24:恋の歌
「雄三さんに、言わなきゃいけないことがあるかもなんだけど…」
達也との電話の二日後、またバイト先の前で待ち合わせした。
「え、何?なんか怖いんだけど…」
不安そうに、そして大袈裟に後ずさってみせる雄三。
「怖くないよ。ただ…えっと、美帆の元彼の話をした方が良いのかなっと思って。付き合ってるんだし」
すると雄三は微笑して、
「そんなことは別にしなくて良いよ。大事な思い出とかあるかもだし。付き合ってるからって、相手になんでも言う必要ないんだから」
「…そうなの?」
元彼や元カノのことって、どう扱うのが普通なのだろう。
これで良いのかな…?
「あっでも、因みに元彼何人いる?」
「一人だよ。…雄三さんは?」
「俺も一人。たくさんいたらどうしようとか、ちょっと気になった」
雄三は笑う。
―…昔、男関係でなんかあったのかな。―
雄三は出会って間もない頃に美帆に対して感じたことを、再び思い出した。
最初は男を遠ざけようとする態度があったから…。
いつか、機会があったら聞いてみよう。
「ねっ、雄三さん家って何やってるんですか??」
「あー…貿易関係」
「…ふぅん?」
―雄三さん家って、やたらお金持ちだょね。
貿易関係ってなんなんだろ。
上流階級の家だったらどうしよ…。不釣り合いだとか言われちゃったりして。
またいつか、機会があったら聞いてみよう。
「ねぇ、雄三さん」
「ん?」
「私達って、これからだよね」
「だな」
雄三さんと過ごす日々には何があるのかな。
たくさんの大切な想い、見つかると良いな…。
ずっと君と、歌を歌うよ。
素敵な春の、恋の歌。
ついに終りました。ここまで見てくださって有り難うございます。中学生の夏休みになんとなく思いついて、ぽつぽつと書き始めたこの作品。友達にしか見せていなかったのですが、このサイトを見付け掲載することができました。文章力がなく、稚拙な部分はいなめませんが、これをきっかけに小説の楽しさや大切さを再確認することが出来ました。思い入れがとても強い作品だと思います。まだまだ、たくさんの設定がありますので、続編として『秋色白書』を連載します。いつになるかはわかりませんが、見付けたら読んでみてください。沢山の読者様に恵まれた私はとても幸せ者だと思います。アドバイスを頂けたことも凄く嬉しいです。感謝は語り尽せませんが、これからも精進していきたいので応援、感想よろしくお願いします。しつこいですが、本当に有り難うございました。