開戦前
人族が攻めてくるまでの時間が残り僅かになりつつある中、天使族たちと創真は人族が使うゴーレムの攻略法を模索する為会議をしていた。
その中で分かったのはゴーレムが張る結界はラズベリー処刑場の石材と同じ効果を持っていること。
そしてその効果は魔力量が多い天使族には、弱点だが、魔力量が少ない創真には全く効果が無い、という事だった。
これにより、更に強くなる希望の光に天使像たちは喜びをあらわにするのであった。
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会議を開いてから時は進み約一日が経った頃、創真たちが再び集まって話し合っていた会議室に、定時報告がやってきた。
それは何体かのエンシャントドラゴンに見張らせていた転移陣の状況報告であった。
報告を一言も聴き逃すまいと、室内が静かになり、皆の目が険しくなる。
「報告致します!現在、転移陣には、魔力が充填され、起動に必要な魔力量に達するまで残り僅かとなりました!人族が攻めてくると思われる予想時間はあと数時間後です!」
その報告に皆がため息をついた。それには、もうそれしか時間が残されていないのか、という意味がありありと込められている。
「もはや時間はないか・・・」
長い沈黙を破ってそう呟いたのはバーナルドであった。
「良いか、皆。残りの時間は限りなく少ない、そして今回の戦い、勝てなければ我ら天使族は滅ぶものと思え。今この場に、既にこの戦いは、負け戦だと諦めている者はいるか?」
バーナルドは会議室にいる天使族、エンシャントドラゴンたちにそう問いかけた。
だが、その問いに対して手を上げる者は一人もいない。何故なら、今の天使族には創真という切り札があるから。
それ以上に、皆それぞれが大切な人やこの街を守りたいと願っているからだ。
それを見たバーナルドの一つ頷くと今度は創真としっかり目を合わせ、口を開いた。
「我々は、創真を迫害した。人族というだけでだ。それなのに今度は協力しろと言っている。虫のいい話だと思うが、我らの救世主になってくれるか?」
その問いに対して創真の答えは既に決まっていた。フェルに頼まれたあの日から。
「当たり前です。救世主かどうかは分かりません・・・ですが、切り札にはなってみせましょう」
「それを改めて聞けて良かった、では頼んだぞ。創真が立てた作戦の準備は我らが意地でも間に合わせてみせる」
「宜しくお願いします。あれがないと正直、厳しいですから」
「うむ、了解した。それでは皆!各々、準備に取り掛かってくれ!この戦い、絶対に勝つぞ!」
「「「おおおぉぉぉぉ!!!」」」
バーナルドが皆に向けて号令をかけると一斉に気合の篭った雄叫びをあげ、それぞれの準備をしに走って部屋を出て行くのであった。
それは創真も同様で、自分の準備を終わらせるため、部屋を出た。
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まだまだ未熟な文章ですが、日々努力いたします。




