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永夜の流星  作者: Ragna
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第三十七話 怪物

「こいつら無限なんか!?」


大量の水の刃を発射しながらリアが叫ぶ。

迷宮の壁を壊し始めて40分ほど経った。

その間、私たちは大量の骸骨に襲われていた。


「こいつらはレインが生成してる!だから魔力切れを待つしかない!」

「にしても多すぎるわ!」


襲い掛かってくる骸骨一体一体は弱い。

それでもここまで無尽蔵に出されると、さすがに困る。

これほどの物量をいなしながら壁を壊すのはかなり難しい。


「ほんまあいつどんだけ魔力持ってんねん!」


リアが水刃を飛ばしながら縦横無尽に刀を振るう。

一度に大量の骸骨を粉々にしているが、次の瞬間にはそれ以上の数がこちらに向かってくる。

これでは息をつく暇もない。


「くそったれ!いったん休憩や!」

「え!?そんな暇ないでしょ!」

「暇を作ったらええ!水鏡(みずかがみ)!」


私とリアの周辺に水の障壁が生成される。

この技は確かあの時の…


「ふ~、ほんま疲れるわ。ええ技やろ、水鏡。」

「暗黒竜の時に使ってたやつだよね?」

「せやせや。あん時は応用して暗黒竜の動きを止めんのに使ったんやけど、本来こういう防御用や。」

「それでも水なら骸骨が入ってきちゃうんじゃない?」


実際、障壁の向こうでは中に入って来ようとしている骸骨が大量にうごめいている。


「そこは心配無用や。こいつら程度の奴らが水鏡を越えようとしたら…」


バキバキという音が聞こえ、振り向く。

見てみると、障壁を越えようとして骸骨が粉々になってる。


「ごらんの通りや。しかもこの中の空間は精霊の加護が付いとる。魔物は存在すら出来やん。」

「相変わらず化け物じみてるね…」

「そら言い過ぎやで。可愛い可愛いリアちゃんで通ってるんやから。」


しかしさすがはパンドラ。

これほどの魔術を維持できるのは怪物の証だろう。

私の周りって化け物しかいなくない?


「とりまこれどうしよか。」

「まさかここまで壁を壊しても迷宮を維持できるなんてね…」


壁だけじゃない。

ここまで大量に骸骨を生成している。

私ならとっくに魔力が切れている頃だ。


「とりま水鏡は1時間ぐらい維持できる。その間に考えよか。」

「世話をかけてごめんね。結局ピンチになっちゃったし。」

「そんなん気にせんでええ。時間稼ぎは得意やからな。」


なんとか休める間に打開策を考えないと。

このまま物量に押しつぶされるわけにはいかない。


「とにかく壁を壊すし…か…?」

「ア、アイラ…この魔力…やばい…」


突然迷宮の奥から恐ろしいほど強大な魔力が出現した。

私もリアも、レインも、ヴィリアールも比にならない。

この魔力…間違いない。

奴だ。


「なんや…これ…骸骨が崩れていく…?」

「リア、私たち死んだかもしれない。」


障壁の向こう側の骸骨たちが勝手に崩れていく。

それと同時に大きな魔力がどんどん近づいてくる。

今から逃げるのは無理だ。


「リア伏せて!」


私は本能に従い、大きく飛んでリアを押し倒す。

その直後、轟音と共に水の障壁がはじき飛んだ。


「うっ…ありえへん…!水鏡が…!」

「水ごときで俺の歩みを止めようなど、無礼にもほどがあるぞ。蛆虫めが。」


聞き覚えがある声がした。

体中の細胞が戦うことを拒否するような声。

そして砂煙の中から金の鎧をまとった男が現れた。


「この時を待ちわびたぞ。久しいな、戦姫。」

「お前…なんでここに…」

「俺がここにいる理由だと?そんなもの、俺が望んだからに決まっているだろうが。」


その威圧感に腰が抜ける。

この男と戦って勝てる未来が見えない。


「お前…誰や!」

「蛆虫風情が誰の許可を得て話す?気様は俺の視界に入れるのにも値せん。」


男から放たれる殺気で空間が震える。

この男には常識など通用しない。

天上天下唯我独尊を体現した男。

その名は獅子王、レオ・アイアス。

この世において間違いなく最強と呼ぶにふさわしい男だ。

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