再開
「フェルー!いたら返事してくれー!」
ドラゴン達を殲滅した後、創真はフェルを探しながら歩いていた。
何度目かの呼びかけの後、「ここにいる」と小さく聞こえてきた方向へ向かって歩くとそこには人間の姿になったフェルがいた。
「良かった。無事だったんだね」
「ん。創真のおかげで助かった。ありがとう」
「それはどういたしまして。ところでどうしてフェルはこんなところに来たの?」
面と向かってお礼を言われなんとなく照れる創真だったが、ふと気になったことを聞いてみることに。
「創真を助けるために来た。ラズベリー処刑場に入れられた人で生きてた人はいない。それなのに・・・どうやって外に出たの?それにドラゴン達はどうしたの?」
質問の答えと共に、とんでもない事実を言われ思わず固まる創真。
(え?・・・ここってそんなにやばい場所だったの?しかもドラゴン達って?)
驚愕からなんとか抜け出した創真はフェルに自分の職業とスキル。それを使って全ての鍵を外し、外に逃げ出したこと。出た時には先程のようなドラゴンなどいなかったことを話した。
「そんな方法で・・・それに、ドラゴンが全くいなかった?なんでだろう?」
それから、今度はフェルが創真にこのラズベリー処刑場がいかに危険な場所なのかを語って聞かせる。
それを聞いた創真の反応はと言うと。
「魔力を人から吸い取る石材?魔力暴走を起こしたドラゴン達?しかもそいつらが囚人を食べに監獄の中に入ってくる?えぇ・・・ここってそんなにヤバイの?」
先程より驚愕が強く中々硬直から戻ってこれない創真。
今になってようやく自分がどれほど危険な場所に居たのかを知り膝が笑い出す。
創真は改めて自分が幸運なのだと思い知った。魔力を吸い取るという効果は多分だが、創真の魔力の低さが幸いしたと思われる。
というのも創真が戦闘中に魔法を使えるのは例の鍵から魔力を受け取ってそれを使っているからである。
創真の戦い方を見ていると忘れがちだが、創真自身の魔力量は驚くほど低いままなのである。魔力量は が少ない故に魔力吸収の効果も薄れたのだろう。
ドラゴンの件は完全に幸運である。理由はわからないが創真が出るまでラズベリー処刑場の周りにはドラゴンが一体もいなかったのだから。
色々なことがあり創真もフェルも驚いたが最終的には、お互い無事で良かった。ということで落ち着いた。
「あぁ、そう言えば。ここを出た後、しばらく歩いてたら多分フェルが見つけたって言ってた転移陣を見つけたよ。それで何か分からないかと思って調べてたんだけど・・・ごめん。何も分からなかった」
転移陣のことを話すとフェルは少し期待したような目を向けてきたが、最後の方を話すにつれだんだんとは表情が沈んでしまった。
悪いことをしてしまったかもしれない。
取り敢えずフェルと二人で転移陣を見に行くことにした。創真が行った時と同じように30分程かけて歩くと転移陣が見えてきた。
やはりフェルが見つけていた物のようで手慣れた様子で転移陣を調べ始めた。
「っ!?もう半分くらい魔力の充填が終わってる。これじゃあ予想より早く攻めてくるかもしれない」
「!?それで・・・いつ攻めてくるんだ?」
「多分、今の魔力の充填スピードから考えると・・・7日後だと思う」
この瞬間、天使族達が準備を整えなければならないタイムリミットが決まってしまった。
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