大罪
この世には七つの大罪が存在する。傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲の七つだ。そしてその罪を力として扱う者たちのことを《大罪人》と呼ぶ。
俺は坂田智也、冒険者を育成している春咲学園の生徒だ。俺は今、学園から帰宅をしていた。
「疲れたなぁ」
俺がそんな独り言をしていると1人の男性とぶつかってしまった。
「すまない…怪我はないか?」
「…あ…怪我はないです。」
「そうか…なら良かった。すまないが急いでいるので…」
そう言って男性は立ち去っていた。その瞬間だった。大きな地震が起きた。
「なんだぁ?」
地割れが起き、建物も壊れかけている。地震は数分続き落ち着いた。
「クソ…って、なんだこりゃ…」
辺りを見渡すと今まであった建物は全て瓦礫と化し、血の匂いがそこら中からしている。
「早く助けないと!」
冒険者は一般人を守り魔獣などと戦う職種だ。俺も冒険者になりたいがために春咲学園にまで来たんだ。俺はすぐに声の聞こえる方に行き瓦礫を退かし助けていく。だが救える人数にも限りがあるし、俺の体力とて無限ではない。
「はぁ…はぁ…まだ…助けないと…」
俺はたった1時間ちょいで呼吸が乱れていた。まだ悲鳴が聞こえる。するとそこに大きなドラゴンが現れる。どう見ても俺が勝てる相手じゃない。
「なんだよ…それ…」
死を覚悟した。その時だった。ドラゴンが一瞬で吹っ飛ばせれた。
「クソ野郎が…飯の邪魔してんじゃねぇよ!」
そんな男勝りな発言をする女性…彼女がドラゴンを蹴り飛ばしたのだ。蹴られたドラゴンは木っ端微塵、辺りは文字通り血の雨が降っていた。
「あ…あなたは…」
「あ?そんなことよりも…お前、料理できる?」
「へ?」
「料理できるんだったら、あのトカゲ調理してくんね?いつもは私の部下がしてくれるんだけど、こんな時にいねぇんだよなぁ」
何を言っているのか分からなかった。こんな状況で食事?
「そんなことしてる場合じゃ…ないです…まだ…助けないといけない人が…」
「私としてはそんなのどうでもいいんだよねぇ。誰が死のうと私にゃ関係ねぇし」
「あんた…本気で言ってるのか?」
「本気も本気だよ。私は食事さえできりゃそれでいいの」
「人の心がねぇのかよ!」
「ねぇよ!そんなもん!そんなのなんの腹の足しにもならねぇからなぁ!」
女性が俺に攻撃を仕掛けてくる。俺は咄嗟に目を瞑った。死ぬ…そう思った。だが瞬間俺は強風に襲われただけで死にはしなかった。
「やめろ」
女性の攻撃は黒スーツの男性によって止められていた。
「邪魔なんだけど?」
「無駄な殺生は避けろ。面倒ごとになる。」
「これは無駄じゃない。私の気分が良くなる。」
「テメェ如きに気分なんざどうでもいいんだよ。」
「見下してんのか?カイト」
「お前こそ、俺に指図してんじゃねぇよハルナ」
そこだけ空間が歪んでいるように感じるほど圧がすごかった。するともう1人、男性がラフな格好の女性に抱えられてやってくる。
「2人とも〜止めるの面倒だからやめてくんない?」
「お前も指図するのか?」
「指図なんて面倒じゃん。僕にとって面倒なことは起こすなって言ってんの。君たちが殺し合うとか僕的にはどうでもいいんだけど…今はそれより面倒なことがあるからそっちから片付けてくんない?」
そういうと睨み合っていた2人は顔を逸らす。
「はぁ…わかったよ。その代わり、後で飯奢れよな」
「次指図したらお前も殺すぞ。蓮」
そう言って2人は別々の方向に飛び去った。
「大丈夫?怪我とかない?」
ラフな女性が俺に声をかけてきた。
「だ…大丈夫です」
しかしかなりの美女だ。しかも服もはだけているし、布面積も小さい。へそや、胸、足、どこもかしこも健全男子的には刺激が強すぎる。
「お姉さんが癒してあげようか?心も体も…」
「そ…それはどう言った…」
「カエデ、そこまでにして…面倒だけどユキから頼まれてるんだ。失敗したら怒られちゃう…その方が面倒」
「そうだね…じゃあね坊や」
そう言ってその2人も立ち去った。
「なんだったんだ?」