予想外の声
今日も2本投稿ですよ!
創真を助けるためラズベリー処刑場へとやってきたフェルは処刑場の周りにいる【魔力暴走】を起こしたドラゴン達を目にし、フェルの心には創真を助けたい気持ちがあるが、一応とは言え同胞であるドラゴンを殺すことに躊躇いが生まれた。
一方その頃、創真は転移陣の解析も進まずに半ば諦めて寝転んでいたところにとてつもない爆発音と膨大な量の魔力の放出を感じ、急いでそれらの発生源へと向かうのであった。
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ラズベリー処刑場にて【魔力暴走】を起こしたドラゴン達を自分で殺すことを躊躇い迷っていたフェルは創真を助ける為、決断を下した。
フェルは一瞬でエンシャントドラゴンに戻ると、魔物特有の無詠唱で特大の魔法陣を形成する。
その魔法陣に魔力を注ぎ込むと魔法陣から火の玉、それもどんでもない大きさの物が出来上がった。
さながらそれは夜の闇を照らす太陽のようである。
「ごめんないさい、せめて苦しまないように」
フェルは胸の中に感じる悲しさを押し殺して、その魔法を放つ、フェルの元から離れた小さな太陽はゆっくりと、だが着実に地面にいるドラゴン達へと近づいていく。
魔法の光に気が付いたドラゴン達が突然現れた太陽に困惑を見せ、退避もすることなく落ちてきた太陽に飲み込まれていった。
直後
辺り一帯が光に包まれ、その後に爆発音とそれに伴った衝撃が広い範囲に襲いかかった。
やがて光がおさまったとき、先程までそこに居たはずのドラゴン達は跡形もなく消えていた。
フェルがドラゴン達が痛みを感じないようにと特大の爆発魔法を使ったが、それでラズベリー処刑場も巻き込まれ創真もろとも消し去ってしまったのでは意味がないので、ドラゴン達が居た場所の周りに結界を張って爆発を抑えたのだ。
だがしかし、次の瞬間にはそのフェルの優しさが仇となってしまったことにフェルは気が付いた。
今の爆発により、光、音、衝撃が辺りを襲った。それを見たり、聞いたり、感じ取ったりしたドラゴン達がその爆心地目指してやってきていたのだ。
「そんな・・・時間がないのに」
次々とやってくるドラゴン達を見たフェルは悔しそうに言葉をこぼした。
爆心地を目指してやってきたドラゴン達は、魔法を放つためエンシャントドラゴンになっていたフェルを易々と発見し、本能の赴くままにフェルに襲いかかる。
フェルは応戦しようとするが襲いかかるドラゴンは一体や二体ではない。先程のドラゴン達の数など笑えるくらいにどんでもない量のドラゴンがこの場所に集結しているのだ。
下から口を開けてフェルに噛み付こうとするドラゴンをフェルは避けてからその口に火属性魔法を叩き込む。
それによりそのドラゴンは口の中を火に蹂躙され、悶えるが、避けたフェルに次のドラゴンが飛び込んでくる。
今度は左右から、フェルを逃すまいとドラゴンが突っ込んでくる。それに合わせて二つの【照明】を魔力を大量に込めて放つ。
魔力をふんだんに使った【照明】は、二体の目の前で光を炸裂させてドラゴンの目を潰す。
視界を潰されたドラゴン達だったが、その速度は未だ健在だ。速度を維持したままのドラゴン達は、正面からお互いにぶつかった。
その間にも次々と下から飛んでくるドラゴン達にフェルは対応するたびに上に逃げるように飛行していったのだが、このままでは創真が死んでしまうと危惧したフェルはどうにかドラゴンの群れを避けて地上へと降りることに成功した。
今度はそれを追いかけてくるドラゴン達を振り切りラズベリー処刑場の入口へと飛ぶ。
入り口まで後100メートル程まで差し掛かったその時。
「フェル!?」
その言葉をエンシャントドラゴンの聴覚を持って拾ったフェルはその声が創真の物でしかもそれは自分が思っていた処刑場の方ではなく、別の方向から聞こえたことに驚いた。
その驚きがフェルから一瞬の判断力を鈍らせた。
「なっ!?」
いきなりフェルの体が何かに接触しバランスを崩したのだ。
それを起こしたのは何と高速飛行中、目の前の地面がいきなり盛り上がりそこから現れた一体のドラゴンだった。
今までのドラゴンとは別の種類、今までのは飛行を得意とする【飛竜】だったが、地面から顔を出したそいつは地に潜り、圧倒的な堅さとパワーを持った【地竜】であった。
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