第1話 {リマニ到着}
1週間ぶりの暮葉です!
今回は第1話の投稿です。
ぜひ読んでください!
「おぉ、かわいいな嬢ちゃん」
何なんだよぉ……このじょうきょうぉ……
目の前には舌なめずりしながらにじり寄ってくる変態はいるし。
その後ろには男たちに囲まれて泣いてる女の子いるし。
相棒の斑は毛づくろいしてるし。
そもそも僕、鷺宮式葉は男だし!!
「やっとついたぁ!」
やっと、やっと大陸についたんだ!
長かったよ……クスエンス島から大陸は遠かったよ。
船に乗ったはいいけど何度も遭難しかけるし……
今まで一人でいた分、世界中を旅していろんな人と出会うんだ!
「ミッ!ミッミッ!」
「って痛い痛い!斑、痛いよ!止まって悪かったよ……」
立ち止まっていた僕を斑がつついてくる。
もう、つつかなくてもいいのに。
どっか人のいるところに行かなきゃ。
周りも木ばっかりで何にもわかんないしね。
――――ん?
なんか聞こえるような……
ブウゥゥゥゥゥゥゥン!!!
「えっ、は、蜂!?蜂の魔物ぉ!しかもたくさんいるぅ!」
後ろを見ると蜂の魔物、カラブホーネットの大群が迫っていた。
「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ミッ、ミィィィィィィィィィィィィィィィ!」
なんでこんなにいっぱいいるんだよぉ!
「はぁ、はぁはぁ……やっといなくなったよ」
「ミィィィィ……」
斑もこんなに疲れてるし。
それよりもここどこだろ?
カラブホーネットから逃げていた僕たちは、森に迷い込んでいた。
「いつの間にか森の中に入っちゃったから全然わかんないよ」
周りには、たくさんの木が生い茂っている。
どこを見てもおんなじような景色だし。
いつあの蜂たちが現れるかわかんないし、とにかく歩こう!
んー、全っ然人がいそうなところに出ない!
1時間くらい歩いただろうか?辺りは木の葉の擦れる音しか聞こえない。
どこを歩いても木!右見ても木、左見ても木!
「ミィィ……ミッ」
斑なんて僕の肩で休んでるし……
「どうしよぉ……ん?」
とぼとぼと歩いていると先の方に開けたところを発見する。
あっちの方木がない?
とりあえず行ってみよう!
「わぁ!」
行き着いた先には道路があった
「これを歩いて行ったら町とかに着くのかな?どう思う斑?」
「ミッ、ミッミィィィィ!」
聞かれた斑は、羽を左に向けて叫ぶ。
左に行ったらいいって斑が言ってるし行ってみよう!
「……あっ町だ!町がある!あそこに行けば人に会えるっ……!もう10年も人に会ってないから緊張するなぁ!」
早く、早く行ってみたい!
僕が足早に進みだすと、肩の斑も降りてきた。
徐々に歩みが早くなっていく。
残りが300メートル程になり、僕と斑は走り出す。
あと、あと少しで……!
そして、町に足を踏み入れる!
「つ、着いたぁ!」
「ミィィ、ミィィィィィ!」
僕と斑は、町に着いたことがうれしく喜びの声を上げる。
「すごい、町だ!……ん?ここリマニっていうんだぁ」
僕の視線の先には『港町リマニ』と書かれた看板があった。
「お嬢ちゃん、リマニは初めてか?」
立ち止まっていた僕に、後ろから声がかかる。
「ぼ――っ!」
僕は男です!と訂正しようと振り返って人を見た瞬間、脳裏が熱くなる。
な、なに?熱い、頭がっ!
そのとき、まるで頭の中に何かが流れ込むような感覚が襲いかかってきた。
――――逃げてっ!
――――生きて……あなただけは生き延びて……!
紅い、朱い、赤い、少年がしまい込んできた『記憶』
仲間たちの流した『血』、大切なものを燃やし尽くした『炎』、自分を『弱者』として扱った『強者』
その全てが、呼び覚まされた……
身体が震えてる。
汗がとめどなく流れていく。
目眩がする。
呼吸がうまくできない。
全身から血の気が引いていく。
いつの間にか、僕は膝をついて体を抱いていた。
「ミッ、ミィィ……?」
「お、おい。大丈夫かよ……具合でも悪いのかい」
「えっ……、あっ……ヒィ!」
恐い、怖い、コワイこわい……!
「ふぅっ……ぐ!」
僕は、その場から逃げるように駆け出していた。
「はぁ……はぁ……っうぅ」
周りには、人気がない。
そのことに気づくと頭の中がクリアになっていく。
「ミィィィ……」
斑が裾を引っ張りながら、心配そうに見上げていた。
ようやく頭の中が整理が出来てきた。
人を見た途端、10年前の記憶が……。
体が人を拒絶するような感覚。
脳が人に恐怖を抱く感覚。
そこで気づいた。
――――僕は、人間が恐い。
ど、どうしよう……人が恐いなんて、これからどうやっていけばいいの?
自分が人を恐れているという事実を悲観して俯きながら歩いていると、周りから少しずつ人の気配を感じ始める。
斑は何も言わず、心配そうについて来ていた。
また、体が震え始めてきている……
――――きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
悲鳴!?どこから!?
顔を上げて辺りを見渡す。すると、少し先に薄暗い路地裏をを発見した。
「あそこかっ!」
そういうと僕は駆け出した!
路地裏を進んでいくと曲がり角に差し掛かり足を止める。
そっと覗き込むと、3人のガラの悪い男たちと1人の少女いた。
少女は両手を握られていて、逃げようともがいているが逃げだす事が出来ない。
――助けなきゃ!
そう思って踏み出そうとするが足が動かない。まるで足を縫い付けられているようだった。
助けないといけないのに……!なのに、なんで動かないんだっ!
少女は、今にも泣きだしそうだ。
くそぉ……!
その時、ドン!という音とともに視界がぶれる。
いてて、何なんだ?
視界のブレが収まって前を見ると、男たちと少女が驚いた様子で自分を見ている。
振り返ると斑がいた。
斑がタックルしてきたのか?
「おぉ、かわいいな嬢ちゃん」
「へぇっ!?」
最初は驚いていた男たちだったが、乱入してきた僕を女と思ったようで1人がグヘへと笑いながらにじり寄ってきた。
き、気持ち悪い!
しかし、恐怖で体は動かない。
ま、斑、助けてっ!
救済を求め視線を送ると、そこには毛づくろいをする斑が……
ええぇっ!?うそでしょ!!
そんなことをやっているうちにも男は近づいてくる。
震えていると、男が僕に手を伸ばしてきて……!
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
僕はとっさに右ストレートを打つ。
「うごぉぉ……!がはっ」
「あぁぁぁぁ……へぇ?」
うめき声に顔を上げると、腹部を押さえる男がいた。
え?えっ?一体何が――――
「おい!てめぇ、なにやってんだ!」
「ぶっ殺すぞぉ!」
少女を捕らえていた男たちが襲いかかってくる!
どうしよぉ!
その瞬間、黒い影が凄まじい速度で翔けてくる。
「へぶらっ」「ごげぇ」
男たちは、壁まで吹き飛ばされていた。
「ま、斑……!助かったよ!ありがと!って、なんでさっきはタックルなんてしてきたんだよ!」
「ミィィ、ミッミィィィィィ」
どこ吹く風な斑に憤慨していると、襲われていた少女がこちらによって来た。
「あ、あの!ありがとうございました!」
「うわぁ!へ、あ、いや」
突然お礼を言われてびっくりして辺りをみると、
「なんだ?」「大丈夫かねぇ?」「ゴロツキが暴れてたんだとよ」「こわいねぇ」「どうかしたんですか」
そこには、人だかりができていた。
目に映るのは、人、人、人。
「うぅ~……」
パタンッ
僕はその場で気を失った。
まだ始めたばかりの『四勢力と統合者』ですが、自分がテスト週間に入ってしまうので2週間ほど上げられないと思います。すいませんが少しの間だけ待っといてください!
もしかしたら近いうちに主人公と相棒の紹介をやるかもしれません!