23話 空エリアでの初めての魔物との戦い
少し高台になったところに、真っ白な毛並みを靡かせる動物がいる。鹿のような大きなツノに、狼のような牙を持つ顔。
ワオーーンッ……
静かな闇夜に、響く魔物の声。リリィは、一番に気がついていたようだ。
やはり、賢者というのは勘も鋭くなるのだろう。
「アリス、右から」
単語のようなワードを発して、リリィは左側に走り出した。アリスは言われた通り、右側から攻撃を仕掛けにいった。
「アリス! 俺らは?」
説明をするよりも先に、アリスはリリィを追いかけて行ってしまった。ここに2人を置いていかれてしまった?
手招きをして2人をアリス側に呼ばれた。
「ちょっと、ついてきて!」
――急いで! アリス!
――青い剣のお出まし!
アリスはサッと、アイテムボックスから青色の剣を取り出す。右手に握り走って魔物の後ろに回り込んだ。
「アリス! 魔法は、いつ使う?」
アリスは人差し指を立てて、静かにとジェスチャーをした。ユキノは肩で息をしつつも、両手で口を押さえた。
こくりの頷いた俺の腕を引いて、森林の隙間から魔物の背中がみえる場所に移動する。
「……ミスティー。この角度から、炎を出して欲しい!」
「わかった」
音を立てないように私は、足を進めていく。ユキノは、やはり怖いようで少し離れたところで不安げな顔をしていた。
「ユキノは、バリアを!」
「う、うん!」
上空に真っ黒の雲が漂い出した。不穏な雲行きに、背筋が凍る。
ゴロゴロ……
この真っ黒の雲は、雷雲らしい。電気が走って、危険な音を立てている。
雷音にかき消されるかのように、アリスは魔物に近づいた。
アリスが飛び上がって、青色の剣で突き刺す。血がプシャっと吹き出す。
アリスの頬に魔物の血が掛かり。それを軽く拭って、魔物から遠ざかるのが見えた。
アリスがチラッと俺の方を見て、合図を送ってきた。
「アリスっ!」
俺が、そう言うと炎を放つと命中をして、魔物が地面に転がった。
――やばい!
――アリス、逃げて!!!!
アリスが、俺のいる方向に脱兎のごとく逃げてきた。空が明るくなるほど、雷の光が上空に集まった。
ズドーンッ……
地面に転がった魔物に、空から大きな雷が落ちた。真っ白になり、俺達はギュッと目を閉じた。
振動を感じ、身体は地面を転がる。
「きゃっ!」
――すごい……振動!
――眩しすぎる!!
光が落ち着き、目を開いた。なんとかアリスの元へ駆け寄り、アリスにケガが無いように覆い被さった。アリスに手を差し伸べ、俺の手を掴み立ち上がった。
後ろを振り返ると、魔物の姿は消えていた。
HPは、リリィのおかげでマックス状態だった。
「リリィ! 大丈夫?」
木の影に隠れながらバリアを張っていた、ユキノがこちらを素通りしてリリィの方へ走っていく。
「アリス、顔に血がついてる」
「さっきの魔物のだね! 私は、無傷だよ!」
アリスは、一周ぐるりと回ってみせてくれた。だが心配そうな表情をしているとアリスがを見上げてきた。
なぜだか、アリスが俺を見て微笑んでいるような気がする。
「ふふふっ。平気だよ〜!」
「大丈夫なら、良かった!」
ボスの前に、なんとか皆で戦うことができた。雷を出したのも、賢者であるリリィだ。
しかし、そこまでアリスと俺の力で弱らせたからすぐに終わらせられた。
アリスが地面に転がった、青色の剣を私は拾い上げた。暗い夜なのに、青色に光って見え美しい。
「アリス〜! とりあえず、今日はここまでにしよう〜」
「了解! じゃあ、リスナーさん! バイバイ!」
――はーい! バイバイ〜!
――またね!
そうして、今日の戦いは無事に終えた。このパーティとは、フレンドに追加されているので連絡を取り合えるので心配は要らないかな。
また明日にプレーをする時にはパーティ全員で、今日の続きからプレーをする事にした。




