を操作しだした。暫くすると顔を上げてこちらを見た。


「はい、出来ました。こんな感じですか?」


 できた顔をみせてもらう。


「おぉぅ、凄いな、男か女か分かんねぇ。んー、神様ぁ、目付きをもうちょい険しくできる?」


「こうですか?」


 神様に注文を出すと、直ぐに対応してくれた。


「うん、こんなんこんなん。ありがとー」


 あとは、全体的に白くしてっと......。うん、こんなんかな?んで身長を......165くらい?確かそんぐらいだったはず?


 外見はこんなもんか。


 次はステータスっと。ステータスは【筋力・物理耐久力・体力・敏捷力・魔力・魔力耐久力・】か......。最高値ってどんぐらいだ?


「最高値はどの種族も1,000が上限です。が、スキル【天元突破】があれば、10,000まで上がります」


 ......いや、上がりすぎじゃね?10倍だよ?おかしいよ?


「本来は最高値が10,000なんですが、魂の器が耐えられるのが、1,000だったんです。スキル【天元突破】は魂の器を強化して、10,000まで耐えられる器にするスキルです」


 ふーん、なら全ステータス1,000にするか。


「1,000っと.......ぉぉ?神様ぁ、ステータス10しか行かないんだけど......」


「1,000とはレベルが最大値の時に到達できる最高値です。転生時は例外無くレベルが1なので、最高でも10です」


「えぇー、じゃあ1Lv上がる毎に10しか上がらないの?」


「普通はレベル1で5もあれば十分に強いです。それに、1Lv上がるごとに10も上がるのは、それこそ勇者や英雄と呼ばれる者達か、【イレギュラー】と呼ばれる者だけです。その者達だって、10上がるのは少ないんですよ?」


「じゃあ俺は1Lv上がるごとにどんぐらい上がるんだ?」


「設定で決められますよ」


「お......?あ、出来た。じゃあこれでレベマ目指すかー」


 あれ?ならどうやって10,000にするんだ?


「10,000ってどうやっていけるんだ?」


「【天元突破】を得ると、レベルの上限も上がりますので」


 ふーん?


 次はスキルか......。何があるかなー。


 オラなんだかワクワクしてきたゾォッ!!


「ここで決まらなくても、向こうでスキル持ちを捕食すれば使えるようになるので、あまり気負わずに決められますよ」


「あんがと。えーとまずは【捕食】に【擬態】、【転身】......【捕食】しかない!?なんでや!」


「スライムが最初からもっているスキルは【捕食】と【溶解液】、あとは【分裂】に【再生】ですね」


 ーー4つ!?たったの4つですか!?


「少ねぇーっ!!なにそれ!?弱くね!?」


「スライムですから......」


 スッと神様が目を背けながら、そんなことをのたまった。


 おい、こっち見ろや。


「ぬぅ、あ、でも【再生】って強くね?」


「たしかに強いですが、スキルには魔力を使うのと使わないのがあり、【再生】は魔力を消費して発動します。ですが、スライムの持つ魔力など、高が知れています。なのであまり使えません。魔力があれば別ですが」


「なるほど?でもたしかにそんな感じかな?今まで読んだラノベでもそうだったかな?まあそういうことなら、スキルは4つでいくか」


 最後は加護か......。


「加護ってどんなのがあんだ?」


「加護は、神が自分の力を分け与えて、限定的ながら自分の力を扱う許可の様なものです。ですが今回は私しか加護を与えられませんので、もし欲しいなら、私の加護を与えますが?」


「そういえば、なんの神様なんだ?」


「?言ってませんでしたか。私は知識の神です。ですので、私の加護があると色々な知識が手に入りますよ。それに、記憶力も良くなります。完全記憶に近いものですね」


「おおぉ、そいつはいい。是非お願いしたい」


「はい。もちろんです」


 そう言って神様が微笑む。


 綺麗だなぁ。なんて見とれているうちに、転生体の加護の欄に【知識神・スキエンティア】と追加されていた。


 今更ながらに、この神様の名前を知った。スキエンティアか......言い難いな。


「よし、これで全部決まったな。あとはなにかあるか?」


 決めることは全て終わった。やり残しは無いだろう。


「いえ、大丈夫ですよ。これで終わりです。あとは向こうに送るだけです。」


 これで終わりらしい。


 しかし、随分と世話になってしまった。ここはなにか報いるべきか?


「なぁ、こんなに色々してもらってありがとな。お礼と言っちゃぁなんだが、なにかできないか?」


 キョトン、と呆けたような顔。そしてその後に困った様な顔をした。そんなに変な事いったか?


「い、いえ。今回の事は私達のせいでしてので、お礼など貰えません!」


 ーーああ、そういえばそんな話だったか。忘れてた。


「そっか、そういやそうだったな。」


 転生体を造るのに夢中で頭から抜けていた。


「そろそろ送りますが、なにか聞きたいことはありますか?」


「いや、大丈夫だ。いつでもいいぞ。送ってくれ」


「ーーはい。では、行きます!」


 ーーさぁ、待ってろ新しいスライム生。今行くぜ!

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