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春々恋歌  作者: 由樹
17/24

17:幸日和

「おーし、メイクもばっちり☆」

朝起きると、空白の時間を埋められたからなのかすっきり爽快だった。

お肌の調子も良く、美容師さんが担当しているアイドルにだってヒケをとらないわ、と自信満々で家を後にした。

着いた先では、髪の毛がきれいだ!と誉められ、写真を撮らせてほしいと言われた。

来週には店先の看板に写真が載る筈だ。

美容師さんに誉められることさえ初めてなので、嬉しかった。

今日はとても良い日だ。

そうだ。クレープを食べて帰ろう。

昔よく行ったクレープ屋さんで。

達也と一緒にたくさん来たっけ。

だからなんとなく…近寄りがたかったんだけど。

クレープを買い、近くの噴水に目をやる。

人混みの中で、浮かび上がるように目に止まった人がいる。

「!」

ばちっ、と視線がぶつかる。

うそ…。

なんで…。

今まで…昨日まで会いたくてたまらなかったのに…。

それでも、ずっとずっと会えなかったのに……!

「達也…」

「美帆…」

同時に、相手の名前を呼んだ。

顔がひきつる。

心臓が、バクバクいう。

クレープを持つ手から、力が抜けていくのがわかる。

「―あ…、元気?」

始めに口を開く。

一瞬びくっと体を跳ねさせ、

「あ、ぁ、うん。美帆も…なんか変わった…な」

途切れ途切れに話す。

なんか気まずいよ?

なんで…。

おーっす☆とかって、明るくすれば良かった…。

「あ、今、美容院行って来たから」

「そか。そこの?」

「うん。昔から変わってないよ」

「…そか」

私は、変わってないよ。

不思議とそう伝えたくなった。

変わってない。

別れた時のままだって、自分に言い聞かせるかのように。

「クレープ食べなよ。アイス溶けちゃう」

「あっ、あぁ。うん」

不意をつかれながら、口に運ぶ。

美味しい。

「座って、ちょっと話しない?」

2、3秒空白を開けてから、静かに頷く。

何かに導かれるかのように、いつもの―いや、昔座っていたベンチに座る。

とにかくクレープを食べることに集中していると、達也が喋り始めた。

「…ずっと、美帆に会いたいと思ってた」

うつ向き加減の達也。

美帆は思いがけない言葉に目を見張る。

だって、達也が私から離れて行ったのだから。

「―ずっと、ちゃんと話したいと思ってた」

クレープが包まれていた紙をそっと握りしめ、達也を見る。

「美帆に、言わなきゃいけないことがあるんだ」

達也登場です。やっと出て来ましたー。パチパチ。(拍手)なんて浮かれてる場合じゃないですね。応援してくださる皆様、本当に感謝しています。これからも精進して行きたいと思いますので、よろしくお願いします☆

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