21:乙女心
二人を好きなときは、どっちのことも本当に好きなわけではないのだと聞いたことがある。
…でも。
でもね。
長年好きだった人をやっと諦めて、他の人と付き合いだして。
そんな時に好きだった人が再び現れたら…。
わかんなくなるよ。
そんなもんじゃないの?
皆、自分が誰を好きかすぐわかるの?
私は、どうしても、二人を本気で好きじゃないなんて思えない。
二人共全く違うものを持ってる。
だから惹かれる…。
雄三さんは、『好き』をぶつけてくれる。
暖かく、明るく、そして優しく包んでくれる。
達也は…頼りなくて、ちょっぴりヌケてたりするけど、楽しい。
イライラすることも、ちょっと―…いや、たくさんあるけど、お互いに通じ合えてるって思えるくらい達也の全部を好きだって言える。
二人共私のイヤなとこも全部わかっていてくれるから、私は素直に、時にワガママを言ったり出来るの。
―私はどっちを求めてる?
そうだ…。あの質問を、しよう。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「うん?」
一呼吸置いて話す。
「達也は私のどこが好きなの?」
これを聞いて達也は照れた表情を浮かべ、
「うーん…そだな。強いて言えば、ハッキリしつつも可愛らしい性格と、キレイな目」
…そっか。
「ありがとぅ。じゃぁちょっと、考えさせてくださぃ」
少し儀礼的な言葉で、顔を笑わせながら、去った。
「…美帆。どうしてそんなに悲しそうなんだ?」
ぽつりと呟いた声に美帆は反応しなかった。