8 ロンバート家の危機
王都に来て三日目の朝、宿にリリアさんが尋ねて来た
「どうしましたか、王都での用事はもう済んだのですか」
「いえ、まだですが問題が起きてしまって、皆さんに相談に乗ってもらいたいのですが」
「問題とはどんな」
「貴方達はドラゴンを倒した事はありませんか」
「えっ、ドラゴンをですか、ありませんAクラスの私達ではとても無理です、ドラゴンはSクラスが数人が狩りで倒すか、SSクラスでなければ、無理です」
ケリーさんがそう答えると
「冒険者ギルドに依頼したのですが、今Sクラスの冒険者はこの国にはいないそうなのです」
「そうか、何年か前に引退してしまったあの人が最後だったのか」
けりーさんがそういって
「しかしドラゴンが領地のアスカルドに出たのですか」
「いいえ、他領に出たのですが、魔術師団が断ったいは血が回って来てしまって困っているのです、今迄国に依頼があると魔術師団が対処していたらしいのですが、あのエルカル・シモンヌが中心となって対応していたらしいのです、しかしご存じのように今はいません、魔術師団が言うにはエルカルを死に追い込んだのはロンバート家、彼のいない魔術師団では対応できないから、武勇で知られたロンバート家に対応させろという事になって」
「しかし、ドラゴンは剣や槍では倒せませんよ、騎士達だけでは無理です」
「そうなのです、魔術師団の嫌がらせなのです、それだけ価値のある人間を死に追いやった責任を取れと言う」
「まるでエルカルが何をしても良かったと言っているようですね」
「案にそう言う意味で言っているのでしょう」
「たとえサリーやメイが殺されても文句を言うなと言いたのですか」
「そう言いたいのでしょうね、魔術師はそれだけ価値があると言いたいのでしょう、平民の冒険者などの命には代えられない程価値がある、そう言いたいのでしょう、調べの中で十人以上の罪のない平民がエルカルに殺されていましたが、魔術師団としては問題としなかったようです」
「クッソぉ~、ドラゴンを何とかして魔術師団の鼻を空かせてやりたいが、俺達ではどうにもならないし」
ケリーさんが悔しそうにそう言ったが、俺も腹が立った聞いていて魔術師団の理不尽さにあきれてしまった
「やって見ませんか、ドラゴンの討伐、あのバカエルカルに出来るのだから俺達全員でかかれば何とかなりますよ」
「ドラゴンは魔物だが魔法を放ってくるんだぞ、俺らには対処できない」
「魔法を封じる事が出来れば何とかなりますか」
「それは魔法で火を吐き暴風を起こすのさえ防ぎ、その上で空中ではどうしようもないが地上に降ろせれば何とかなるかもしれない、そうなればでかいトカゲと言うだけだから後は固い鱗の隙間を狙い、剣や槍で何とか出来るかもしれんが」
「じゃあ、大丈夫、実は、此処だけの話として絶対秘密にしてもらいたいのですが、俺はどんな魔法でも無効にできるスキルを持って居るのです」
「本当かよ、それが事実なら魔術師何てただの爺になってしまうぞ、武道の心得なんかないから普通の人間と変わらないからな」
ケリーさんが言うとワイズさんが
「魔法師団何てただの爺の集まりになっちまうじゃないか」
そう言ったので
「だから秘密にしてほしいんです、世界の魔術師たちの仇のようになってしまいますから」
「本当の話なのか、本当だったら確かに殺そうとしてくるものは多いだろうな」
「本当です、エルカルがサリーさんとメイさんを風魔法で殺そうとした時、魔法を無効にしたから、助かったんです」
そう言うとサモンさんが
「まさか暴風のゴロワの時も」
「ええ、あいつの魔法をそっくりお返ししてやったんです」
「そんな事も出来るのか、お嬢様、聞きましたか、良かった何とかなりそうです、場所を教えてください俺達がすぐに向かいます、みんな良いよな」
「ああ、やってやろうじゃないか、魔術師団に目にもの見せてやろうぜ」
「やはりアローさんは只者じゃなかったわね、無理やりお願いしてよかった」
「まぁ、あのレストランで逢ったのも何かの縁だったんでしょうね、理不尽な魔術師団に一泡吹かせてやりましょう、待っていてください、ドラゴンを何とかして来ますから」
「助かります、よろしくお願いします」
力を隠している場合ではなくなった、無視すれば何百何千の命が奪われるかもしれないのだ、この際皆が秘密を守ってくれるだろうと信じりしかない
ドラゴンの出現場所に向かい馬車を走らせ二日目には到着した、地元の人に案内されるまでもなく、ドラゴンが、俺達に向かって来ている、住民たちは避難して姿が見えなかったが俺達が現れたので向かって来たのだろう
「あれがドラゴン」
「そうだ、何とか出来そうか」
恐ろしく大きかったが見ると両側の翼と胴体に魔方陣が見えた
「体に見合わない翼だと思ったら、ドラゴンは魔法で飛んでいるのですね」
「そうだ、体に対してあんな小さな翼では飛べるはずがないから、そう言われている、それが分かるのか」
「ええ、分かります、これは意外に簡単に片付きそうですよ」
体長は五十メートルはあろうかと言う巨体、前世の映画で見たゴ〇ラが翼をつけて空を飛んでいるい感じで見るからに恐ろしい
「きゃ~~、怖い、本当に何とかなるの」
まだ距離はあるが巨体なだけに恐ろしさが伝わってくる、威圧感が半端ではな買ったがまず魔法陣を全部消滅させた、するとドッスンと地響きを立ててドラゴンが墜落してしまった
「おい、凄いな、ドラゴンが落ちてしまったぞ」
【何が起きた、何故だ飛べなくなった】
誰かの声が頭に響いた、内容からどらごんの念話だと分かったので記憶から念話の魔法を呼び出し発動して
【お前はドラゴンか】
【誰だ、貴様は何者だ】
【俺は冒険者だが】
話す間に幾度もドラゴンが魔方陣を発動させたが、その都度消滅させてやった
【お前が我の魔法を消しているのか】
【そうだが】
【何故そのような事が出来る、二千年生きて来て初めてだぞ】
「さてな、俺にも分らんが最近出来る様になったんだ、此処を去って今後人里に出てこないと約束するなら魔法を使わせてやるが】
【分かった、翼には飛ぶため体には重力を和らげるため、魔法が無ければこの体重を支えられないのだ、呼吸すると同じく魔法を発動していられるが、無効化されたのは初めてだ、このままではじぶんの体重で息が出来なくなり死んでしまう、約束するから魔法を使わせてくれ】
【約束するなら良いだろう、使えばいい】
ドラゴンは潰れた風船のようになっていたが、直ぐに元の恐ろしいドラゴンに戻ると
【この礼に何時でもお前の役に立てるなら飛んで行ってやる、暇だから久しぶりに里に出て来たが姿を見ただけでこの騒ぎとは、悪い事をしたなもう無闇に出ては来ぬが、お前が呼んだ時は出ても良いだろう役に立てるなら呼ぶが良い】
【わかった、その時は頼む】
【心得た】
ドラゴンは飛び去って行ってしまった
「どうなって居るのだ、ドラゴンは行ってしまったじゃないか」
「どうも退屈でちょっと出て来ただけらしい、恐らく被害はないが姿を見て恐ロしくなり騒ぎになっただけじゃないかな」
「まさかドラゴンと話せるなんて事は無いよな」
「話せないけど、意思が伝わってきた気がして」
「訳が分からんが、深く追及はしないよ、自分が正常化以上か分からなくなる」
「「「「全くだ」」」」
他の四人が口をそろえてそう言った
「兎に角依頼してきた領主の所に行ってみよう」
ケリーさん達と領主の屋敷を訪ね
「ロンバート家に依頼された冒険者ですが、ドラゴンは追い払いました、もう心配はありません」
そう告げると
「本当か、あのドラゴンをたった六人で、SSの者がいるのか」
「いえ、AとBのパーティーですが、ドラゴンを倒したわけではありませんが追い払いましたから」
俺がそう答えると
「ドラゴンを追い払うなどと本当なのか」
「嘘を行ったら今後冒険者としてやっちけ無くなります、被害は無いですよね」
「ああ、被害は何もない、時々飛んで来るので領民が恐れて仕事も出来なくてな、助かった、伯爵にはよろしく申してくれ、近く会う機会があるからその時正式にお礼を言うが」
「じゃあ、俺達はこれで失礼します」
「今晩は止まって宴でもどうだ」
そう言われたが
「心配して待っている者達がおりますので」
そう言ってお断りすると帰路に着いた
「貴族の宴など神経を使うばかりで味も分らんからな、お断りだ」
「良かった、断ってくれてホッとしている、全くその通りだと思いますよ、経験はないけれど」
「ハハハハ、そうだと思った」
全員が笑っている
帰り道
「しかし俺達はいらなかったよな、アローさん一人で片付けてしまった」
「いや俺一人では今後何かと騒ぎになってしまうから、居て貰って良かった、パーティー全員でやった事にしてくださいね」
「いいのか」
「良いですよ」
「しかしそうなると困った事になるぞ」
「どうしてですか」
サリーさんが
「ドラゴンを倒したわけではないけど、追い払ったという事になるとドラゴンキラーと同じ扱いになるの」
」良い事じゃないの」
「ドラゴンキラーはSランクに昇格は確実」
そこでサモンさんが
「Sランクになれば今回のようにドラゴンの討伐や、Sクラスの魔物の討伐依頼が指名で来る事になるが、実質俺達ではどうにもならない倒せない、だから俺達の手柄には出来ない、すぐにウソがばれてしまうからな、そうなったら俺達は冒険者をやっていられなくなる」
そう言う事になるのか、簡単に考えていたが思うようにはいかないな、仕方ない良い人ばかりのパーティーだから
「だったら、皆さんの力がSくらすとなるまで俺をパーティーに入れてください」
「良いのか、大歓迎だが」
「ええ、これも何かの縁です、色々と教えてください」
「教えるって、子が親に教えるようなものじゃないか」
「そんな事は無いですよ、俺は何も知らない素人に毛がはえたような新人ですよ」
「恐ろしい新人がいたもんだが、何れにしろ加入してくれるなら大歓迎だ」
「こっちこそ、よろしく頼む」
全員が握手を求めて来た、一人ぼっちの時代が終わった