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春々恋歌  作者: 由樹
18/24

18:真実話

「…美帆に、悪いことをしたのかなって、思った」

ペットボトルの水を少し口に含み、話す。

え…?

“悪いこと”って、何。

そんなレベルだったの…?

「今だから言えるんだけど…俺、脅されたんだよね…」

苦い言い方をする。

「美帆と別れないと、美帆のことを…リンチするよ、とか言われてさ。最初は俺が守るから関係ねぇよって、タカくくってたんだけど…」

「脅された…?リンチ……?」

意味がわからない。

いきなりなんの話?

貴方には好きな人が出来たのでしょ?

聞いてないよ、そんなこと…。

「…実際、美帆の目の前に花瓶が落ちてきたり、家の表札が壊されたりしてたろ?俺、そんなの有り得ないから言いに行ったんだよ。その…脅してきたヤツらに」

「うん」

相槌をうちながら聞く。

「したら…これからも美帆を危険な目に合わせるし、リンチも決行するから、さっさと別れな。って言われた」

危険…。

そう言えば、ガラスの破片が数枚、靴箱に入ってたこともあった…。

「俺、ずっと考えた。美帆と別れたくないけど、リンチされるなら別れるに決まってるし。…今は、警察に行けば良かったのかなとか思うけど」

「…そ…そんなことが、あったの?」

「驚かせてごめん」

「なら…どうして私に話してくれなかったの?当事者は私でしょ」

「美帆は正直だから、動揺しちゃって隠せないと思って」

「だって…。理由を言ってくれれば、あんなに辛い思いしないで済んだのに…」

唇を噛む。

「辛いって…何かあったの?」

「ばかっ、達也と別れたことだよ!達也は他に好きな人が出来たって、そう言ったじゃんっ!!だから、私、ずっと辛くて…誰も信じられなくなった…っ」

涙が溢れる。

「ごめん、口止されてたから…」

「盗聴されてるわけじゃないんだから、きっちり話してくれれば別れたふりだって出来たでしょ?てかなんで、ウチラを別れさせたかったの?」

目的は何?!

私は精神がおかしくなるくらい…ずっと苦しんでたのに…っ。

「理由…?さぁ、知らないけど」

「…なんで。理由もわからないで従ったの?」

忘れてた…。

達也って、大切なとこでヌケる人だったんだ!

「うん…。とにかくそうしなきゃって、慌ててた」

やってらんない。

「もう、いい」

私はベンチから立ち上がって、達也に別れを告げた。

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