フロアマスター
簡単で単純な構造のダンジョン内部に出現するスケルトンとゴブリンを倒し、10階層に辿り着いた創真は、いよいよフロアマスターに挑む。
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フロアマスターのいる場所へ続く扉を前に僕は躊躇してしまった。
今までのスケルトンやゴブリンは弱かったけどフロアマスターは、他の魔物とは違う、もしかしたら勝てないかもしれない。
いや、死んでしまうかもしれない。
そう思うと、急に足がすくんでしまったのだ。
心が恐怖にだんだんと染められていくのがわかってしまう。
怖い、怖い、怖い、今にも恐怖に屈しそうになる心の中、創真は思い出した。真の目的を、あの夜に誓った決意を
「そうだ、こんなところで、びびってなんかいられない、まだまだ先は長いんだ。こんなことで止まってたら、いつまで経っても家に帰れないじゃないか!僕は、やるしかないんだ!」
恐怖に負けそうな自分の心を叱咤し、奮い立たせる。
そうだ僕はこんなところで止まってられないんだ。
もう一度心の中で呟き、創真は目の前の扉に手を掛け、一息に扉を開ける。中は広い空間で円形の形をしており、闘技場のような場所だった。
そしてその中心にそいつは居た。
水色の半透明のジェルっぽい物の塊、その塊の中央に魔石があり、それを覆うようにそのジェルがある魔物、スライム。
だがその魔物は某ドラゴンのクエストに出てくるスライムのように可愛らしい目と口が付いている訳ではなく、だだ体を構成するジェルと核となる魔石があるだけ。
スライムはゲームなどでは、弱い雑魚キャラ扱いされているが、ノルニドラでは違う、そのジェル状の体は強力な酸性で、触れた物の殆どを簡単に溶かして取り込む。取り込んだ分だけ大きくなり、大きくなればなるほど酸は、強力になっていく。
その体の性質上、柔らかいし、触れた物は、溶かしてしまう為、物理攻撃は殆ど効果がない。
しかもスライムには目などの器官がない為、基本的に全方位を認識することが出来る。
更に流石はフロアマスターと言うべきかその大きさは通常ではあり得ない大きさになっていた。
全長10メートルといったところだろうか。
僕はその大きさと今まで出てきたスケルトンやゴブリンと言った魔物と全くの別種類の魔物が出てきたことに呆気に取られていた。
それにしてもスケルトンやゴブリンの素人でも倒せる魔物を出していて、いきなりこんな難易度の跳ね上がるようなフロアマスターを配置するなんて、このダンジョンは意地が悪い。
僕は魔法が使えない、出来るのは剣で切ることだけ、魔剣なのでちょっとは効くかもしれないがそれでも状況は、絶望的だった。
「それでも、やるしかないんだよな・・・」
そう決意したのだから
僕は魔剣を構える、フロアマスターを倒して、故郷へ帰る為の第一歩とするために、
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