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   9 魔術師団の衰退

戻るとロンバート伯爵邸に直行した、門衛は俺達を覚えていてすぐに屋敷内に入れてくれた、部屋に通されるとすぐにリリアさんが現れた、少しやつれた感がするがいつもながら美しい顔が笑顔になった

「どれゴンを討伐出来たのですね」

「いえ、ドラゴンは討伐はしませんでしたが二度と現れる事はありません、もし出て来たとしても絶対に人里に害を及ぼす事は無いでしょう」

「本当に大丈夫かしら」

「絶対に大丈夫です、ドラゴンと約束しましたから、これは此処だけの話にしてくださいね」

「貴方はそんな事迄」

「言葉ではありませんが何と無く意思が通じたって感じですが」

「貴方がそう言うのなら信じるしかないわね」

「これからもドラゴン対策は受けますが、ほとんどを人里に出て来ない様頼む形になるでしょうね、凶悪な場合のみ倒しますが」

「心強い言葉ね」

「ケリーさんを差し置いて俺が喋ってしまってすみません」

「ああ、良いぞそんな事気を使うな」

リリアさんとそんな話をしていると、いかにも貴族らしい威厳のある中年男性が部屋に入って来た

「父のロンバート伯爵です」

その男性をリリアさんがそう紹介してくれた

「皆さん、この旅はお世話になりました、ありがとうございました」

そう言って俺達に向かって頭を下げた、平民に対し貴族が頭を下げるなど考えられなかったから、俺もケリーさんも慌ててしまった

「伯爵様、そんなご丁寧な、依頼を熟しただけですから」

ケリーさんが言うと

「いや、今回は依頼がどうのという事ではなかった、正直に申し上げるがロンバート家の浮沈にかかわる事柄だったのだ、その危機を救って貰ったのだこんな白髪頭を何度提げても足りない、子の恩に報いる為報酬は出来る限りの事はする、その他に望む事があったら私のできる限りの事はするつもりだが」

「分かりました、ありがとうございます、報酬だけで十分ですがこれで魔法師団の嫌がらせが終わるとは思えません、これからも依頼には答えていきますから」

ケリーさんのその言葉に

「其れはありがたい、よろしくお願いします」

其処で俺は思い付いた事を提案してみた

「これは提案ですが、パーティー天空の翼と専属契約を結びませんか、魔術師団の嫌がらせが終わるまでの期間、そうすれば依頼は全てロンバート家を通す事になります、全てがロンバート家の実績になり魔術師団の鼻を明かす事に繋がると思いますが」

それはありがたいが、良いのかな」

ケリーさんの顔を見る

「良い案だと思います、伯爵様がお望みになるならそう致したいと思いますが」

「其れでは我が家に有利な事ばかりだが良いのか」

「正直申しますと貴族の争いに関わるのは嫌なのですが、うちのメンバーを殺してもエルカルを生かしたかった魔術師団に、思い知らせるにはいい案だと思います、俺達では到底出来なかったであろうエルカルを失墜させてくれた、そのお礼でもあります」

「それでは厚意に甘えてそうさせて貰おう、ありがとう」

「いえいえ、私達もロンバート伯爵家が付いているとなれば、嫌な依頼は断れますからお互い様です」

と言う経過で急遽俺達はロンバート家と専属契約を交わした


依頼でワイバーンの討伐に来ていた、天空の翼の面々が戦っている連携は慣れているとはいえ見事なものだ、ワイバーンもドラゴンほどではないが飛ぶのには補助的に魔法を使っている、ドラゴンより翼が大きい分魔法での補助の魔法陣は小さいが、魔法を無効化すると明らかに動きが緩慢になる、それだけで俺抜きで倒せるほど全員の力が付いて来た

「アローのお陰でワイバーン程度なら俺達だけで倒せるようになったな」

「そうですね、今回は俺はいっさいなにもしてなかったんですが」

「ええ~そうか、アローの補助無しだったのか、やったぜ」

「どうやらパーティーとしてSランクを名乗っても、恥ずかしくない程度にはなれたという事か」

「そう言う事だな、今夜は祝いだな、これもアローのお陰だ感謝している」

ワイズさんが嬉しそうに言うとケリーさんがそう言った

「何を言っているんですか、仲間でしょう、そんな他人行儀な」

「そうだったな、仲間だったな」

ケリーさんは噛み締める様にそう言ったが、何時かはいなくなる仲間そう思っているのだろう、俺としてもその辺は決めてはいないがその可能性は大きい

ドラゴンの一件以来幾つもの依頼を熟して、天空の翼は力量を上げて行った、

実践,と共に武器の強化にも挑戦した付与魔術を使い武器を強化させたのだ、メイさんの治癒魔法は魔法陣を強化して紋を整え強力にした、これらの事に関して

「もうアローには何も言えねえよ、どんな奇跡を行ってもお前なら出来て当たり前と思うようになってしまった、驚くのにも疲れたし」

今では全員が身体強化の魔法を身に着けている、この世界の人間は魔法を使えない人でも生まれた時から体内に魔力を宿して居るので、その人に適した魔法陣を使えるように教えて行くと、他の魔法は無理だが自分自身を強化する身体強化魔法は身に着ける事が出来るのだ、これも世間に知られると魔法の概念を覆す事になるから仲間内だけの秘密になっている

こうして俺達が依頼を熟す事によってロンバート家の評判は鰻登りに良くなっている

魔術師団に依頼すると威張り腐った態度であるばかりでなく、依頼量が高額、で待遇を云々で文句ばかり、それに比べてロンバート伯爵に依頼すれば、俺達冒険者が魔術師団よりずっと低額で低姿勢、気持ちよく片付けるので魔術師団への依頼が皆無になっているらしい、伯爵に言わせると

「我がロンバート家を貶めるつもりだった筈が、今では自分達の首を絞めている、今迄の行いが次々とあからさまになって来て、魔術師団は孤立してしまっている、今迄は魔術師団に逆らうといざと言うとき困るからと、威張らせておいたがその心配がなくなったから、貴族達がはっきりものを言うようになり奴ら小さくなっておる、王様も魔術師団を大事にしていたが目が覚めただろう、今まで魔術師団の我儘に耐えていた貴族達が、王様に魔術師団の今までの行いを話し始めたようだ、魔術師団のほとんどは貴族で構成されているが、エルカルのような団員が何人もいたらしい、今まで黙っていた貴族達今迄の事を訴えたら何人の平民が犠牲になったか分るだろう、何れ明るみに出るだろうな、王様も黙って見過ごす事は出来なくなる、魔術師団は解散の憂き目を見る事になるだろう」

流れはそういう事になっているらしい

「しかし、他国と戦争という事になると魔術師団が無くては困るのでは」

この世界の戦争は騎士たちの戦いと言うより魔術合戦が主になるのだ、一発の魔法で何十何白の騎士を倒せてしまうのだから、そうなってしまうのは仕方ない事だろう、だから俺がそう聞くと

「確かにそうだが、今世界は平和だ国と国が争う事は無いから、魔術師団は解体するがメンバーを厳選して結成し直すという事になるだろう、貴族ばかりでなく広く腕の立つものを募って、口ばかりでなく真に実力のある魔術師団をつくることになる」

魔術師団に間接的ではあるが一矢報いた感は否めない、久しぶりに宿に帰り宿の食堂で夕食を食べながらサリーさんが

「魔術師団の連中、いい気味だわ、平民の命を何だと思っているかしらないけど、罰せられないのがが立つけど、今までのように威張っていられなくなったんだから、、ざまぁみろと言ってやりたいわね」

「そうだな、それとな俺達天空の翼にとっては悪い事ばかりじゃなかったよな」

「ええ、そうなの」

メイさんが不服そうにケリーさんに言うと

「考えても見ろ、魔術師団がロンバート家に嫌がらせをしたお陰で、アローが俺達に秘密を打ち明けてくれたし、そのおかげで俺達は強く練れたと思わまいか」

「そう言えばそうね、あの一件が無ければアローは秘密を明かしてはくれなかったし、今頃は一人で自由奔放にやっていたんだろうなぁ」

サリーさんが俺の顔を見てそう言った

「そうだな、俺達は運が良かったんだな、そうでなきゃあアローが仲間になる事は無かっただろうし」

サモンさんが言うと

「考えたら俺達にとっては良い事の方が多いな」

ワイズさんのその言葉に俺以外の全員が頷いた

「魔術師団に感謝しなきゃあいけないのか」

皆で笑うしかなかった、縁とは不思議なものだ

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