25話 公園に行く
玄関で二人で話をしていると、ナナのお母さんがニヤニヤと笑顔で近付いてきた。
「あら〜今日は、どちらへ? お二人さん」
「もぉ。さっき言った! こ・う・え・んです!」
「あら、良いわねぇ。今日は天気も良いしデートには良いわね。うふふ……」
あれ? 言い返さないんだ? 普段なら「ちがうし!! 公園で遊ぶだけ! 息抜きだよっ!」とか言うのに。顔を赤くして俯いてモジモジしている。
「ワタルくん、ナナをよろしくね!」
「はい。勿論です。暴走しないように見ておきますね」
「はい。よろしくね! かわいがって、あげてちょうだいね♪ うふふ……」
それだけ言うとリビングの方に戻っていき弁当箱が詰められた物をナナに渡した。
「ありがと。お母さん!」
「ん? ナナが作ったんじゃ?」
「そう! 私が作ったの! お母さんに詰めてもらって〜用意をしてもらったの。私、一人じゃ間に合わないし……だから私の手作りだよ! ふふんっ」
ナナがドヤ顔をして、弁当箱の入ったバッグを俺に渡してきて、着替えに部屋に戻っていった。
久しぶりにナナのお出かけ用の服を見た気がした。いつも会う時は部屋着だったし……再び、見惚れてしまう。
「ワタル? ねえ、ワタル!」
「ん、ん!? なに?」
「ボーっとしてた! 行くよっ」
二人で玄関で「言ってきます」と言うと公園に向かった。途中で二人で顔を赤くしながら歩いていると。
「ねえ、恋人同士なんだよね?」
「う、うん。そうだよな?」
「私が聞いてるの! 聞き返さないでよね〜……腕とか組んじゃう? 手を繋いだりしちゃう?」
ナナが目を逸らしながら言ってきた。俺も目を逸らしながら、返事はせずにナナの手を繋いだ。柔らかくて小さい手で、やっぱりゲームの中でユキノと手を繋いだ感じと違う。
「ワタルの手、大きくなったね!」
「そうかな?」
「大きくなった! というかぁ〜男らしくなったっ」
そう言うと照れ隠しなのか大きく手を振って歩き出した。しばらく歩くと自然公園の入口に着いた。
「わぁ〜! ここ久しぶりに来た! 昔、ここで良く遊んだよねぇ〜」
ここは自転車じゃ登ってこれない急坂があり、あまり来なくなった場所だ。
「だよなぁ〜俺も久しぶりに来た」
「ホントかなぁ〜? 女の子とデートして来てたりして……?」
ナナにジト目で見られたが、そんな事実は無いのでキッパリと否定した。
「それは無いな。俺に女子の友達は……ナナしかいないし」
「はい。ウソ〜ワタル、モテるじゃん。それにユキノちゃん女の子ですっ!」
俺が言い返す前に走って木陰に行ってしまった。
「ここ! ここにしよ! ここで食べよ!」
「分かった! 今行く」
レジャーシートを広げて、二人で座り寝転がった。空が青くキレイに見えた。
ゲームの世界で見た空と変わらないな……ゲーム世界の空の方がキレイに見えた気がしたんだけど。俺が、現実世界の空を見てなかっただけかもなぁ……
空を見つめていると、視線を感じ隣を見るとナナが笑顔で俺の顔を覗き込んでいた。
「何を考えてたの?」
「ゲームの世界と変わらないキレイな空だなって思って」
「あぁ〜そうだね。キレイな空だね〜。私も久しぶりに空を見上げたかも〜」
ゴロンと転がりナナに近付いた。
「ナナ……」
「ん? ……ん!? ば、ばかぁ……ここ外!」
ナナが振り向いた瞬間に唇にキスをした。ナナは慌てて周りを見渡してホッとしていた。一応、周りに人がいないかを確認しておいたし大丈夫だ。
「嫌だったか?」
「違う……人に見られたら恥ずかしいじゃん……嫌じゃない……」
「そっか。良かった」
「うん。よかった」
キスが良かったって聞いこえるけど? そう思ったが聞かずに、弁当を広げた。
焼おにぎり、ハンバーグ、唐揚げ、卵焼き、ミニトマトが入った弁当箱だった。
「すごい美味しそうじゃん!」
「当然です! 美味しいよ、きっと愛情たっぷり詰め込んだからっ!」
焼おにぎりは、少しいびつな形をしているが醤油が香ばしい匂いを漂わせて、食欲をそそる。焼おにぎりに手を伸ばすと、心配そうにナナが見つめてくる。
「そんなに見つめられたら、緊張して食べられないって」
「……心配だしぃ」




