表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
deep  作者: 白米
3/22

糖蜜ラブレター

 シャチくんは鈍感だ。つーかアホだ。ズレている。私と似ている。そこがすきだ。

 だから、そんなシャチくんが人間の先輩から告白されてしまったことは、未だに信じがたいことだ。


「これは」


 紛れも無いラブレター。ピンク。ハート。真っ赤っ赤の。

 つーか、まだ開けてないじゃん。なぜ、私に。

 恋敵じゃん、この先輩。

 シャチくんがすっと私にそれを渡してきた。自分で開けろよ。っていうかこのシーンだけ抜粋すると、私がシャチくんが書いたラブレターを受け取ってるみたい。あほらし。

 

 中に書いてある文字を一語一句全て朗読した。書いてあることは甘ったるくて、それこそ文字も便箋も全部糖蜜でしょうがない。げろを吐きそうなくらいに甘い文章をなんとか全て読み終えて、なんだか私が恥ずかしくなってきた。私がシャチくんに告白してるみたいじゃん。あほらし。

 しかし、正直表情豊かとはいえないシャチくんは、相変わらず何を考えているのか分からない表情をしていた。あー……これは……と喉を締めたような声を出したあと、こう言った。


「喰っていいって意味か?」


 喰う……それはもしや、性的に、下の口を喰ってしまうという、そういう?

 脳裏をまっピンクにしたところでシャチくんを見ると、舌なめずりをしていたのでああこれは、そういうことかと理解する。


「あー……そうかも」


 適当な返事ができるのは女子の特権、なんて強欲に塗れたことを考えていると、シャチくんが何となしにこう言った。


「まぁ、いいや。どうせ骨ばっかでマズイだろうしな。それに」


「喰うのはお前って決めてるからな」


 私を殺すおつもりですか、アナタ。

 マジにしてんのかよ、シャチくんがきゅっきゅっきゅっと笑った。笑っている姿は海のギャングそのものだったけれど、笑い声だけは可愛かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ