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   6 エルンの街

次の街につきゴロワの死を伝えたそれだけでエルンの街は大騒ぎになった、噂は千里を走ると言うがすぐに街中に広まって行った

「暴風のゴロワが死んだって、これで旅が安全になる」

「多くの野盗団がいるが、国軍も恐れるゴロワを誰が倒した、凄いな」

そんな噂が歩いていても聞こえて来た

「余程困っていたという事か」

「そうらしい、此のままいけば町が寂れたしまう危機だったそうだ」

宿を取って街に出たが街中はその噂で持ち切りだった、お嬢様たちは宿で食事をとるそうだが

「俺達は行った場所で旨いものを食べるのを楽しみにしているんだ」

俺も付き合う事にして一緒に街に出てレストランに入った、俺は酒は飲まないが翼のメンバーは皆いける口らしい、俺は食事だが皆はつまみと酒

「しかし、アローさんよぉ、あんた肝が座っているな驚いたぜ、ほとんど死ぬことが決まったようなあの場面で顔色一つ変えなかったじゃねえか」

サモンさんがそう言うと

「そうなのよ、私、この人は初めてお護衛仕事で気の毒にと思い見ていたけど、じっと野盗の群れを見たまま平気な顔をしていたわ」

サリーさんにそう言われて

「いや、恐怖してましたよ、固まって動けなくなっていただけで」

「そうかしら、何かを観察してると言った風だったわよ」

僧侶のメイさんがそう付け足しすとワイズさん迄

「ほんとだよな、俺も良い度胸していると感心してみていたよ」

「皆さん誤解ですって、俺はそんな度胸なんか」

「その割には落ち着いていたよな、あれは固まってなんかいなかったぞ、俺と問答していたじゃないか、だがな、皆それ以上余りほじくるんじゃねえぞ、冒険者なんて何か人に言えねえ秘密を持って居ても不思議じゃねえし、そこんとこに触れねえのが冒険者として暗黙の決まりみてえなもんだからな」

ケリーさんがそう言って場を纏めてくれた

「そうだったな、悪かった、死が目前に迫っているのに余りに平然としていたから、つい言ってしまったが」

「そうね、ごめんなさい」

一時はヒヤッとした今後気をつけなければと思ったが、あの時俺の力を初めて実践し試せるかもとワクワクしていたから、怖いなどと全く思っていなかったが、それは異常な事だと思われると知った

青の後は何事もなかったように、場がシラケる事無く道中の話で和気あいあいで話が弾んだ、皆さん良い人たちばかりで久しぶりに心が和んだ、孤独に慣れているが仲間と和むこういう事も良いなと思った、そんな時

「そこの姉ちゃんたち、こっちに来て酌をしてくれねえか」

突然声がかかった、何時の間にか傍に大きな男が立っていてサリーさんとメイさんに声をかけた、サリーさんもメイさんも何を言っているのかと戸惑っていたが、ケリーさんが

「悪いなそう言う事はお断りだ、何を突然失礼な奴だなぁ、そんな所行くわけが無いだろう彼女らは酌婦じゃないんだ、そう言う事を望むなら場所を間違ているぞ、向こうに行け」

「何だとぉ、田舎の冒険者風情が俺は国の魔法師団副団長のお供出来ているんだぞ」

「どんなお偉いさんか知らないが俺達には関係ないよ」

「副団長様が二人に酌をして貰いたいと言っているんだ、ありがたく思え」

「何がありがたいだ、向こうに行けよ、煩わしい奴だなぁ」

「貴様、これだけ言っても分らんか、良いから来い」

女性二人の傍に回り込もうとしたがその前にワイズさんが立ちはだかったり、男を睨んで

「何様か知らんがいい加減にしろよ」

睨み合いが始まった、其処に

「ドラン、何時までも何をしておる、女達は」

如何にも貴族と言ういで立ちの男が傍に来てそう言うと

「素直に言う事を聞かず断られたので、言い聞かせている所です」

「私の言葉に従えないと言うのですか」

「そうです」

「身の程じらずですね、せっかく私の相手をさせてあげようと言うのに、そう言う者は生きている資格がありませんね、残念だが消えて貰いましょう、私に逆らうとは許せません」

突然男が魔方陣を立ち上げた、御付きの男が察して

「エルカル様、此処では拙いかと」

「構うものですか、平民ごときが私に逆らう事は許しません」

俺は直ぐに魔法陣を消滅させた

「斬風」

此奴、メイさんとサリーさんに何と言う魔法を、二人を風魔法で切り殺そうとしたのだ、何と言う理不尽な奴、思わず立ち上がり殴り飛ばしていた、男は床に倒れ御付きの男は茫然と立っているだけ、明らかにやり過ぎを止めて貰えてホッとしている風だ

「何をする、無礼な」

そう言う顔をもう一発殴ってやった

「てめえ、いま彼女たちを殺そうとしたな」

「そ、それは」

「それはじゃねえよ、何様か知らんが人の命を何だと思っているんだ、許せねえ、俺が殴らなかったら二人は確実に死んでいたんだぞ」

「それは」

「それはじゃねえ」

頬を平手打ちしてやるとパシッと良い音がした

「魔術師団の副団長だか何だか知らんが、俺達はロンバート伯爵のお嬢様の護衛としてこの街に来ている、報告させて貰うから覚悟して置け」

「なに、ロンバート伯爵のお嬢様の護衛、そんな、馬鹿な」

「馬鹿はお前だ、名前を聞かなくても魔術師団の副団長と言ったな、報告して置いてやるよ」

御付きの男が

「ロンバート伯爵と言えば王様も一目置くと言われる、武勇で名高い家柄の」

それを聞いて更に男の顔は青くなった

「すまなかった、どうか許してもらえないか」

「何をぬかすか許す分けねえだろう、俺が止めなきゃ二人は死んでいたんだぞ、伯爵から国に伝えて貰ってお前はどう裁かれるかな」

「悪かった、其処を何とか」

するとケリーさんが

「アローさんありがとう、危なかった、サリーとメイは命拾いしたようだな」

「そうなのですよ」

「魔術師団の副団長か何か知らんが、お嬢様に言ってしかるべき措置を取って貰おう、こんな奴を放っておいたら今後何人の人が迷惑をこうむるか分からん」

「頼む、許してくれ」

「煩いな」

袖をつかまれたので振り払うと

「クッソぉ~、こうなったらこの店の者も道ずれに」

「エルカル様おやめください、私たちまで」

「私はどうせもう終わりだ、悪いが一緒に死んでくれ」

大きな魔方陣が立ち上がったがすかさず消滅させる

「極大魔法火炎の嵐」

男が魔法を発動しようとしたが起こらなかった、興奮していた男はきょとんとして

「何故魔法が使えないとは。畜生、魔法まで私を見放したか」

そう言って座り込んでしまった、何も分からないケリーさん達が

「さっきから馬鹿みたいに詠唱していたけど、馬鹿なの、何も起きないじゃないか、副団長って嘘言ってないか、馬鹿を相手にしていたら馬鹿が移る、行くぞ」

恨めしそうに俺達を見る馬鹿を放っておいて、会計をすませレストランを出た

「やはり、アローさんは度胸があるし、あそこで良く分かったな、俺は何も分からなかった」

「勘のような物ですよ、魔法を使う奴の仕草と口の動きを見て予想するんです」

「凄いな、そんな事で分るとは」

「生まれた時から目も耳も異常に良いんです」

「スキルと言うのではなく良く聞こえ良く見えるのか、羨ましい」

「聞えて見えるそれだけで、後は何もないです魔法はほとんど使えないし」

「それだけでも凄い事だよ、俺なんか特技など何もない、予想出来ればある程度対処できるから良いよな」

「そうですね、便利な事は便利です」

サリーさんとメイさんが両側から寄り添って来て

「助けてくれてありがとう」

「命拾い出来たわ、ありがとうね」

突然の二人の行動に女性に対する耐性の無い俺は

「はいはい、分かりましたからもう少し離れてください」

そう言うと

「良いじゃない、感謝の気持ちは言葉だけじゃ伝わらないわ」

両側から柔らかに何かが腕に当たる、心臓が早鐘を打ったように高鳴る

「サリー、メイ揶揄うんじゃない、命の恩人なんだぞ」

「だから、感謝の意を伝えているんじゃないの」

そう言いながら離れてくれた、体から汗が噴き出すようなそんな気分だった

ホテルに戻りリリアさんの部屋に行った

「そういう人物放ってはおけないわね、アローさんがいなければ二人は死んでいたって事でしょう、父に報告する、許せない」

今までやりたい放題だったのだろう、どれだけの平民が犠牲になったか分からない死んだ人がいるかもしれない、ケリーさんに俺が思った事を話しと

「確かにあの様子じゃあ何人も死んでいる可能性があるな、躊躇なく突然だったからな初めてじゃない様だったな」

後日エルカル・シモンヌ副団長はお魔までの素行が明らかになったが、あの夜姿をくらましてしまったらしい、全国に手配されたがどうなる事か、何人もの平民が犠牲になっていたことが分かり死罪と決まっているが、その噂を聞いて

「もっと早く誰かが諫めていれば犠牲は少なかっただろうに」

そう言うと

「魔法の腕だけは確かだったようだから、周りが甘やかしていたんだろうな、あいつがたおした凶悪な魔物は多いらしい」

「じゃあ、これからはどうなるの奴でなければと言う魔物の討伐は」

「それはな、奴以外に倒せる奴は何人もいるのさ、自分がやるのが嫌だから奴でなければと申し合わせてそういう事にしていたらしいぞ、早い話要領の良い連中に奴は踊らされていたんだよ、魔術師団に持ち込まれる魔物討伐は凶悪な魔物ばかりだ、誰も命懸けでそんな魔物と戦いたくないからな、奴を煽てれば喜んでやるからやらせていたんだよ、それを奴は誤解し慢心してああいう事をするようになってしまったようだ」

「可哀想とは思わないけど憐れな奴ですね」

「そうだな」

余り嬉しい話ではなかったが、何処に逃げたのか逆恨みで俺達は恨まれているだろうから気をつけなければいけない、本人も被害者も憐れだと思うがそうさせた周りの者達はどういう思いをしているのだろう、心が痛まないのか

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