奇襲
人族側、光り輝く転移陣の前には数多くの騎士たちが並んでいた。
数は多いが、彼らは本隊ではない、本隊は彼らの何倍も数が多いのだ。
では、彼らが何をしているのか、それは先遣隊である。いきなり、本隊が突入して、出たところで襲われては敵わない、そこで彼らの出番である。
先に転移陣を潜り、あちら側の状況を探るのだ。転移陣から出た先の状況を本隊に伝え、あちら側に拠点を築き、本隊の安全を確保する。
それが、その為だけに訓練を積んできた彼らの役目である。
「では、行くぞ!」
「おぉ!」
先遣隊の隊長格の騎士に周りの騎士も答える。そして彼らは今も光り続けている転移陣に足を踏み入れ、発動のスペルを唱える。
すると足元がよりいっそう輝き出し、その光は彼らを包んでいった。
光が収まると、そこは先遣隊が先程までいた王宮の転移陣が設置されていた場所ではなく、森の中であった。
彼らは、周りを十二分に警戒しながら少しずつ森の中の気配を探っていく、辺りに敵の気配が無いことを確かめると少しだけ警戒を解き、転移陣を守るように周りを陣取っていた。
そこまで準備をして隊長である騎士が、部下に本隊への報告を任せる。
「では、お前は一度戻り、安全は確保したと騎士団長に報告しろ」
「了解しました!」
部下が敬礼をし、転移陣に向かって走り出した。
その時、その魔法陣が起動した。
転移陣の周りを囲っていた先遣隊の更に周りの空間が揺らめき出し、そこから何人かの天使族が現れたのだ。
「なっ!?」
突如として起こった出来事に騎士たちは一様に驚く。
そしてその全員の天使族の後ろにはいくつもの魔法陣があった。それは見る人が見れば創真が使う【レールガン】の魔法陣と少し似ていることに気がつくだろう。
だが、騎士たちは天使族の後ろにある魔法陣よりも、自分たちの警戒を掻い潜って現れた敵たちに驚いた。それが、対応の遅れに繋がってしまったのだ。
次の瞬間
ドドドドドドドドドドドドッ
そんな重い音が連続して森の中に響き、気がつけば先遣隊を務めていた騎士は全滅していたのだった。
それを見た天使族は喜ぶでもなく、すぐさま次の行動を起こすのであった。
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