目覚め
少女は近付いて来て「早く起きないと遅刻するよ?」っと言って来た。
遅刻って何の事だ?昨日刑務所から出て来て実家に着いた。その後…どこかで寝た…
その時、自分が暖かい布団に包まれている事に違和感を感じた。
布団!?布団なんて何処にあったんだ!
後この子は、お兄ちゃんって言って無かったか?
「お前、絵里か?」
「変な事言ってないで起~き~て!」
「わ、悪い!大事な事なんだ!お前絵里か?後、今いくつだ?」
「もう!!」
っと、少し怒った感じで
「当たり前でしょ!私は絵里だよ!小学校5年生の11才です!」
と、元気に答えてくれた。
「ありがとう。直ぐに行くよ」
「早くね!」
「おかあさーん、お兄ちゃんが何か変~!」そんな事を言いながら離れて行った。
事情がさっぱり分からない…何となく頬をつねり痛さを感じる。本当に?俺は過去にいるのか?
絵里が11ということは俺は14。両親は39か…
父さんも母さんも本当の俺より若いのか…
それより、何か急がないといけない感じだったな…洗面所に向かい鏡を見る。やはり、凄く若い!若いって言うか俺も子供だ!歯を磨き顔を洗って、いい匂いのする方向に向かってみる。
「やっと起きたの?早く食べないと遅刻するでしょ!」
この綺麗な女性は間違いなく母さんだ!
目が熱くなり泣きそうになるが空腹が早く食べろと促して来る
覚えている。毎朝食べた、味噌汁とご飯、納豆と漬物
湯気が立って出来たてだと教えてくれる。
味噌汁を飲むと体に染み渡り、ご飯を食べると空腹が癒される。納豆と漬物が、ご飯を飽きる事なく進めてくれる。
旨い!こんな旨い物を毎日食べていたのかと少し信じられない。
ゆっくりとひとつひとつ噛みしめ、泣きそうになるのを堪えて食べ続ける。
「何ゆっくり食べているの!片付かないでしょ!」
少し怒られたが心地いい
「ごめん。この、ご飯、凄く美味しくて…」
「えっ!?」母の時間が止まった。
そういえば母さんのご飯が美味しいって言った事なかったな…
「確かに、何か変ね…」
今度は心配された。