不愉快
法衣の男が口を開くと、この状況で最も最悪な言葉を放った。
「あの少女は、天使族です!我ら人族の安寧を乱そうとしている天使族です。そしてそこの少年も天使族に協力しているのでしょう。勇者様方、どうかあの者どもを滅して頂きたい!」
それを聞いたクラスメイト達は一瞬の困惑の後、天使族と言う言葉で敵だと認識したのか、臨戦態勢を取った。
それは先程まで話し合いをしようとしていた、勇者である勇輝も例外ではなく、敵意の篭った目でフェルを見ていた。
この中で、違う反応をしたのは結香とガンルズ団長の2人であった。
「やめろ!創真はお前達の仲間だろ!それに、今のお前たちでは天使族1人にも勝てない!」
ガンルズ団長が皆を説得するように話した。
結香も行動を起こすようなことはしなかったが、こちらと戦う意思は無いようで一歩下がった位置からこちらを心配そうに見ていた。
これは戦う、戦わない以前に、僕を庇うべきなのか、クラスメイト達と一緒に戦うべきなのか迷ってしまい動けなくなっているのだろう。
その時、ガンルズ団長が皆を説得していると、法衣の男がありえない、と言った顔でガンルズ団長を見て、次いで口を開いた。
「何を言っているのですか!?騎士団長殿!天使族は我々の敵ですぞ?それを庇うなどと、教会から異端の烙印を押されたいのですか?」
「なっ!?俺は天使族を庇ったわけではない!あくまで勇者たちの仲間である創真を守ろうとしているだけだ!」
「それでもです!あの者が例え勇者様の仲間だったとしても、今は天使族に寝返ってしまった。それならば、もはやあの者は勇者様の仲間などではない!これ以上あの反逆者に肩入れするようであれば本当に異端の烙印を押すことになりますよ」
「しかし・・・」
法衣の男に異端の烙印を押すと言われガンルズ団長はこれ以上反対すれば本当に押されかねないと思ったのだろう、それ以上言い返すことができなくなってしまった。
「ガンルズ団長、俺たちなら大丈夫です、十分に訓練もしました!俺たちが負けるわけありませんよ、それに創真はなるべく無力化するだけにして捕まえます。それで何があったか聞きましょう」
口ごもったガンルズ団長に勇輝が小声で話しをしていた。法衣の男には聞こえなかったようだが、法衣の男よりもガンルズ団長に近い場所にいた僕には聞こえたのだ。
勇輝の話によればどうやら、僕は無力化されて連れて行かれるらしいが・・・どうにも気に食わないな、それではフェルは殺されてしまう。何よりも、人族の方から仕掛けて来た戦争なのに、人族の安寧を乱す、とか、勝手に反逆者呼ばわりされて少し不愉快だな。
その時、そんな僕の感情に反応したのか、鍵から僕にとてつもない量の魔力が流れ込んできた。だがそれはバケツをひっくり返した様に体の外に漏れ出ていってしまう。
止めた方が良いと思ったのだが、今の状況ではこのままで良かった様だ。
空気が死んだ。
空間が軋む様な魔力がこの空間を満たしていた。
なぜならその場にいた全員が僕の方を向き、驚愕の表情を浮かべていたのだ。中には顔を青くして、今にも吐きそうになっている物までいた。
多分だが、僕の体から発せられる魔力が壮絶なプレッシャーになって皆に襲いかかっているのだと思う。
自分の意思でやってないから分からないけど、
法衣の男などは
「馬鹿な・・・」
と呟いている。
僕はこれを利用しない手は無いと思い、口を開いた。
「全員この場から立ち去れ、消えろ」
いつもお読みいただきありがとうございます
誤字、脱字、話の矛盾点を見つけた場合、ご報告頂けると有難いです。
まだまだ未熟な文章ですが、日々努力いたします。




