17話 あれ?みんなどこ?
昨日のナナとの事が、頭から離れずに学校では上の空で過ごした。学校が終わるとゲームの事を思い出し慌てて帰宅をするとゲームを始めた。
ゲームを始めると、宿屋の部屋で続きが始まる。
あれ? 皆いないじゃん!? てっきり待っていてくれていると思ったのに。ナナも……待っててくれてないのかよ。俺達、付き合ってるんだよな?
少し不安になった。ユキノも待っていてくれてなかったので少し落ち込む。フレンド登録をしていた仲間を探してみることにする。アリスは離れた場所に移動していて、ユキノは森にいた。
ん〜……アリスに会いに行くと、ユキノが一人になっちゃうよな。多分……待っててくれたと思うし、きっとスーを出して面倒を見ていると思う。宿屋じゃスーを出せないしな。
スーと一緒なのでキケンは無いとは思うが、ユキノに会いに森に向かった。思った通り野営をしていた場所にいて、スーを出して木により掛かり座り寛いでいた。
「ここに、いたのかー」
「部屋で一人じゃつまらないし、寂しかったぁ」
「ごめんな。学校だったしさ」
ユキノが、目を輝かせながら抱きついてきた。可愛い妹みたいな存在で、抱きつかれて嬉しく思ったが……抱きつかれアリスというかナナを思い出した。
「そうだ! ちょっと待っててくれるか?」
「えぇぇぇ〜また待つのぉ……」
「スーと遊んでてくれるか」
「うぅ〜ん……わかったぁ」
アリスは何をやってるんだ? ゲームを止めてナナの家に向かい、インターホンを押すとナナの母親が出た。
「はーい。どちらさま?」
「ワタルですけど、ナナいますかー?」
「ワタルくん、久しぶり! 部屋でゲームしてるわよ。勝手に入って良いわよ」
「はーい。お邪魔しまーす」
幼馴染で小さい頃から、ずっと遊びに来ていたとはいえ……勝手に入って良いのか? と、毎回思う。
ナナの部屋の前に着くとノックをしても返事がないが……一人で話している声がしている。
そう言えばゲームをしてて配信中か……。ノックもしたし、母親にも勝手に入ってと許可ももらったし、勝手に入るか。
「勝手に入るぞー!?」
ナナの部屋に入ると、ゲーミングチェアに座ってナナが丁度、配信を終えた。被っていたヘルメット型のゲーム機を取ると、バッと後ろを振り向き驚いた表情をした。
「きゃっ!? わ、ワタル! なんで? え? わ、ワタルだぁ!」
驚いた表情をしていたが、嬉しそうにしてくれた。
勝手に入ったと思われても嫌なので説明をしておくか。
「勝手には、入ってないからな」
「うん。知ってよ〜」
「ナナのお母さんが、勝手に入ってって言ってたし、ノックもしたからな?」
「うん。うん。それで今日は、どうしたの? 私に、会いたくなっちゃったとか……?」
ナナがニヤニヤした表情をして聞いてくる。普段なら恥ずかしくて否定をする所だけど……素直に答えた。
「……そうだよ。会いたくなった」
「わわわ……そ、そんな、素直に言われると……恥ずかしいぃ……」
頬を赤くさせたナナが、俯いてモジモジしていた。会いたくなったというのは嘘じゃないが、会いに来た理由がもう一つあり、その質問を聞いた。
「あの場所でナナが、待っててくれないし。遠くにいってるしさ」
「ごめん! 配信もあったし……欲しい物があったの!」
理由を聞いて納得できて一安心かな。
「ねえ〜ワタル、疲れてそう……大丈夫?」
「あぁ、今日は体育もあったしなぁ〜疲れてはいるかな。どうしてだ?」
「疲れた顔してる! 私のベッドで寝てて良いよ」
「え? いや。いいって! 大丈夫だよ」
心配そうな表情をして顔を覗き込んで来るので、恥ずかしくて顔を逸らした。
ナナのベッドで……寝れる訳が無いだろ。
急にナナが立ち上がると、俺の手を引いてベッドまで連れてこられた。
「ワタルっ! ほら、はやくっ」
ナナがベッドに横になると、腕を開いて俺を呼んだ。素直にナナの腕の中に入ると、ぎゅっと抱きしめられた。
一回り小さなナナを抱いていると、温かさで眠たくなってきた。
目が覚めると、外は暗くなってきて夕方になっていた。俺の腕の中でスヤスヤと寝息を立てている、横向きで寝ていたナナのおでこにキスをした。
寝ていたナナの目がパッと開き頬が赤くなるのが分かった。起き上がっていて、可愛い寝顔を見て微笑んで癒やされていた俺と目が合った。