1時限目
カッカッカッとチョークが黒板に数列を描いて行く。どこかで見た事はあるが、解き方がさっぱり分からない。難しい勉強しているのだな…っとまたもや感心していた。
さてはて、俺は少し状況を整理しなくては…
今の俺は間違いなく14歳の中学2年生だ。昨晩戻りたいっと年甲斐も無く泣いてしまって…何か女性の声が聞こえ、気付けばこの状況だ…
今日の今この瞬間にも戻るかも知れないし…戻らないかも知れない。ただ、もし、この頃からやり直せるなら、やり直したいと思う。
俺の人生は高校に進学してからも、もうひとつクソな人生だった。強い反抗期があり、妹の絵里にも、かなり悪影響を与えた。高校を出た後には定職に就かず夜の街をフラフラし、悪い連中とかなりグレーな仕事をして、その日暮らしの繰り返しだった。体型に恵まれた訳でもなく、そんな中で今まで生き残れたのは獣のお陰だろう。当然警察にお世話になったのも1回や2回では無い…それでいいと思っていたし、それしか生き方を知らなかった。そんな中の悲報で突然現実に戻された感じだ。今までの業が戻って来たと考えれば、それまでだが…やはり出来る事なら、まともな人生を夢見たい。
今にして思えば俺にとっての味方は獣だけだったのかも知れない。
どこまでいつまで、この、やり直しが効くのか分からないが、この瞬間を大切に過ごして行きたいと思った。






