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春々恋歌  作者: 由樹
13/24

13:前向き

これは、一体どういうことだ?

いきなり投げ遣りとも取れる態度。

付き合えるのは嬉しいけど、イマイチしっくりこない。

「もしもし?今メール見たけど」

別に怒っているわけではないのだが、感情の無い声になる。

「あ、そうですか。昨日あれから考えて、やっぱり付き合おうかと思ったんですが…どぅですか?」

イヤなら別に良いですよ、という口調。

「何、なんかあったの?」

じれったくて訊く。

「え、何も。どぅかしましたか?」

普通…なのか…?

「あのさ。美帆も俺のこと好きになってくれたの?」

「好き―そぅですね、なりそうですよっ」

明るく答えてくる。

「えぇーっと、じゃぁ…」

別に断る理由はなく、嬉しいことなので、

「よろしく」

「はい☆でゎまたー」

プチッ

電話が切れた。

付き合うことになった。

俺は昨日、これから長く片想い生活を味わい、アタックし続ける気でいたのに…。

あっさり幸せが手に入ってしまったようで怖い。

実際は、美帆はまだ自分のことを好きだというわけではないので、頑張っていかなければいけないが…。


「ふぇーー」

何ともなしに息を吐き、ベッドに倒れこむ。

彼氏が出来ました。

達也の次の。

だから…達也とは終わったんだよね。

や、前から終わってたんだけど。私の中でずっとくすぶってたから…。

…本当に、終わった?

終われたの…?

まだ、終らないよ。

変わらないよ…。

だって達也と話せたわけじゃないから。

けど、今更話し合うことなんか出来ない。

遅すぎる…。

なんか、さっぱりしたいなっ。

気晴らしに美容室にでも行こうか。

ちょっとカットして、根元カラーリングして。奮発してトリートメントもしちゃおぅか!

うん、楽しくなってきた。

早速。

予約入れよう。

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