第十九話 手紙
「うっわ、最悪や…。」
一緒に食事をしていたリアの顔が不機嫌になる。
なにやら手紙を呼んでるみたいだけど…
「どうしたの?大丈夫?」
「いやぁ、全然大丈夫やあらへん。円卓会議に召集されたわ。」
「円卓会議かぁ。めんどくさそうだね。」
円卓会議は、ラント共和国の国政を決めるとても大切な会議だ。
事実上の国家元首である議長と、選挙で選ばれた議員たちが中心になって進められると聞いている。
この国が共和制である何よりの証なのだろう。
「毎回毎回、議員に無理難題押し付けられんねん。マジで行きたないわ。」
「さすがはパンドラっていうべき?」
「やかましいわ。それにしても今回は増して困ったな…。」
「なにか面倒ごと?」
「いやぁ、これ読んでみ?」
リアに手紙を渡される。
一体どんなことが書かれているのか。
半分真面目に、半分わくわくしつつ手紙を読む。
『パンドラこと、リア・マキノ。
円卓会議の開催に基づき、首都アヴァンへの出頭を命ずる。
なお、戦姫アイラ・フォードとともにアヴァンへ出頭するべし。』
…はい?
なんで私まで出頭しなきゃならないわけ?
「え、これ本気?」
「マジやで。これに逆らったら、ウチは冒険者のライセンスはく奪や。」
怖いこと言わないでよ。
そんなこと聞かされたら行くしかないじゃん。
でも私が呼ばれる理由って何だろう。
やっぱり私の罪が…
「…最初に断っとくけど、アイラを裁くために召集するわけやないで。それだけはウチが保証する。」
「でもそれ以外に理由が考えられない。」
「議長は王国嫌いで有名なんや。そんな人が王国から離反した英雄を処罰せん。まあ十中八九、王国がらみやと思うけどな。あ、あと暗黒竜の事情聴取か。」
王国がらみ…。
私から王国の機密でも聞き出すつもりなのだろうか。
でも私は国家機密レベルの情報をあんまり知らない。
政治に関わるといいことがなかったから、できるだけ避けていた。
「まあ何があってもウチが何とかするから。なんも心配することあれへん!」
「え、でも…」
「任せときって。ある程度の融通利かせるぐらいの恩は売ってるんや。議員どもはウチに頭上がらんのやで。」
満面の笑みで胸を張るリアを見て、少し不安が薄まる。
この子といると、いつでも元気になれる。
本当に不思議な子だ。
「分かった。でももしもの時は見捨ててね?」
「そらないで。そん時は一緒に逃げるからな!」
二人で目を見合わせて笑い、食事を続ける。
リアの言う通り、悲観する必要はない。
円卓会議だって暗黒竜よりは怖くないはずでしょ?
これまでの危機と比べても取るに足らない細事だ。
とにかく行ってみよう。
きっと成るように成るはずだから。
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追記
先日タイプミスをしましたが、またタイプミスが発覚しました。
大変申し訳ございません。
修正いたしました。




