第六話 英傑
四大英傑ってなーんだ。
この私、アイラが教えてあげよう。
四大英傑は、すごーく簡単に言えばとっても強い四人組。
全員が固有の魔術を扱い、卓越した戦闘技術を持っている。
ちなみに四大英傑はそれぞれ通り名がつけられている。
私の通り名は知っての通り戦姫なんだけど、私はあんまり好きじゃない。
「女皇が君を殺しに来る。」
ウルに言われた言葉が頭を駆け巡る。
女皇というのは四大英傑のなかでも随一の変人だ。
だがとにかく強い。
正攻法で勝てるような相手ではない。
「急がないと…。てかこの森広すぎでしょ。」
現在ウルと別れてから2日が経過している。
彼のことは結局よくわからなかった。
死神騎士といえば罪人を必ず殺すなんて噂だったのに。
彼は騎士団を調べるといって去っていったが、最後までなぜか上機嫌だった。
「ほんっとやなやつ。次あったら殴ってやろうっと。」
そんなことを言いながら走っていると、ようやく森の出口が見えてきた。
この森を抜ければラント共和国はすぐそこだ。
そこまでいけばあの女皇も追ってこられない!
「そんなに急いでどこに行くの?」
意思に反して足が止まる。
振り向いてはいけない。
いや、振り向きたくない。
後ろには地獄がある。
「はぁ。久しぶりの再会なのに、つれないなぁ。お姉ちゃん、悲しいよ?」
「…女皇。こんなに早く追いつくなんてね。」
「もー。そんな物騒な名前で呼ばないでくれない?ちゃんとヴィルお姉ちゃんって呼んでくれないと、怒っちゃうよ?」
私は覚悟を決めて振り返る。
木の上に立っているのは烈火のごとく紅い髪を靡かせ、不敵な笑みを浮かべる女。
女皇、ヴィリアール・ヴァイス。
彼女の真紅の目に捕らわれたからには、もう逃げ切ることなどできない。
「久しぶりだね、ヴィル。元気だった?」
「アイラに会えなくて寂しかったけど、ずっと元気だったよぉ。ねぇアイラ、逃げないで私と一緒に行こう?そうすれば苦しまないで済むんだよ?」
「あなたには従わない。それに無駄なお喋りをする気もない。闘るなら…さっさと始めよう。」
「えー、せっかくの再会なのにぃ。まあすぐに勝負を終わらせればいっぱいお喋りできるよね☆」
ヴィリアールは木から飛び降りる。
彼女の周囲の大気が震えだし、魔力が集まる。
どうやってもヴィリアールとの戦闘は回避できないみたいだ。
「ふぅ…今回は出し惜しみナシで行くしかないね。」
「すぐに終わらせてあげるからね、アイラ!」
ヴィリアールの魔力が解放され、私の命運をかけた殺し合いが始まった。
先日牛丼を食べに行ったのですが、ねぎだくで注文しました。
出てきたのはねぎ抜きでした。
なんでだよ。