プロローグ
カタカタカタ。
「ふぅー。やっと終わった。」
時計を見ると、21時48分。
「今日は、早く帰れるな。」
パソコンを閉じ、会社をでる。普段は、仕事を断れない性格のおかげで終電まで残業する日々だか、珍しく早く終わった。
「きゃー。だ、だれかー。お願い、たすけてー。」
女性の声が聞こえた。僕は、声がする方へかけて行った。いつもなら陰キャの僕はそんな事しない。いや出来ない。でも、何故か身体が勝手に動いた。
「静かにしろ。早くその鞄を寄越せ。」
大柄で怖そうな男が女性に刃物を突きつけて脅していた。
「止めろ!」
今までで1番大きな声を出し、男の腕を掴む。
ぐさっ。
男がこっちを向いた瞬間、運悪く刃物が刺さった。
「きゃー。」
女性の叫び声で意識が途絶えた。
深い深い海に潜った様に、沈む感覚に陥った。
「おんぎゃー。おんぎゃー。」
赤ん坊の声が響く。
「おめでとうございます。男の子です。」
「おめでとうございます。奥様、旦那様。」
産婆や、メイドたちが次々に祝いを述べる。
大事に、大事に布に包まれ母親に渡される。
「シア、ありがとう。そして、お疲れ様。」
泣き顔でぐしゃぐしゃな顔で妻に労いと感謝を伝える。
「とても、可愛いわ。目は、あなたと同じスカイブルーに髪は、私と同じ銀色。」
「あぁ、そうだね。君にそっくりで、きっと美少年になるな。」
春の暖かい日、この日スペンサー公爵家嫡男エリオット・ネス・スペンサーが誕生した。
初めての作品です。
暖かい目で見ていただくと嬉しいです。