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春々恋歌  作者: 由樹
10/24

10:元カノ

―あの子、雄三さんの妹さんだったのかなぁ…。

それにしてはやたらと印象が違った。

雄三はもっと優しく明るい性格がにじみ出している顔だから。

パーツとして見てみると、例えば目自体は似ているかもしれない。

だが、あの冷たい眼差しは似ても似つかない。

同じ家庭に育ったのに…何故こうも違うのだろう?


《今日は有難うございました。1つ聞きたいことがあるんですけど、私が雄三さんの家を出てすぐに妹さん帰ってきませんでしたか?》

気になった美帆は、本当に妹だったのか、雄三に確認を取ってみることにした。


―…ん?メールか。

サイレントにしてたから気ぃ付かなかった。げ。

なんで恵実が帰って来たこと知ってんの…。

会ったのか…?

アイツ、無愛想だから妙な雰囲気を漂わせたに違いない。


《あー、会った?》

やっとメールが届いたと思ったら、この間の抜けた返事はなんだろう。

あー、というのは面倒臭がっているニュアンスとしても受け取れる。

《はい。お話出来なくて残念だったょ。》

メールは今まで丁寧語にしていたので(無意識にだが)、いつも話すときのようにタメ語も混ぜておいた。

《アイツ、今日はうっすら機嫌悪かったから…なんかしなかった?(笑)》

《え?なんかってなんですか!(^-^;)》

いつもなんかするのかよ、と突っ込みを入れつつ質問する。

《目で訴えるというか…。や、なんでもない。(笑)》

《??まぁ、良いです。でもやっぱり妹さんだったんだ〜。》

ただの独り言とも言えるメールを送る。

《そうだよ。》

と雄三は打ちながら、メールを続けたいのに話題がないもどかしさを感じた。

《よろしくお伝えください。それではまた☆》

あー、やっぱ止められちゃったよ。

少しわびしさを感じたが、仕方ないので静かに携帯をベッドの上に置いた。

今日、勝負に出ようと気合いを入れていたのに、結局タイミングを逃し良い雰囲気を作ることさえ出来なかった。

元はと言えば実悠のせいだぞ?

あんなトコに、似合わず手紙なんか隠しておくから。

何が“ビックリしたかなぁ?”だ。心臓が飛び出る程慌てたっつうの。

何が“まだ2人は付き合ってるかなっv”だ。お前からふったくせに。

何が“ずーっと、別れても仲良く出来てるとイイね☆”だ。

お前が…浮気したクセに。

しかも俺に何も言わせず、そっちもきちんと説明しないで逃げやがって。

だから今も仲良く出来ねんだろーが…。

―…けど。

なんか、ふっきれた。

お前もちゃんと俺を好きだったことあったんだろ?

だからこそ余計、罪悪感があったんだろ?

…そう、思うことにするよ。

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