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拝啓前世の私へ  作者: もちめ
3/5

理不尽


そして私は今外された肩をおざなりに直され、豪奢な建物から一変、狭くはないがムサクルシイ談話室のような所にいる。

狭くはない。むしろ広く開放的なのだが、如何せん使い込まれたソファやゴツイ(重要)男たちのせいでとてもムサイ。そして汗臭い。


そんな中私は罪人のようにムキムキの男に両脇を固められ、先ほど私を拷問にかけようとしていた男が座っているソファの前にスウェットのまま立たされていた。


「成程、こいつが例の・・・」「ええ、ですので・・・が・・・であれば・・・・」


目の前にいる私を無視して男は最初に私がみた魔術師っぽい人たちと話し込んでいる。

夢なら覚めて!

夢じゃないなら!誰か私に!説明してください!!


でも口を挟めない。なぜならここに居るムキムキ達の視線が全部私に向いているから。

無理。こんな状況で声なんか出せない。

ほら、私内弁慶だから。ガラスのハートだから。

だから無理、こっち見ないで・・・


そんなことを考えながら震えている内にどうやら目の前の男の話は終わったらしい。

漆黒の瞳がこちらをねめつける。


目の前の男の印象は一言で言い表すと【黒】だ。

黒い短髪に黒い瞳、鍛え上げられた身体に纏っている色も黒。

彫刻のように整った顔立ちなのに引き結ばれた口元や吊り上がった太めの眉のせいでとても強面のような印象に感じる。


だから!見ないでって言ってるでしょ!口に出してないけど!

しかし次の瞬間男はとんでもない事を言い放った。


「・・・貧相だな」


あまりの発言に一瞬頭が真っ白になる。

・・・おっぱいか?

おっぱいの事なのか?

おっぱいの事を言ってるんならいつか絶対コイツのチャームポイントであろう凛々しい眉毛を抜いてやる・・・。


「上背はあるが全然発育していない・・・大きさ的に14,5くらいかと思ったが、もしやまだ10を超えたばかりか?」


a-ha???10歳???

誰が?私が??

花も恥じらう18歳ですけど??????????


17歳や19、20に間違われた事はあれど、10歳やそこらに間違われた事なんかない。

身長も高めの168㎝だ。

お前の目は節穴か!

しかしそんな事を言える雰囲気ではない。

早く答えろとばかりに目の前の男が私を睨みつけている。こわ・・・。


「えと・・・18、です・・・。」



そう言ったことを私は後悔した。

男の雰囲気が変わったのだ。

先程までも凄い威圧感だったが、今はそれの比ではない。


「そのナリで成人済みだと?嘘ではないだろうな。」


男が立ち上がり目の前に立つ。


でかい。190㎝を超えているのではないだろうか。

恐怖心のせいか体が動かない。喉が渇いて汗が噴き出す。

成人?まだですけど?


「答えろ」


余りにも私が答えない為焦れたのか、目の前の男が返答を急かす。

それに答えるようにと私の両隣を固めていた内の片方の男が私の背を軽く叩いた。

それに押し出されるようにして辛うじて声を出す。


「う、嘘じゃないです・・・。」



次の瞬間私は地面に倒れていた。

左頬がじくじくと熱を持つ。どうやら殴られたらしい。


え?何で?本当の事を言ったのに。

ってか年の事しか言ってないのに!?

お、乙女の顔を殴るとか・・・・!


殴られた衝撃で恐怖が吹き飛び、左頬を抑えながら只々呆然と男を見上げる。


「貧弱な身体に精神・・・18にもなってそれか。異世界の男とは皆こうなのか?忌々しい。」


虫けらを見るように私を一瞥しそう吐き捨てると、男は魔術師たちの方へ向き直った。

周りにいる騎士っぽい人達は皆平然としている。


異常だ。

女の子が顔を殴られて倒れているのに皆眉一つ動かさない。

てかさっき何かあいつ男とか言ってなかった?

私の事?まだ勘違いしてるの?

いやそれよりも異世界ってなに?異なる世界?夢?いや、痛かった。夢じゃない。


戻ってきた恐怖と怒りやら困惑やらで混乱し、見知らぬ男に殴られたというのに悲鳴一つ出せない。

その内に男は魔術師みたいな人達と話をつけてしまったらしい。


「その男はうち預かりになった。・・・三階の奥に物置があるだろう。そこへ連れていけ。」


「はっ!」


私には一瞥もくれず私の両脇を固めていた男たちにそう告げると、その二人と私を残し他の男たちや魔術師達と去っていった。


なんっ・・・なんっ・・・

なんだアイツっっっ!!!

混乱している私に何の説明もせずに勝手に盛り上がり、肩を外され吊るしあげられ。

正直に答えたのにビンタされるし!

き、嫌いだ・・・二度と顔を見たくないレベルで嫌いだ・・・。


「おい、大丈夫か?」


私が下を向き恐怖と怒りと屈辱に震えていると、上から気づかわし気な声がかかった。

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