5話 新たなるプレーヤーと
遠くから人が歩いてくるガサッガサッという落ち葉を踏みしめる音が近づいて来る。
それと共にデカイ独り言を言ってる? プレーヤーかな?
ユキノが後ろから俺の服を掴み、一緒に近づいてみると女の子が独り言を言って、笑ったりしていて視線が合いこちらに気付いた。
「わ! 初のプレイヤーじゃん!」
お互いにプレーヤーか確認をし合った。
「プレイヤーですか?」
「あ、私配信者なんだけど……いいかな? あと2人は、職業なに??」
ハイシンシャって職業あったか? どんな職業だ? 聞いたこと無いな。
「あ、俺は……って……え? 配信者って何っ!? そんな職業あったっけ? ハイシン? 戦えるの?」
「どんなボケ? ツッコミ担当は、私かな? ……職業は、剣士。名前は、アリス。よろしくね!」
アリス名乗る女の子は、少しムスッとした表情で返事を返してきたが、笑顔で自己紹介をしてくれた。
「ミスティーかんちがいー」
ユキノに脇腹を指で突っつかれ、くすっくすっ♪と可愛く笑いからかってきた。
「俺はミスティーで魔法使い。で、こっちの小さいのがユキノで、僧侶ね。こっちこそ宜しくね!」
ユキノがアリスに見つめられると怯えた表情をし、俺の後ろに隠れ、ぎゅっと服を握りしめた。
「あ、剣モドキが怖いの? 大丈夫! さぁ、お金を稼ぐよ!」
そう言うと、振り返ったアリスの腕に負傷をした傷跡が見え痛々しい。
「なぁ。アリス、お前負傷をしてないか? それコイツに直してもらえば良いんじゃないか? ユキノも僧侶だし……な? ユキノ」
俺がユキノの頭に手を乗せ軽く撫でた。ユキノは、頼られたのが嬉しかったのか、俺を見上げて嬉しそうに微笑んできた。
「おぉっと!? ちゃんと治せるの?」
アリスは心配そうな表情をして、ユキノを見つめていた。アリスに見つめられて、笑顔だったユキノの表情からは笑顔が消え、俺に抱きつ様に隠れていた。
「大丈夫! 私、怖くないから!」
アリスが怖がられていると分かると、引きつった笑顔で声を掛けたが、俺に隠れたままで変わらなかった。
これじゃせっかくの僧侶の経験が出来ないじゃん。
再び怯えるアリスの頭を撫で、膝を着き目線を合わせ話し掛けた。
「せっかくのユキノのスキルを見れるチャンスなんだけど? 貴重な治癒魔法を見せてくれるかな」
「うんっ。わかったぁ」
不安そうな表情をしたアリスが、ユキノに向かい声を掛けた。
「大丈夫……だと思うよ! ユキノなら、できる!」
俺の顔を見上げると、そこには笑顔が戻っていた。アリスの負傷をしている箇所に腕を翳し、目をゆっくりと閉じた。
ユキノの翳した手が光輝き、アリスの負傷をしている傷に光の粒子が集まり徐々に傷が治り傷跡もなくなっていた。
「おっ、HP戻ってる! ありがと〜」
「う、うん。おわったぁ♪」
治癒魔法が終わると逃げるように、俺の元へ駆け寄って来た。駆け寄ってきたユキノは、褒めて欲しそうに俺の前に立ち、褒めてくれるのを待っているようだ。
再び膝を地面に着き、ユキノと目線を合わせた。
「ユキノ、凄いなお前……傷跡もなく治せるんだな!」
「うん。できた! わたし凄い! えへへ……♪」
可愛い笑顔で微笑んで、嬉しそうにしていると、治療を終えたアリスが笑顔で話し掛けてきた。
「君たち〜! はい、強制的にパーティだよ!」
そう言うと満面の笑みでアリスが微笑んできた。