狂愛者
彼女が見知らぬ蛆虫に笑いかけている姿を見た。
────あぁ、これが頭が真っ白になるということか。
思わず他人事に考えてしまった。
君はボクだけを見ていればいい
寧ろ誰も見るな
そんな蛆虫に笑いかけるな
そう……
──君はボクのものなのだから──
それなのに君はボクの言うとおりには動かない。
また、蛆虫を見て笑いかける。
蛆虫への殺意と君への怒りは日毎に激しさを増す。
──いい事を思いついた──
ボクは実行することにした。
蛆虫を自殺のように見せかけて殺し、次のターゲットである君の目の前に立つ。
目に涙を溜め、射殺さんばかりに睨みつける君。
ナイフを見せると一点怯える君。
君が悪いんだよ。ボクの忠告を聞かずに蛆虫どもに媚びるんだから。
だから君にはお仕置きが必要だよね。
お仕置きが終わったら……ずっと一緒にいようね。
これで君はもう誰も見ることも笑いかけることもないんだからさ。