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deep  作者: 白米
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凛子の話

 雨宮凛子は変わり者。全て兄のせいだと責任転嫁すれば楽だろうが、男勝りな彼女はそんなことしない。

 自分の意志でこうなったのだ。文句があるなら今すぐこい。ぶん殴ってやる。そんな彼女に私が憧れ、惚れ惚れしてしまうのは目に見える光景だった。


 彼女は例えるならば――漫画の世界のキャラクター。つまり非現実的。私の理想。理想ってことは、あってはいけないということなのだ。存在しない、ありえない、ふざけてる、あまりに、非合理的で都合が良すぎる。


 彼女は私を愛していた。目を合わせようものならばぎゅっと抱きついてくる。じたばたするのも癪だ。しかし「お前って抱きごこちいーな」と言われるのはもっと癪だ。


 己のことをギャルビッチと豪語しているだけはあり、男経験は私の倍以上だった。いや、私はゼロだからゼロに何をかけようがゼロだな。足す?とでも言えばいいのか。とにかくそこら辺の女子高生の平均セックス率を遥かに凌ぐ調子であるのは確かだ。


 だから分からなかった。女としての悦びを知って有頂天であるはずの彼女が私を羨み愛すのか。

 そして、なぜ彼女が男を愛せるのかもまた、理解し難かった。


 彼女は兄と肉体関係を持っていた。彼女曰く「想像するだけで吐き気がする」だそうだ。詳しい話は聞かないし聞きたくもない。お互い合意の上でにセックスなのか、無理やりなのか、どちらかは分からないが、彼女のトラウマになっているのは確かだろう。


 私には兄どころか肉親もいないからイマイチ世間と解釈が変わるかもしれないが、私がもし仮にいる兄と肉体関係を持っていたとしたら、今後一切男と愛を契るなどできないだろうと思う。――いや、もしかして、もしかして凛子は愛の契りなんてしていないのかもしれない。だって彼女は不埒すぎる。あれは愛の契りなどではなく、ただの売春だ。

 春売りだと割りきってセックスしているのだとしたら、やっぱり彼女はイカれているのだと思う。そして、私に憧れている理由も、なんとなく分かる気がする。


「いいよね、アンタはさ。いるじゃん。王子様。鯱田……ああ、シャチくんだっけ? いいジャン、肉食系。人間みたいにしみったれてないしさ、いっそセックスしたあと食ってくれるやつのがちょーどいーや。」


 私を羨望の目で見る彼女が好きだ。なんだか、女の中に潜む男を馬鹿にする心だとか、自分より下の女をあからさまに見下す睫だとか、そういうのが浄化されて見えるから。きっとその言葉が本心だと思えるから。


 雨宮凛子。健康優良不良女子高生。女子高生になってからできた彼氏の人数二十四人、ヤッた人数九十三人。もうすぐで百人突破だと笑っていた彼女の顔に疲れはなかった。

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