決着?
「これなら勝てそうだな」
それからは、もう作業でしかなかった。
ゴーレムに向かって走り、避けてから切る。
最初は、腰の部分を切って放置していたのだが、それでは上半身だけになっても動いてくるやつがいたので、両腕を切り飛ばし、それから腰を切っていった。
数分後、僕は大量の動かなくなったゴーレムの真ん中あたりにいた。
周りを見渡し、ゴーレムを全て無力化したことを確認し、身体強化の魔法を解除する。
それと同時に翼を生やしたフェルが凄い勢いで飛んできた。
「創真っ!大丈夫!?」
「うん、ゴーレムは腕と腰を切って動かないようにしたからもう大丈夫だと思う。ただ、あんまり中に捕まっていた天使族の人たちには気をつけられなかったから、見てあげてくれないかな」
僕は、天使族の人たちのことを聞かれたのだと思いそう答えると、フェルの顔が呆れたような、それでいて心配したような顔に変わった。
「みんなのことも心配だけど、そうじゃなくて・・・
血、創真、血だらけだよ?」
「え?」
そう言われて、戦闘中に怪我でもしたのかと思い自分の体を見下ろしてみるが、どこにもそれらしい傷も体に付いている血も見えない。
「どこにも付いてないけど?」
そう言うと、フェルは呆れた表情のまま無言で魔法で鏡を作り出して僕の前に浮かべた。
そこに写っていたのは鼻血が出ていて、目からは、血涙を流し、耳からも血が流れていて、血だらけになっている僕の顔だった。
それを見た僕は、一瞬それが自分だと分からなかった。
「血だらけ、大丈夫?」
自分の状態に絶句していると、フェルが心配そうにそう言ってきた。
これは、身体強化を掛け過ぎた反動だろうか、そして自分の状態に気がついたからなのか、どっと疲労感がやってきた。
今すぐにでもこの場に倒れて休みたい気分だ。
だが、今はそうも行かない。今倒れてはフェルをもっと心配させてしまう。
「少し疲れたけど大丈夫」
ほとんど、空元気ではあるがそう答えると、フェルがハンカチを取り出して、顔を拭ってくれた。
少し恥ずかしいが、幸せなのでこのままにしておこう。
「ん、綺麗になった」
「ありがとう、フェル」
疲れてはいるが、達成感と幸福に包まれ、これでこの戦いも終わったと思っていた。
だが、そう簡単にはこの件は、終わらないらしい。
目の前にあった森から人影は出てくる。結構な数の集団らしい。
まさか人族の騎士であろうか?そう思い。今にも力が抜けそうになっていた足を叱咤し、警戒する。
だが、森から出てきたのは意外な人物であった。
驚愕の表情を浮かべた勇者一行、元の世界のクラスメイトであった。
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まだまだ未熟な文章ですが、日々努力いたします。




