ここ・・・何処?
気がつくとそこは、辺り一帯が真っ白な雪原だった。
全く見覚えの無い場所である。
「ここ・・・何処?」
創真がそう呟いてしまうのも無理は、ないだろう。
創真は、混乱する頭でなんとか状況を整理する。
火島の罠にはまり転移魔方陣によってここに飛ばされて来た。ここまでは、まだいい。
創真は、毎日の様に通った書庫で読んだノルニドラの世界図を頭の中で展開する。
そしてその中から、雪原がある場所、つまり寒い地域を探してみる。
数分後
「いや、本当にここ何処だよ・・・」
記憶を懸命に漁ってみるもやはり王宮にあったノルニドラの世界地図には、こんな気候の場所は、なかった。
もともと、このノルニドラの世界で人族、亜人族、魔族が暮らしている土地は比較的、暖かく四季があり日本の様な気候のはずだ。
その中でも魔族の土地は、痩せていると言うだけてさなのだ。
そして創真たちがノルニドラに召喚されたのは、この世界の夏の始じめだったはずなのだ。
つまり今、創真の目の前に広がっている雪原は、人類がまだ知らない土地、つまり未開拓領域なのだ。
と、いうことで以前ノルニドラの地理を説明したが、それは国などの、人が住んでいるところのみだった。
その、人族の領域、亜人族の領域、魔族の領域をぐるりと囲む様に連なっているのがノルニドラ最高峰を誇る山脈である。
その山脈とは、創真たちが教会から王城に降りてくるときに見たあの山のことだ。
伝承によれば、その山の向こうには、神の眷属である天使が住んでいるという。そのことからその山は、天山、と呼ばれている。
それで天山のから先は、全くの未開拓でなんの記録もないのだが数年前に高度一万メートルもある天山の登頂を目指した冒険者が居たようだが、山に入ってから帰って来てないのとのことだ。
つまり、天山のから先は、全くの未開拓領域、そして創真の記憶によれば今いる場所のようなこの時期にこんな気候の場所は、記録に無い。
そこから導き出される答えは、この場所が天山の向こう側、又は天山の頂上付近ということ。
上を見上げるとしっかりと雲が見える。息苦しくも無い。
と、いうことは、ここは天山の向こう側。そしてその場所へと向かった者で帰ってきた者は、居ないと言う。
そこまでの考えに時間を掛けて至った創真は・・・
「な、なんちゅうとこに転移させてんだぁぁ!」
珍しく叫んだのだった。
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