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鍵師は道を切り拓く  作者: SYG
第一章
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これ・・・チートか?


え?


何かしょぼくない?創真は、そう思ったがシーフみたいな天職なのかもしれない!と、希望を捨てず団長に報告に行った。


団長は、「とうとう出来たか!」と喜んでくれて創真も嬉しかったが、団長の次の言葉で固まった。


「天職は・・・か、鍵師?うーん、そうか鍵師と言うのはだな。まぁ、言いずらいのだが、鍵開け職人なのだが・・・言ってしまえばそれしか出来ん。ぶっちゃけ戦闘にも生活にも全く役に立たん。」


その言葉に創真が肩を落としていると火島達の声が聞こえてきた。


「何だよ、何も出来ない役立たずかよ。団長すら役に立たないっていうんだから相当だぞ。魔力を操るのにも一週間かかったってことは、魔法の才能はこの世界の凡人並なんだろ?強いスキルも持ってねーし」


そんな言葉と共にクラスメイトの笑い声が聞こえてくる。


一度希望を持ってしまった分、余計に落ち込む、しかもクラスメイトは、皆戦闘に特化した天職とスキルを持っているのだ。


非戦闘職なのは、創真を入れて二人だけだ。そして、そのもう一人の非戦闘職は、天江先生であるが・・・先生のステータスはこうだ。


ステータス

人族 天江咲耶 23歳

天職 索敵師

スキル

・自動マッピング

・地形把握

・索敵


自動マッピングは、自分が把握している、道、地形等を自動的に紙に書いてくれるスキルだ。


これだけでもチートなのだが、地形把握と索敵この二つのスキルがチートを加速させている。


地形把握は、その名の通り自分から一定範囲の地形が細部まで理解できる様になるものだ。


索敵は、名前のままで敵の位置がわかるというものだ。


さてこの三つのスキルが合わさるとどうなるか。


そう地形を理解出来るということは、自動マッピングが勝手に地図を作製してくれるのだ。更に索敵スキルにより常に地図に敵の位置が映し出されるのだ。人間レーダーである。


正にチートの権化。要するに天職もスキルも使えない物なのは、創真だけなのである。


創真が落ち込んでいると団長が声をかけてきた。


「まぁ、戦闘に関しては、剣を練習すれば何とかなるさ。それよりあの本はどうだったんだ?」


おそらく人生最大の落ち込む出来事を「それより」で済まされてしまった・・・でもそうだった。元々本を見せてもらっていたのだ。それに本に触った時に魔力を感じたのだ。何かあるかもしれない。


そう思って、本を触ったり持って振ったりしていると・・・つるり


なんと手が滑り本を落としてしまったのだ、あの本は誰も開くことが出来ない物だが主神が残した物だし何より国の宝物庫にしまっていたものだ。落としたらまずいだろう。


しまった!そう思い焦って手を本に伸ばそうとするが突然のことで体は反応しない。そして、とうとう本が地面に着いた。その瞬間。


ばさり


・・・本が開いた。普通の本であれば落とした時、地面への着き方によって開くこともあるだろう。


だがあの本は、普通ではない。なにしろ今まで誰も開くことが出来なかった代物だ。落とすだけで開くなら苦労はしないだろう。


皆が呆然と本を見つめる中、創真は恐る恐る本を拾い上げゆっくり慎重に閉じて、これまた慎重に開いてみた。すんなり開いた、開いてしまった。


そこでようやく団長が、我を取り戻し。凄い勢いでこちらに詰め寄って来た。


間近にある顔がとても怖い。


「ひ、開いた・・・のか?その本が?坊主!いったいどうやったんだ!?今あったことを細かく教えてくれ!」


それから血走った目の物凄い形相の団長を相手に(とても怖かった)あの時のことをそれは、もう詳細に説明していった。まぁ要約して言うと落としたら開いた、としか言えないのだが・・・


「召還された神の使徒だからか?それとも・・・ちょっと勇輝!こっちへ来てくれ!」


説明を聞いてからの団長は、何やらぶつぶつと考え事をした後、勇輝を呼び創真から受け取った本を勇輝に渡して開くように言った。


本を受け取った勇輝は、表紙に手を掛け開こうとした・・・が本はびくともしない。勇輝は、顔を真っ赤にして力を込めているようだがそれでも開く気配は全くない。


それから召還組と団長、それとその場に居合わせた兵士が全員試していった。結果本は創真にしか開けないことが分かった。


他の人では、びくともしないのに創真が開くと普通の本の様に開くのだ。ならばと創真が開いた後誰かに手渡すという方法を試してみたが創真意外の誰かの手に触れた瞬間に凄い勢いで閉じてしまうのだ。


それでも何故か創真だけはすんなりと開くことが出来た。


何だが自分が特別なような気がして内心狂喜乱舞していると、結香がとても嬉しそうに、にこにこしながら声をかけてきた。


「凄いじゃん創真君!誰にも出来ないことができたんだね!」


そんな風に声をかけられている創真にクラスメイトからの妬みや殺意の視線が突き刺さる。今は、創真があの本を開くことが出来たということもあっていつもより殺意が高めだ。


「その本が創真しか開けないことはわかった。じゃあ内容はどうなんだ?流石に自分で確認してそれを伝えることぐらいは、出来るだろ?」


殺意高めの視線に創真がため息をついていると、団長がそんなことを聞いてきた。そういえば、まだ中を見ていなかったなと思い、創真は表紙をめくって最初のページを開いてみた。


するとそこには、大きな鍵穴があいていた。そう穴だ本に大きな鍵穴があいていたのだ。


呆然としながらもぺたぺたとその鍵穴を触ってみるとトリックアートのようなものではなかったようで、中に手が入ってしまった。ちゃんとした鍵穴のようである。


こんな物があるんだったら次のページにもあるはずだ、と創真は次のページを見てみると、そこには何もなかった。


前のページにあった鍵穴も本にあるべき文字も絵すらないのだ。全くの白紙のページである。嫌な予感がした創真は、次々とページをめくり・・・遂に何も無いまま最後までいってしまった。


「で?どうだった?」


呆然としながらも本を閉じると団長が期待した目で聞いてきたので、今あったことを伝えると


「やっぱりそうか!ちょっと期待したんだがなぁ」


と豪快に笑っていた。


創真は、この世界は上げて落とすが多いなぁ、と思いながら肩を落とすのだった。










なるべく週投稿を頑張っていきたいと思います。

今回からこのぐらいの長さで書いていこうと思っています。


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